アウトプットは勉強に効果的なのか。アウトプットはどのような形で勉強に取り入れるべきか。上手にアウトプットできない場合はどうしたら良いのか。
本記事をご覧の方は、アウトプット形式の勉強について様々な疑問や悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。本記事では、アウトプット形式の勉強について、以下の5点を解説していきます。
- アウトプットの意味や重要性
- アウトプット形式の勉強をするメリット
- アウトプット形式の勉強をする方法
- アウトプット形式で勉強する際の注意点
- アウトプット力を上げるトレーニング
本記事をご覧いただければ、アウトプットを活用した勉強法を理解し、効率よく必要な知識を身につけられます。普段の勉強にアウトプットを取り入れ、成績アップにつなげたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
アウトプットとは
元々、「アウトプット」とは「出力」を意味するコンピューター用語です。
ただ、アウトプットは勉強やビジネスなどさまざまなシーンでも活用されるため、使われるシーンによってその意味合いは多少変化しており、正しい意味を理解しにくい言葉でもあります。
ここでは、アウトプットの意味や似た言葉である「インプット」「アウトカム」との違いを解説します。まずはアウトプットの全体像をつかみましょう。
アウトプットの意味
アウトプット(output)とは「出力」「発信」という意味の言葉です。本来は、コンピューターに入っているデータを外部に取り出すことを意味します。
一方、勉強におけるアウトプットとは、覚えた知識を「文章に書く」「人に説明する」「問題を解く」などの方法で実際に使うことです。具体的なアウトプット例としては、以下の勉強法が挙げられます。
- 国語で覚えた漢字を使って作文を書く
- 算数で習得した公式を使って応用問題を解く
- 歴史の流れや自然現象の仕組みをノートにまとめる
コンピューターであれば出力して終了ですが、勉強でアウトプットをすると脳内の情報が整理され、記憶の定着につながります。
インプットとアウトプットの違い
インプットは(input)はアウトプットの対義語で「入力」という意味です。
勉強におけるインプットは、文字を見たり音声を聞いたりして、新たな知識を取り込む行為を指します。多くのお子さんはインプットを重視する傾向にありますが、勉強で効率よく知識を定着させるには、アウトプットも同時に進めることが大切です。
たしかにインプットも重要ですが、ただ知識を取り込むだけだと「本当に覚えられたのか」「正しく理解しているのか」を把握できません。そこで、問題を解いたり自分の言葉で説明したりするアウトプットを取り入れると、学習の理解度を確かめられます。
勉強をする際は、インプットとアウトプットを上手に組み合わせることで、より効率的に記憶力を高められます。
アウトカムとアウトプットの違い
アウトカム(outcome)とは「結果」「産物」を意味する言葉です。具体的な行動を通して得られた成果を指します。アウトカムとアウトプットは響きが似ている言葉ですが、勉強に例えると以下のような違いがあります。
- アウトプット:新しく覚えた漢字や慣用句を使って文章を書く
- アウトカム:国語の成績が良くなる、漢検に合格する
つまり、勉強におけるアウトプットとは知識を定着させるための行動(過程)を表し、アウトカムはアウトプットがどのような影響を与えたか(結果)を表すのです。
勉強中に「アウトカム」という言葉を使う場面は少ないですが、アウトプットとは意味が異なることを覚えておきましょう。
アウトプットの重要性
一般的に、勉強ではインプットだけでなくアウトプットも重要だといわれています。その理由は、単に知識を詰め込むよりもアウトプットで「思い出す」機会を設けることが、記憶力の向上に効果があるためです。
人間の脳は新しい物事を覚える時、以下の流れで記憶に定着させます。
- 記銘:情報をインプットする
- 保持:情報を頭の中に保持する
- 想起:保持した情報を思い出す
つまり、確実に覚えるためにはインプットだけで終わらせず、アウトプットによって「思い出す」作業をすることが不可欠だといえます。
