本記事をご覧の方は、作文を書く際にどのようにすれば上手な作文を書けるのか。なぜ作文が苦手になってしまうのか。作文の苦手意識はどのようにしたら克服できるのか。と作文の書き方について様々な疑問や、悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、学校の授業や入試における「上手な作文の書き方」にスポットを当てて、以下の5点について解説していきます。
- 作文が苦手な理由
- 上手な作文の書き方
- 上手に作文を書くコツ
- 表現力を磨くためのおすすめの方法
- 作文を書く際の原稿用紙の使い方
本記事をご覧いただければ、お子さんが作文の書き方に悩んでいる時の解決方法を、具体的に理解できます。
作文への苦手意識を克服し、読みやすく表現力豊かな作文が書けるよう、ぜひ参考にしてください。
作文が苦手な理由
作文が苦手なお子さんは多い傾向にありますが、その理由は人によって様々です。作文が苦手になる理由としては、主に次の4つが考えられます。
- 何を書けばいいのかわからない
- 構成がまとまらない
- 作文のルールがわからない
- 表現力が乏しいため上手く書けない
どの部分に苦手意識があるのかを理解すると、それに合わせて対策もできるでしょう。
何を書けばいいのかわからない
何を書けばいいのかわからなければ、そもそも作文を書き始めることができません。
作文は、ひとつのテーマに関係する実体験や自分の考えを書くものです。たとえば、学校で「夏休みの思い出」について作文にする課題が出された場合、話題にするテーマとしては次の内容が考えられます。
- 友達との思い出
- 家族との思い出
- 夏休み中に頑張ったこと
しかし、作文のテーマが決まっていなかったり曖昧だったりすると、何を書けばいいのかわからなくなってしまいます。テーマが曖昧な状態で書き出しても、内容がまとまらず読みにくい作文が出来上がるでしょう。
作文で何を書けばいいのかわからなくなると、お子さんは最初から諦めてしまうかもしれません。
構成がまとまらない
作文に書く内容が決まっても構成がまとまらないと、結局何を言いたいのかわからない文章になってしまいます。
作文は、自分の意見や考えを相手が理解できるように伝えなければなりません。相手にわかりやすく伝えるためには、文章構成が重要な役割を果たします。
たとえば、先ほどの「夏休みの思い出」を例に挙げると、作文は以下の順序で構成することができます。
- 夏休み中に一番頑張ったこと
- 頑張った理由や夏休み中に実践していたこと
- 夏休みを通して考えたこと・感じたこと
構成がまとまらない状態だと、いきなり理由から書き始めたり、自分の考えを書き忘れたりするかもしれません。
また、作文をどのようにまとめたら良いのかがわからないと、作文を書くことに苦手意識を持ってしまう原因にもなります。
作文のルールがわからない
作文のルールがわからないために、苦手意識を感じているお子さんもいます。
作文を書くときは文章表現や、原稿用紙の使い方において下記のルールを守らなければなりません。
- 句読点を正しく使う
- 文末を「だ、である」「です、ます」のどちらかに統一する
- 段落の始めは1マス空ける
上記の他にも、作文には様々なルールがあります。ルールがわからないと、作文を書くときに困るだけでなく、完成後の評価も低くなってしまいます。
ただ、ルールを一度に全部覚えようとしても、数が多く覚えきれずに作文を書くときに意識ができないかもしれません。作文のルールを覚えるためには、少しずつ学習しながら文章に反映させ、慣れていくことが大切です。
表現力が乏しいため上手く書けない
表現力が乏しいと、同じ文章を繰り返し使ったり抽象的な言葉が増えたりして、内容の薄い作文になってしまいます。
表現力が乏しくなる原因は、語彙力不足です。使う言葉の種類が少なく、表現もワンパターンになると単調な文章になります。
たとえば、夏休み中に一番頑張ったことが「水泳」だと伝えるとき、表現力が乏しいと次のような文章になるでしょう。
- 「夏休みは水泳を頑張りました。プールで背泳ぎを頑張りました。」
これに違う表現を加えると下記の文章になります。
- 「夏休みに一番頑張ったことは水泳です。毎日プールに通い、得意な背泳ぎを特訓しました。」
高い表現力は一日で身につくものではありません。日常生活で様々な言葉に触れ、少しずつスキルアップしていきましょう。
上手な作文の書き方
上手な作文を書くためのステップは、次の通りです。
- 作文のテーマを決める
- 作文の構成を考える
- 作文のルールを意識する
- 書いた作文を見直す
それぞれの具体的な方法や、上手に書くポイントも解説しています。特に苦手意識のある部分だけをチェックしてもかまいません。
作文を上手に書くために、ぜひ参考にしてください。
作文のテーマを決める
作文を書くときは、最初にテーマを決めましょう。具体的な方法は以下の通りです。
何を書くか目的を明確にする
テーマに関係する材料を集める
テーマに沿った自分の思い出や意見をまとめる
タイトルは最後に考える
作文のテーマが明確になると、全体の内容がまとまって読み手に伝わりやすくなります。
何を書くか目的を明確にする
作文のテーマを決めるうえで、まず「何を書くか」という目的を明確にすることは重要です。作文の土台となる目的をはっきりさせると、文章に一貫性を持たせられます。
自由なテーマで作文を書く場合は、「興味がある」「調べてみたい」と思う分野から決めるのがおすすめです。
たとえば、サッカーが好きなお子さんであれば「プロサッカー選手」をテーマにできるでしょう。テーマが「プロサッカー選手」だけだと広すぎるため、好きなサッカー選手1人だけをピックアップしたり、ワールドカップで活躍したサッカー選手などできるだけ詳細な内容に絞ることも大切です。
テーマに関係する材料を集める
何を書くか決まったら、次はテーマに関係する材料を集めます。作文に使えるかどうかを考えず、関係しそうな材料をひたすら集めることがポイントです。
たとえば、好きなスポーツ選手についての作文を書く場合、集める情報としては下記の内容が考えられます。
- 好きな選手の生年月日・出身地
- これまでに出場した大会の成績
- その選手を好きになった時期・きっかけ
材料を大量に集めると、頭の中で少しずつ情報が整理されて書きたい内容が見えてきます。
テーマについて調べたり思い出したりしながら、次々とメモしていきましょう。
テーマに沿った自分の思い出や意見をまとめる
次は、集めた材料をもとに自分の思い出や意見をまとめます。
先ほど挙げた「好きなスポーツ選手」についての作文を例にすると「その選手を好きになったきっかけ」は実体験として書けるでしょう。
また、「選手の活躍を見て、今後の生活にどう生かしたいか」を自分の意見としてまとめることも可能です。
どのようなテーマにおいても、作文では自分の意見や考えをもとに文章を書き進めます。自分の主張やそれの根拠となる実体験について、本文を書く前にまとめておきましょう。
タイトルは最後に考える
作文のタイトルは、最後に考えましょう。
タイトルには作文の内容を簡潔に伝える役割があるため、全体を把握したうえで適切な言葉を当てはめる必要があります。
最初にタイトルをつけると「タイトルに合った内容にしなければ」と考えてしまい、思い通りの文章を書けません。また、完成後にタイトルと見比べたとき、矛盾が生じている可能性もあります。
作文は一旦最後まで書き上げてから、自分の主張や結論を参考にタイトルをつけることで、本文の内容を的確に表せるでしょう。
作文の構成を考える
決められた構成に沿って文章を組み立てると、上手な作文が完成します。作文の構成を考える方法は、以下の5つです。
- 書きたいことを箇条書きにして整理する
- 各内容の文字数を当てはめる
- はじめ(書き出し)を考える
- なか(説明)を考える
- おわり(自分の考え)を考える
作文はいきなり書き始めるのではなく「はじめ・なか・おわり」の構成を意識することで内容もまとまりやすくなります。
書きたいことを箇条書きにして整理する
構成を考えるときは、作文に書きたいことを箇条書きにして整理しましょう。たとえば、「将来の夢」がテーマの作文を書く場合、箇条書きにすると以下の形になります。
- 将来は保育士になりたい
- 自分がに通っていた時の先生が優しかったから
- 職業体験で保育園に行って、ますます保育士になりたくなった
- あの先生みたいに優しい保育士になりたい
箇条書きの数が多くなると、整理するのが大変です。あくまでも大まかな内容を書き出すようにしましょう。
各内容の文字数を当てはめる
書きたい内容を箇条書きにしたら、次はそれぞれに文字数を当てはめます。
一般的に、作文の構成要素は「はじめ・なか・おわり」の3つで、それぞれ「1:7:2」の割合で文字数を割り振るといわれています。
箇条書きした内容が「はじめ・なか・おわり」どの部分に該当するかを考え、文字数を当てはめてみましょう。指定された文字数よりも少なくなりそうな場合は、箇条書きを見直し、必要に応じて内容を追加してみてください。
はじめ(書き出し)を考える
「はじめ」は作文の書き出しにあたる部分です。「続きが気になる」と読み手が興味を持てるような内容を考えましょう。