勉強で新しい知識を定着させるには、インプット後に必ず問題を解いたり、誰かに説明したりして、記憶を取り出す機会を積極的に作りましょう。
アウトプット形式の勉強をするメリット
アウトプット形式の勉強をするメリットは、以下の7つです。
- 知識や能力が定着する
- 勉強に対する自信につながる
- 周囲からの信頼が得られる
- 考えを整理できる
- 伝達能力が身につく
- インプットの質を確認できる
- より充実した学習経験が得られる
アウトプットは知識の定着を促すだけでなく、論理的思考力や表現力の向上などさまざまなメリットがあります。
知識や能力が定着する
アウトプットのメリットは、知識や能力が定着しやすくなることです。覚えた知識をアウトプットをする過程で自分の理解度を把握し、足りない部分の内容理解を深められます。
たとえば、覚えた知識を「文章にまとめる」「説明する」などの方法でアウトプットする場合は、頭の中で情報を整理し簡潔に表現しなければなりません。しかし、曖昧な点や足りない情報があると上手くアウトプットできないでしょう。
そこで、教科書やノートを確認しながら再度インプットすると、記憶力が強化されるだけでなく周辺知識とのつながりも理解できます。
このように、アウトプットは知識を活用する中で学習内容の理解度を高め、断片的に覚えていた情報を一つにまとめる効果があります。
勉強に対する自信につながる
アウトプットは覚えた知識をさまざまな形で活用するため、目に見える成果を得やすく、勉強への自信につながりやすい点もメリットです。アウトプットを通して勉強に対する自信が持てると、学習意欲が高まり成績アップにもつながるでしょう。
お子さんがアウトプットを通して達成感を得るためには、少し頑張ればクリアできる難易度の問題に取り組むのがおすすめです。覚えた知識を文章にしたり、説明したりするのは時間がかかりますが、問題演習であれば手軽に挑戦できます。
インプットした知識を問題演習でアウトプットし「わかった」「できた」という成功体験を積めると、より前向きな気持ちで勉強に取り組めるでしょう。
周囲からの信頼が得られる
アウトプット形式の勉強が習慣化されると、周囲からの信頼を得られる可能性もあります。アウトプットに慣れることで、自分の気持ちや意見をわかりやすく相手に伝えられるため、円滑なコミュニケーションや高い能力評価につながるでしょう。
たとえば、アウトプットが習慣化されると学校の授業で発表することに抵抗がなくなり、積極的に挙手できるようになります。そして、問題の解き方や理由をわかりやすく発表できると、学習態度や表現力の部分で高い評価をもらえるかもしれません。
また、勉強とは直接関係ありませんが、アウトプットによって語彙力や表現力が身につくと、自分の気持ちも上手に伝えれるようになり、友達と良好な関係を築けます。
考えを整理できる
アウトプット形式の勉強では、混乱しやすく覚えるのが難しい知識も、紙に書いたり説明したりすることで自分の考えを整理できます。
小学生の場合、算数の図形問題は多くのお子さんがつまずきやすい傾向にあります。その理由は、平面図形や空間図形を具体的にイメージし、頭の中で操作するのが難しいためです。
そこで、教科書を見て覚えるだけでなく、実際に図形を作ったり紙に書いたりするアウトプット法を取り入れると、頭の中だけで捉えていた図形の性質を理解しやすくなります。
算数に限らず、社会や理科の学習で混乱しがちな情報を整理する際も、アウトプットは効果的です。覚えたい内容を書き出し、グループごとにまとめたり色で分けたりすると、頭の中がスッキリして効率よく覚えられます。
伝達能力が身につく
「文章にまとめる」「誰かに説明する」などのアウトプット法は、伝達能力の向上にも効果があります。アウトプットをする過程で語彙力や表現力が身につくため、インプットした知識や自分の考えをわかりやすく相手に伝えられるでしょう。
たとえば、読んだ本の感想を伝える時は自分の考えだけでなく、物語のあらすじや登場人物についても説明する必要があります。また、場合によっては相手の共感を誘う表現を考えたり、説明する内容を順序立てたりすることもあるでしょう。