たとえば、冒頭に会話文を入れると感情がダイレクトに伝わるため、読み手の注意を引くことができます。また、一番伝えたいことを簡潔に伝える方法もおすすめです。読み手は「なぜそう思ったのだろう」と疑問に思い、続きを読むでしょう。
他にも比喩表現から始めたり、物語のように書いたりするなど様々な方法があります。複数の書き始めのパターンを調べてからテーマと相性の良いものを選んで使ってみましょう。
なか(説明)を考える
「なか」では、最初に述べた結論や自分の考えに関係する具体例・根拠を説明します。
たとえば「将来は保育士になりたい」と主張するとき、きっかけとなった実体験を交えながら説明すると説得力が増すでしょう。内容によっては、数値の裏付けがあるデータをもとに説明する方法も効果的です。
曖昧な表現は避け、具体的なエピソードや根拠を盛り込むことで、読み手を納得させられる作文を書けます。
おわり(自分の考え)を考える
「おわり」では「なか」で説明した具体例や根拠をまとめたうえで、テーマに対する自分の考えを結論づけます。
具体例や根拠をまとめる際は、下記のように「なか」と「おわり」で少し表現を変えることが大切です。
なか | このとき、私は先生のような保育士になりたいと思いました。 |
おわり | 私は先生のように、どんな時でも明るく元気な保育士になります。 |
同じ表現の繰り返しにならないよう、強調したり具体性を持たせたりしながら自分の考えを伝えましょう。
作文のルールを意識する
構成がまとまったら、作文のルールを意識しながら本文を書き始めます。具体的には下記のルールに気をつけましょう。
- 文体を統一させる
- 話し言葉と書き言葉の違いに気をつける
- 指定文字の9割以上を目安に書く
- 著作権に注意する
作文の基本的なルールを守って書けると、見た目も整って読みやすさが増します。
文体を統一させる
作文を書くときは、文体を統一しましょう。文体は、基本的に2つの形があります。
文体の種類 | 特徴 |
敬体 | 文末が「です・ます」と丁寧に表現する |
常体 | 文末が「だ・である」で終わる |
作文ではどちらを使用しても問題ありませんが、下記のように2つの文体を同時に使うのはNGです。
- 「夏休みで一番楽しかったのは家族旅行だ。海の水がとても気持ちよかったです。」
敬体か常体のどちらかに統一させることで、ストレスなく作文を読めます。
話し言葉と書き言葉の違いに気をつける
作文では「話し言葉」と「書き言葉」の違いにも気をつけましょう。
作文を書くときは「書き言葉」を使うのが基本です。以下の表を参考に、2つの違いをチェックしてみてください。
話し言葉 | 書き言葉 |
やっぱり | やはり |
全然 | 全く(まったく) |
たぶん | おそらく |
ちょっと | 少し |
なんで | なぜ |
でも | しかし |
色んな | 色々な |
話し言葉は親しみやすさがある一方で、幼稚な表現になってしまいます。正しい日本語で作文を書くためにも、書き言葉を使うようにしましょう。
指定文字の9割以上を目安に書く
作文を書くときは、指定された文字数の9割以上を目指しましょう。
たとえば、作文の文字数が「400字以内」と指定されていた場合、360字を超えていれば許容範囲です。400字は超えないように注意しましょう。
また「〜字以内」の他に「〜字程度」と指定される場合もあります。このときは、指定された文字数のプラスマイナス10%が目安です。「400字程度」の指定があれば360~440字の範囲内で作文するのがいいでしょう。
著作権に注意する
作文では著作権にも注意しなければなりません。他人の文章を引用するときは、著作権法で規定された内容に従いましょう。
たとえば、本やWebサイトの文章を引用する場合は、かぎかっこ(「」)を使って区別したり、出典を明記したりする必要があります。
引用した文章は、あくまでも自分の主張を補う材料として使うものです。作文の半分以上を引用した文章で埋めないように気をつけましょう。
書いた作文を見直す
作文が完成したら、下記のポイントに沿って文章を見直しましょう。
- ルールを確認する
- 主語と述語を確認する
- 一文が長すぎないようにする
- 修飾語の距離に気をつける
- 最後に全体を読み返す
何度も見返しながら修正することで、よりレベルの高い作文が完成します。
ルールを確認する
まずは、前述した作文のルールを守って書けているか確認します。具体的なチェックポイントは以下の通りです。
- 文体は「敬体」「文体」のどちらかに統一されているか
- 「話し言葉」ではなく「書き言葉」ですべての文章を書けているか
- 文字数が指定されている場合、9割以上を満たしているか
- 引用した文章の内容・書き方は著作権法に違反していないか
基本のルールを守れているか、一つ一つ丁寧に見ていきましょう。
主語と述語を確認する
主語と述語を確認することも大切です。具体的には主語と述語の「ねじれ」をチェックします。
ねじれとは、文章から主語と述語だけを抜き出して並べたとき、意味が通じない状態になっていることです。
ねじれが生じていると「私の目標は、試験に合格したい。」のように違和感のある文章になります。
このようなねじれを解消する際に、元々伝えたいことは何かを考えて、「私の目標は、試験に合格することです。」もしくは、「私は試験に合格したい。」のように文章を修正する必要があります。
作文を見直したとき、読みにくかったり意味がわかりにくかったりする文章は、主語と述語を抜き出してチェックし、必要に応じて修正しましょう。
一文が長すぎないようにする
作文を見直すときは、一文が長すぎないかも確認しましょう。
文章が長すぎると意味が伝わりにくくなり、読み手にストレスを与える可能性があります。また、主語と述語のねじれも生じやすくなります。
文章を書くときは、一文の中に1〜2つの内容を入れるのが基本です。書きたい内容が多く、一文が長くなってしまう場合は、二文に分けたり不要な言葉を削ったりして対応しましょう。
修飾語の距離に気をつける
修飾語と被修飾語が離れている文章は意味が伝わりにくく、読み手の誤解を招く可能性があります。そのため、作文を見直すときは修飾語の距離にも気をつけましょう。
たとえば、下記の文章は「可愛い」という修飾語が「子ども」「ワンピース」のどちらにかかっているかわかりません。
- 「可愛い子どものワンピースを買った。」
そこで、次のように修正すると「可愛い」の被修飾語が「ワンピース」であることがわかります。
- 「子どもの可愛いワンピースを買った。」
各文章の修飾語と被修飾語の距離や位置関係をチェックし、意味が伝わるように書き直しましょう。
最後に全体を読み返す
作文の見直しが終わったら、最後に全体を読み返しましょう。誤字脱字や文法に間違いはないか、自分の主張に一貫性はあるかなどを見直します。
このとき、完成した作文を音読するのがおすすめです。一つ一つの言葉を声に出して読むため、違和感や不自然な点に気付きやすくなります。
時間はかかる方法ですが、丁寧に見直し間違いに気付くことで、表現力も磨かれていきます。
上手に作文を書くコツ
ここからは、上手に作文を書くコツとして、以下の2点を解説します。
- 小学生の作文の書き方のコツ
- よりレベルが高くなる作文の書き方のポイント
さらにレベルの高い作文を書きたい方や、小学生のお子さん特有のコツを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
小学生の作文の書き方のコツ
小学生のお子さんが作文を書く場合は、以下3つのポイントを押さえましょう。
- 基本的なルールを定着させる
- 表現に具体性を持たせる
- 伝えたい部分を意識する
これらのコツをつかむと、小学生のお子さんでも魅力的な作文を書けるようになります。
基本的なルールを定着させる
小学生のお子さんが作文を書くときは、すでに紹介しました基本的なルールを定着させましょう。
難易度の高い表現技法は無理に取り入れず、基本を忠実に守るだけで十分読みやすい作文を書けます。
作文を書くときは「はじめ・なか・おわり」の構成を意識して、文体や言葉遣いに気をつけましょう。また、原稿用紙を正しく使うことも大切なポイントです。こちらは後述の「作文を書く際の原稿用紙の使い方」にて詳しく説明いたします。
表現に具体性を持たせる
小学生のお子さんが作文を書くと、どうしても抽象的な表現になりがちです。そのため、表現に具体性を持たせることで、読み手の興味を引く作文を書けるようになります。
たとえば、自分の考えや意見に「なぜそう思ったのか」と理由や具体例を添えると、説得力が増します。
また「楽しい」「悲しい」などの感情表現もあえて使わず「嬉しくてで飛び跳ねた」「涙がこぼれ落ちた」と言葉を変えると、書き手の気持ちがより伝わりやすくなるでしょう。
伝えたい部分を意識する
小学生のお子さんが作文を書くときは、伝えたい部分がどこにあるか意識することも重要です。
たとえば、運動会について書くとき、起こった出来事を羅列するだけでは内容が薄く感じる文章になってしまう可能性が高いです。そこで、伝えたい部分を「玉入れ」に絞って詳しく文章を書きます。