このように、アウトプットでは覚えた知識を表現する過程で、適切な言い回しや構成について思考を巡らせるため、自然と伝達能力を身につけられます。
インプットの質を確認できる
アウトプットを通して、インプットの質を確認できる点もメリットです。アウトプットの結果によってインプット法を改善したり、暗記が足りない部分の復習に時間をかけられたりします。
インプットの質を確認するためには、問題演習に取り組むアウトプット法がおすすめです。なかなか解けない場合は再びインプットの時間を取ると、改めて知識を定着できます。
また、学習内容を誰かに説明してインプットの質を確認する方法もあります。この場合は、アウトプットをしながら「曖昧な説明になっていないか」「相手は理解できているか」をチェックすることが大切です。
インプットの質を確認できると自分にとって必要な学習が明確になり、効率よく勉強を進められます。
より充実した学習経験が得られる
アウトプットを日常生活でも活かせるようになると、より充実した学習経験を得られます。
たとえば、アウトプットを通して伝達能力が鍛えられると、周囲の評価が上がり友達に勉強を教える機会が増えるかもしれません。友達に勉強を教えながら自分も内容理解を深めることで、より素早く正確に答えを導き出す方法を見つけられます。
友達に勉強を教える際は、自分の学習が疎かにならないよう「◯分までなら大丈夫だよ」と時間を設けましょう。また、上手に教えられなかった部分は再びインプットすると、しっかり覚え直すことができます。
アウトプットが習慣化されて充実した学習経験を得られると、勉強に対する自信にもつながります。
アウトプット形式の勉強をする方法
アウトプット形式で勉強をする際は、以下6つの方法を実践しましょう。
- 自分の言葉でまとめる
- 付せんを活用する
- 他の人に説明する
- 音読する
- 問題を解く
- 楽しく取り組める方法を見つける
インプットによる学習と組み合わせながら、さまざまなアウトプット法を取り入れることで、効率的に覚えられます。
自分の言葉でまとめる
勉強でアウトプットする時は、学習内容を自分の言葉でまとめるように意識しましょう。難しい単語も自分なりに噛み砕いてわかりやすく表現することで、言葉の意味を理解しながら知識を定着できます。
たとえば、社会で覚える「議院内閣制」の意味は「内閣の組織と存続の基礎を国会に置く制度」ですが、噛み砕いて説明すると以下の文章になります。
- 国会を無視して政治を行わないようにするための、内閣が国会に対して責任を負う仕組み
難しい言葉をわかりやすく説明するためには、単語の意味を理解しなければなりません。アウトプットを通して言葉の意味を理解できると、頭の中で情報が整理されて記憶に定着しやすくなります。
付せんを活用する
付せんを活用したアウトプットも記憶力の向上には効果的です。重要なポイントを付せんに書いてノートに貼ると、頭の中にある知識が視覚化され情報を整理できます。
具体的には、教科書を見て「これは絶対覚えたい」という情報を付せんに書いてノートに貼ります。覚えたい内容が複数ある場合はノートに貼った後、必要に応じて色を分けたり配置を変えたりして整理しましょう。
確実に覚えたい知識を付せんに書いてノートに貼ると、復習する時も見つけやすく、効率的に記憶できます。また、付せんに書いた情報をノートで整理すると記憶がつながり、体系的に覚えられる点もメリットです。
他の人に説明する
ある程度インプットして覚えた知識は、他の人に説明してみましょう。自分の理解度を把握できるのはもちろん、相手に伝えようとすることで情報を整理する意識が高まり、学習内容の深い理解につながります。
お子さんが説明に慣れないうちは、親御さんが「今日はどんな勉強をしたのかな」と質問するのがおすすめです。お子さんから答えが返ってきたら、さらに質問を繰り返し内容を深堀りしましょう。
上手く質問に答えられなかった内容については、その場で復習すると効率的です。
アウトプットに慣れてきたら、次は先生になったつもりで相手に伝えましょう。自分が授業を進めている気分になると、より詳細でわかりやすい説明を心がけるようになります。
音読する
音読もアウトプットの一つです。特に国語・英語の学習で音読を取り入れると、アウトプットをしながら同時にインプットもできて、効率よく記憶の定着度を高められます。
たとえば、国語の説明文や物語文をスムーズに音読するためには、漢字の読み方・文の流れを十分に理解することが大切です。そのため、音読を練習する過程で自然と語彙力や読解力を身につけられるでしょう。
また、英単語を学習する際も、音読によって単語の綴りや意味はもちろん、正しい発音や使い方の習得も可能です。文字を見ながら声に出し、再び耳から情報をインプットするため、視覚と聴覚の両方が刺激されて効率よく知識が定着します。
ただ声に出すだけでなく、言葉の意味を頭の中で理解しながら音読することが、記憶の定着を促進するためのポイントです。
問題を解く
アウトプットによる学習効果を高めるには、インプットをした後すぐに問題を解きましょう。問題演習は成果が目に見えやすいため、自分の理解度を手軽にチェックできます。答えを思い出せず間違った問題は、その場で復習するのもポイントです。
また、インプット後の問題演習は一定期間を空けて複数回取り組みましょう。
心理学者のエビングハウスによると、人間は学習内容の大半を約1日で忘れることが明らかになっています。そのため、記憶力を上げるには、インプットした日に問題を解いて終わるのではなく、1日後、3日後、7日後と期間を空けながら演習することが大切です。覚えた知識を思い出す機会が増えると、脳内に定着しやすくなります。
楽しく取り組める方法を見つける
勉強に対するモチベーションは、アウトプットの質や成績を左右する重要な要素です。そのため、勉強では自分が楽しみながら知識を習得できるアウトプット法をあらかじめ見つけておきましょう。
たとえば、人と話すのが好きなお子さんであれば、覚えた知識を説明するアウトプットがおすすめです。また、ゲーム感覚で取り組める学習アプリを活用すると、勉強が苦手なお子さんでも興味を持って学べるでしょう。
このように、お子さんが楽しく取り組めるアウトプット法を見つけておくと、勉強に飽きることなくモチベーションを維持して取り組めます。
さまざまなアウトプットを実践しながら、必要に応じて楽しく勉強できる方法も取り入れてみてください。
アウトプット形式で勉強する際の注意点
アウトプット形式で勉強する際は、以下の6点に注意しましょう。
- 明確な目的と目標を設定する
- 量から質へと転換していく
- インプットを充実させる
- コミュニケーションにも活用する
- 継続的に実践と改善を行う
- 周りの評価に流されない
何のためにアウトプットするのかを明確にしたり、覚える情報の質を重視したりすることが成績アップにつながる勉強のコツです。
明確な目的と目標を設定する
アウトプットをする際は、事前に「何のためにアウトプットするのか」「何を達成したいのか」を明確に設定しましょう。
たとえば、歴史上の出来事を人に説明する時、ただ上手に伝えようとするだけでは知識の定着につながらない可能性があります。そこで「◯◯が行った政策を覚えるために説明する」と勉強の目的を明確にすると、該当する知識に注意が向きやすくなり、インプットやアウトプットの質が向上します。
また、目標を設定する際は「算数の公式を使った応用問題に5問正解する」「100文字以内で学習内容をまとめる」のように、具体的な数値を使うのがおすすめです。ゴールが明確になると、高いモチベーションで勉強に取り組めます。
量から質へと転換していく
アウトプット形式の勉強では、最初にアウトプットの量を重視しましょう。その後、勉強のコツを掴めてきたらアウトプットの質を高めるのがポイントです。量から質へと転換していくことで、徐々に効率よく知識を定着できます。
短期間でアウトプットのコツを掴むためには、アウトプット後に振り返りを行い反省点や課題を明確にしましょう。具体的には「どうしたらもっと簡単に説明できるか」「問題の正答率を上げられるか」を考えます。
お子さん一人で振り返りをするのが難しい場合は、親御さんが質問を投げかけたり一緒に考えたりしてサポートしましょう。
「インプット→アウトプット→振り返り」のサイクルを繰り返しながら量をこなすことで、自然とアウトプットの質も向上します。
インプットを充実させる
アウトプットの質を高めるには、インプットの量や質も充実させましょう。