- 「私が投げた玉は、どんどんカゴの中に入っていきました。終了の笛が鳴った時には、どちらの組みもカゴの中にはたくさんの玉がはいっていて、どちらの組みが勝つかわかりませんでした。先生が放送の声に合わせて一つずつ玉をカゴ外になげて数えていくと、私たち白組の方が多いことがわかり、赤組に勝ったときは友達とハイタッチして喜びました。」
このように、一番伝えたい部分を意識して文章を書くと、情景や自分の気持ちが読み手に伝わりやすくなります。
よりレベルが高くなる作文の書き方のポイント
作文のレベルをさらに高めるポイントは、次の3つです。
- 表現力を磨く
- 表現技法を取り入れる
- 文章のリズムを意識する
作文の基本的なルールを守ったうえで、3つの方法を実践してみましょう。
表現力を磨く
表現力を磨くと文章にオリジナリティが生まれ、よりレベルの高い作文が完成します。
おすすめの方法は、「嬉しい」「驚いた」などの単調な表現をあえて使わず、慣用句やことわざを盛り込むことです。
たとえば、友達と会話している様子を表す文章に慣用句を取り入れると、次のような文章になります。
- 「友達との話に花が咲きました。」
単純に「楽しかった」と表現するよりも、会話が弾んでいる様子が伝わってきます。
表現技法を取り入れる
比喩表現や擬人法、倒置法などの表現技法を取り入れるのもおすすめです。文章にインパクトが出て、読み手の印象に残りやすくなります。
たとえば、比喩表現を使うと満腹な様子が生き生きと伝わってきます。
- 「今にも割れそうな風船みたいに、お腹がいっぱいになりました。」
擬人法では下記のような表現が可能です。
- 「今日は空が泣いています。」
このように、様々な表現技法を使うことで、読み手が「おもしろい」と思えるユニークな作文を書けるでしょう。
文章のリズムを意識する
文章のリズムを意識しながら作文を書くことも、大切なポイントです。一定のリズムで文章を読み進められるため、読み手がストレスなく内容を理解できます。
作文が完成したら、音読してリズム感を確かめてみましょう。音読するときに確認するポイントは、以下の3つです。
- 句読点の数や位置に違和感はないか
- 文と文の意味はつながっているか
- 何度も同じ言葉を繰り返していないか
音読の途中でつまずく場合は、上記に当てはまっていないか確認してみてください。
表現力を磨くためのおすすめ方法
上手な作文を書くためには、表現力を磨くことが大切です。しかし、どのように表現力を磨くべきかわからない方もいるでしょう。
ここからは、表現力を磨く方法を3つ紹介します。
- 本や新聞を読む
- 親子や友達とのコミュニケーション
- ことわざや慣用句を覚える
上記の方法を実践し、少しずつ表現力を身につけていきましょう。
本や新聞を読む
本や新聞を読むと、これまで知らなかった言葉に出会えるため、表現力が磨かれます。
長い文章を読むのが苦手なお子さんの場合は、興味がある分野に関する漫画でも問題ありません。様々な言葉に触れる機会をつくることで、語彙力や表現力が自然と身についていくでしょう。
また、本や新聞を通して構成の組み立て方を学ぶのもおすすめです。「起承転結」や「
はじめ・なか・おわり」を意識しながら読み進めると、作文を書くときにも生かせます。
親子や友達とのコミュニケーション
表現力を磨くためには、親子や友達とコミュニケーションを取ることも大切です。
身の回りで起きた出来事や自分の気持ちを言語化することで、正しい言葉の使い方を身につけられます。
親御さんがお子さんと会話するときは、質問を投げかけて話の内容を掘り下げていきましょう。親御さんの質問に対して、お子さんは何とか自分の言葉で伝えようと思考を巡らせます。
このようなコミュニケーションを繰り返すことで、新しい言葉や表現方法を知るため、作文のレベルも上がっていくでしょう。
ことわざや慣用句を覚える
ことわざや慣用句は、正しい意味を理解したうえで作文に取り入れる必要があります。どちらも種類が多いため、日常生活を通して少しずつ言葉の意味や使い方を覚えていきましょう。
たとえば、家族との会話や読書をする中で、新しいことわざや慣用句に出会ったときは、その都度辞書を引いて調べる方法がおすすめです。辞書には言葉の意味だけでなく、例文が載っている場合もあるため、正しい使い方も学習できます。
また、学習漫画やカルタを活用すると、勉強が苦手なお子さんでも楽しみながら覚えられるでしょう。
作文を書く際の原稿用紙の使い方
作文を書くときに大切なのが、原稿用紙の使い方です。文章表現を工夫しても、原稿用紙を正しく使えていないと減点対象になる可能性があります。