どれだけ効果が高いアウトプット法を実践しても、頭の中に必要な情報が揃っていなければ意味がありません。また、インプット時に内容を十分に理解できていないと、説明や文章化によるアウトプットが難しくなってしまいます。
インプットを充実させるためには、後でアウトプットすることを意識した上で、積極的に新しい情報や重要な知識を取り込みましょう。
勉強前に「◯◯について覚えたらノートにまとめよう」「応用問題に挑戦しよう」とアウトプットの計画を立てると、インプットをする時も大事な情報を取捨選択し、確実に覚えようとする意識が高まります。
コミュニケーションにも活用する
アウトプットを勉強に取り入れる際は、家族や友達とのコミュニケーションにも活用することを心がけましょう。
学んだ内容について家族と話したり、友達と共有したりすることで情報が整理され、知識が定着しやすくなります。また、積極的にコミュニケーションを活用するとアウトプットが習慣化され、より効率よく勉強を進められるでしょう。
コミュニケーションを活用してアウトプットする際は、親御さんが必要に応じてフィードバックすることも大切です。「◯◯の説明がわかりやすかったよ」「◯◯についてもっと詳しく知りたいな」のように、どこが良かったのか、どこの説明が足りなかったのかを丁寧に伝えると、お子さんが次の学習に生かせます。
継続的に実践と改善を行う
勉強は、お子さんに無理のない範囲で継続することが大切です。そのため、勉強中はお子さんの集中力が続く適切なタイミングで休息を取り入れ、長期的に取り組める工夫をしましょう。
特に小学生は、集中力が長続きしない傾向にあります。人によって集中力の持続時間は異なりますが、15〜30分ほどを目安に休憩するようスケジュールを組んでみてください。
また、勉強を楽しく続けるためには同じ学習法にこだわらず、必要に応じて変更・改善することも意識しましょう。お子さんが勉強に飽きている様子であれば、新しいアウトプット法を取り入れたり目標値を上げたりすると、モチベーションが高まり新鮮な気持ちで学習に取り組めます。
周りの評価に流されない
アウトプットする際は、周りの評価に流されないよう注意しましょう。「失敗したくない」「間違ったらどうしよう」という思いが強すぎると、上手にアウトプットできず学習意欲や成績の低下につながる可能性があります。
周囲の評価に流されないためには、勉強の目的を明確にし、無理のない範囲でアウトプットに挑戦するのがおすすめです。
たとえば「志望校に合格したい」「100点を取りたい」などの目的があると、周囲の評価よりも自分に意識を向けられます。また、親御さんがお子さんにフィードバックをする際は、モチベーションを下げないよう「良い部分はしっかりと褒める」「否定的な言葉は使わない」などの配慮をすることも大切です。
アウトプット力を上げるトレーニング
アウトプット力を身につけるには、以下6つの方法が効果的です。
- さまざまな出来事を話す
- 自分に質問をする
- 要約力を鍛える
- 手書きで書き出す
- マインドマップを作成する
- SNSでアウトプットを習慣にする
アウトプットが習慣化されると、勉強で覚えた知識もスムーズに表現できるようになり、さらに効率よく学習を進められます。
さまざまな出来事を話す
アウトプット力を鍛えるには、学習内容に限らずさまざまな出来事を話すように心がけましょう。「話す」行為は、最も簡単に実践できるアウトプットです。日常生活を通して、些細な内容でも誰かに話すことを意識すると、自然に表現力が磨かれていきます。
具体的な話題は、以下の内容を参考にしましょう。
- テレビ番組の内容や感想
- 学校や習い事での出来事
- 本を読んだ感想
- おいしいものを食べた感想
出来事を話す時のポイントは、起こった事実だけでなく自分の考えや気付きも具体的に伝えることです。「なぜ面白かったのか」「どの瞬間が一番楽しかったのか」などを詳しく説明できると、論理的に話す力も身につけられます。
自分に質問をする
勉強前に「何を学びたいのか」と自分に問いかける方法も、アウトプット力の向上に効果があります。漠然とアウトプットするのではなく、確実に覚えたい知識を明確にすることで必要な情報に注意が向き、効率よく記憶できます。
また、学びたい内容を明確にすると、教科や単元に応じた最適なアウトプット法を選びやすくなるため、記憶の定着度も高められるでしょう。
自分への質問を通して効率よく勉強するためには「何を学びたいのか」を紙に書き、見える場所に貼っておく方法がおすすめです。特に長時間勉強する日は、休憩時に紙を見返すことで一日の目的を再認識し、アウトプットする意味を忘れることなく学習に取り組めます。
要約力を鍛える
インプットした知識を上手にアウトプットするためには、学習内容を簡潔にまとめられる要約力が必要です。そのため、日頃から授業内容や読んだ本のあらすじを50〜100文字程度に要約する習慣をつけましょう。
たとえば、理科の授業で「電気の働き」について学習した場合、勉強内容は以下の文章にまとめられます。
- モーターの回る向きは、何によって変わるのかを実験して調べた。その結果、乾電池の向きを変えると電流の向きやモーターの回る向きも変わることがわかった。
このように、文字数制限がある中で重要な情報を抜き取り、簡潔に表現する練習を重ねると、自然に要約力が身につきアウトプットの質も高まります。
手書きで書き出す
アウトプット力を鍛えるには、インプットした知識を無理に頭の中でまとめようとせず、紙に書き出してみることも大切です。頭で整理しきれない情報も手書きで書き出してみることで、少しずつ記憶がつながり要約や説明をしやすくなります。
特に小学生は、中高生に比べると思考力が十分に育っておらず、情報を上手く整理できない傾向にあります。しかし、紙に書き出せば情報が視覚化されるため、頭の中が整理されるのはもちろん、要約や説明をするためのヒントも得ることでアウトプットの質を高められるでしょう。
また、実際に手を動かしながらアウトプットすると脳が刺激されやすくなり、より効率的に覚えられます。
アウトプットを最初から完璧にする必要はありません。不完全な情報でも紙に書き出しながら情報を整理すれば、着実に記憶力を強化できます。
マインドマップを作成する
マインドマップを作成する方法も、アウトプット力を上げるにはおすすめの方法です。
マインドマップとは、頭の中にある考えや記憶を整理する際に用いられる放射状の図を指します。マインドマップを作れるようになると、覚えた知識を視覚化しやすくなり記憶の定着につながります。
マインドマップを作成する際は、まずメインのキーワードを中心に書きましょう。その後、関連するキーワードを放射状に書いていきます。必要に応じてペンの色を変えたりイラストを加えたりすると、より見やすくなるでしょう。
マインドマップ作成を通して頭の中にある情報を整理する力が身につくと、他のアウトプット法でも上手に記憶を取り出せるようになります。
SNSでアウトプットを習慣にする
各家庭のルールにもよりますが、SNSもアウトプットの練習をする場として活用できます。
たとえば、文字数制限があるSNSを使って本の感想や学習内容を発信する方法は、要約力の向上に効果的です。SNSは不特定多数に見られるため、わかりやすく伝えようとする意識も高まるでしょう。
ただし、小学生がSNSを活用する際は、発信内容や他の人とのコミュニケーションについて、親御さんが注意深く見守ることが大切です。
SNSによるアウトプットは効果的ですが、友人やSNS上で知り合った人とのトラブルに巻き込まれるリスクもあります。アウトプットにSNSを活用する際は、お子さんの性格や家庭のルールに合っているかを確認した上で、慎重に検討しましょう。
まとめ
本記事では、アウトプット形式の勉強についてご説明しました。特に大切なポイントは以下の3つです。
- 勉強で覚えた知識を定着させるには「文章にまとめる」「説明する」「問題を解く」などのアウトプットが効果的
- アウトプット形式の勉強をする際は目的や目標を明確にし、インプットと組み合わせながら様々な方法で知識を活用することが大切
- 日頃から意識的にアウトプットを取り入れると表現力や要約力が鍛えられ、さらに効率よく学習を進められる
お子さんの得意・不得意や学習内容に合わせて適切なアウトプット法を実践してみましょう。
本記事の内容をもとに、お子さんが効率的に知識を身につけられるアウトプット法を見つけ、成績アップや志望校合格に近づけるよう、心からお祈り申し上げます。