作文で原稿用紙を使うときは、次の6点に関するルールを守りましょう。
- 題名と名前の書き方
- 書き出し
- 句読点の書き方
- 小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」の書き方
- 数字・アルファベットの書き方
- 会話文の書き方
原稿用紙の使い方をマスターすると、見た目もスッキリして読みやすい作文になります。なお、原稿用紙は「20字×20行の400字詰め・縦書き」としたうえで、使い方を解説していきます。
題名と名前の書き方
作文の題名は最初の行に、上の2〜3マスを空けてから書き始めましょう。副題をつけるときは、縦の棒線を2マスつなげたもので囲みます。
名前は題名の次の行に書きましょう。一番下から1〜2マス空けるようにし、下揃えで書きます。
名前を書くときは、姓と名の間を1マス空けます。学年は名前の上に1マス空けた状態で「◯年◯組」と書くのが一般的です。
書き出し
題名と名前が書けたら、本文に入っていきます。本文の書き出しや改行して新しい段落にする際は、上から1マス空けるのが基本です。
本文を書き出す位置は「名前の次の行から」「名前の次は1行空ける」など、教える人によって異なります。特に指示がない場合は、文字数稼ぎと思われないためにも、3行目から書き出すのが無難です。
段落には、1つの話題や伝えたいことを書くようにしましょう。話の内容が変わったら、改行して新しい段落にしてください。
句読点の書き方
句読点(「。」「、」)は文字と同じ扱いで、1マスに1つ書くのが普通です。ただし、書く位置は「マス目の右上」と決まっています。
句読点は、行の始めに書いてはいけないというルールがあります。。句読点が行頭に来る場合は、最後のマスに文字と一緒に入れるようにします。もしくは欄外に書いても大丈夫です。ただし、作文全体を通して書き方は統一させましょう。
小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」の書き方
小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」についても、基本的な書き方は句読点と同じです。1マスに1つ、マス目の右上に書くことを守りましょう。
ただし、小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」は、句読点と異なり行の始めに書いても問題ありません。漢字やひらがな、カタカナなどと同じ扱いで書きます。
数字・アルファベットの書き方
作文が縦書きの場合、基本的には数字は算用数字(1、2、3など)ではなく、漢数字(一、二、三など)を使いましょう。
たとえば56は「五十六」、108であれば「百八」と書きます。ただし、西暦については「二〇二四年」と書くため、注意が必要です。
アルファベットの書き方は、大文字が1マス、小文字が2マスです。作文が縦書きの場合は、アルファベットを横向きに書きましょう。
「エレベーター」「アイス」のようにカタカナ表記が一般的な言葉の場合、アルファベットを使う必要はありません。
会話文の書き方
会話文を書くときは行を変えて、かぎかっこ(「」)を使います。
始めのかぎかっこを書く位置は、新しい行の1マス目です。終わりの句点(。)ととじかっこ(」)は同じマスに入れて書きます。
会話文のあとに入れる文章は、改行して書き始めましょう。段落が変わらないのであれば、1マス空ける必要はありません。
会話文が2行以上になるときの書き方は、次の2パターンあります。
- 2行目から上を1マス空ける
- 2行目以降も1番上のマスから書く
特に指定がなければ、2行目以降も1番上のマスから書きましょう。
まとめ
本記事では上手な作文を書くためのポイントについてご説明しましたが、特に大切なポイントは次の3つです。
- 作文が苦手な理由はさまざまで、どの部分に苦手意識があるのかわかると対処法も取りやすくなる
- 基本の流れをつかみ、原稿用紙の使い方や表現の決まりを守ることで、作文を上手に書けるようになる
- よりレベルの高い作文にするためには、表現力を磨いたり表現技法を取り入れたりするとよい
作文を書くときは、上記のポイントを押さえるだけでなく、お子さん自身が楽しんで取り組むことも重要です。作文のルールだけにとらわれず、お子さんの書きたい気持ちを尊重しながら必要に応じてフォローしてあげましょう。
本記事の内容をもとに、作文を上手に書く最適な方法を見つけ、お子さんが苦手意識を克服できるよう心からお祈り申し上げます。