帰国子女とは?学校選びのポイントを中心に詳しく解説

帰国子女とは?学校選びのポイントを中心に詳しく解説

海外から日本に帰国予定の方の中には、お子さんをどの学校に通わせれば良いのか、帰国子女枠として受験や編入をするための条件はどのようなものなのかと悩んでいるのではないでしょうか。

また、そもそも帰国子女とは具体的にどういう子を指すのか、日本の教育制度に馴染めるか心配、といった不安を抱えている方もいらっしゃるかと思います。

そこで本記事では、帰国子女について、以下の点を解説しています。

  • 帰国子女とは何か
  • 入学する学校の選択肢
  • 学校選びのポイント
  • 帰国子女の高校受験、大学受験について

本記事を読めば、帰国子女に関する基本的な知識が身につき、適切な学校選びや受験準備ができるようになります。

お子さんの帰国に向けたスムーズな移行をサポートするための情報が満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。

帰国子女とは

帰国子女とは

そもそも帰国子女とは、どのような人を指すのでしょうか。

ここでは、まず帰国子女の定義やその数、そして「子女」という言葉の意味について説明します。また、よく間違われやすい留学との違いについても解説していきます。

帰国子女の定義

帰国子女とは、親の仕事やその他の理由で海外に住み、日本に帰国した子どもを指します。

辞書的な意味では、「親の仕事の都合などで長年海外で過ごして帰国した子供。(参考元:デジタル大辞泉「帰国子女」)」とされますが、教育機関によって独自の具体的な条件が定められている場合があります。

一般的には、一定期間(通常1年以上)海外に滞在し、現地の学校に通っていたことなどが条件とされます。大学や高校への入学時には、この期間や学籍の状況を確認し、該当者には特別な入試制度を設けている学校もあります。

「帰国子女」という言葉は、総務省の公文書などでも使われる正式な用語ですが、文部科学省では「帰国児童生徒」、学校によっては「帰国生」などと呼ばれることもあります。

なぜ「子女」?男は対象外?

そもそもなぜ「子女」なのか、「男の子は含まれないのか?」という疑問があるかもしれません。帰国子女という言葉は性別に関わらず、帰国してきたすべての子どもを対象としています。

「帰国子女」という言葉の「子女」は、男女問わず子ども全般を指す日本語の表現です。「子」は男の子、「女」は女の子を意味し、合わせて「子女」とすることで、性別を問わずすべての子どもを含むことができます。

もともと、「子女」という表現は「息子や娘」といった意味合いで使われており、古い日本語から来ています。このため、「帰国子女」には男の子も女の子も含まれており、海外から日本に戻った子ども全般を指す言葉となります。

日本にいる帰国子女の数

文部科学省の学校基本調査によると、2022年度の日本にいる帰国子女の数は、帰国児童(小学生)約6,200人、帰国生徒(中学生)約2,300人、帰国生徒(高校生)約1,300人と報告されています。

小学校が6年制であることを考慮しても、小学生の帰国子女が最も多く、子どもが小さいうちに日本に帰国して新しい環境に慣れておきたいと考える家庭が多いことがうかがえます。

学校においてもこれらのことを考慮して、帰国子女が日本の教育環境にスムーズに適応できるよう、適応支援や学習支援などの配慮を行っているところが増えてきています。

参考元:学校基本調査 | ファイル | 統計データを探す
小学生
中学生
高校生

留学との違い

帰国子女と留学生はしばしば混同されますが、これらは全く異なる概念です。

帰国子女は親の都合で海外に住んでいた子どもであり、主に家庭の事情で日本に戻ってくる場合が多いです。一方、留学生は自らの意思で海外に行き、学業を続けるために特定の期間を海外で過ごします。

留学は学問や語学の向上を目的とし、帰国子女とはその動機や滞在期間、帰国後の生活などが異なります。帰国子女は日本の教育システムに再適応する必要があるのに対し、留学生は自らの目的に向かって積極的に海外での生活を選んでいます。

「帰国子女は、家庭の事情。」「留学生は自分の希望。」この違いを理解すると帰国子女と留学生の違いが理解しやすくなります。

関西の中高一貫校における帰国子女の条件

関西の中高一貫校における帰国子女の条件

帰国子女を積極的に受け入れる中高一貫校において、帰国子女と認められるにはいくつかの条件があります。この条件は学校によって異なりますが、一般的に海外在住歴や帰国後何年以内といったものが定められている場合が多いです。

ここでは、帰国子女の受け入れに積極的な関西の代表的な私立中学・高校の事例を紹介します。

同志社国際中学校・高等学校

同志社国際中学校・高等学校は、キリスト教の理念に基づいた教育を提供し、グローバルな視野を持つ人材の育成を目指しています。そのため、全校生徒の3分の2が「帰国生徒」という、日本でも有数の帰国子女の受け入れに積極的な学校です。

この学校では、海外で1年6ヶ月以上の在住歴があり、帰国後の期間が海外在住期間を超えない人を帰国生徒として取り扱っています。

帰国生徒入試では書類審査、作文および生徒面接・保護者面接が行われています。

参考元:帰国生徒の認定条件 | 入試案内 | 同志社国際中学校・高等学校

関西学院千里国際中等部・高等部

関西学院千里国際中等部・高等部は、多様性を重視した教育方針で、国際教育に力を入れている学校です。そのため、多様な文化背景を持つ海外帰国生を広く受け入れています。

ここでの帰国子女とは、海外在住歴が1年以上2年未満で帰国後2年以内、もしくは海外在住歴2年以上で帰国後3年以内の生徒を対象としています。

帰国生入試では、学力検査と英語力、さらに面接が行われます。

参考元:2024年度実施 – 入試要項

立命館宇治中学校・高等学校

立命館宇治中学校・高等学校は、立命館学園の附属校として「自由と清新」「平和と民主主義」の理念に基づいたグローバルリーダーの育成を目標としています。また、この学校では、国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)認定校となっており、世界各国の大学への出願・入学資格を得ることができます。

ここでは、義務教育期間中に1年以上の海外在住歴がある生徒を帰国子女として認定しています。

帰国子女を対象とした国際入試は、小論文と面接があり、試験区分によっては学力検査も行われています。

参考元:国際(帰国生徒・外国籍生徒) 入学試験要項

帰国のタイミングで編入か進学か異なる

帰国のタイミングで編入か進学か異なる

帰国のタイミングによって、他の生徒と同じタイミングで進学するか、学年や年度の途中で編入するかが変わります。

それぞれの場合にメリットがあるため、帰国のタイミングにある程度自由がある人は両者を比較して検討するのがおすすめです。

進学の場合のメリット

進学のタイミングで帰国する場合、公立であれば遅くても入学式までに、私立であれば受験のシーズンまでに帰国できるよう準備をしながら進学に備えます。

進学の場合、他の新入生と同じスタートラインに立つことができるため、学業面での遅れを取る心配が少なくなります。また、新しい学校生活に一斉に慣れていくことができ、社会的な適応もスムーズに進む可能性が高いです。さらに、学校行事やクラブ活動など、学校生活全般にも積極的に参加しやすくなります。

このように、進学のタイミングに合わせて帰国することで、新しい環境に対する適応がしやすく、充実した学校生活を送ることができるでしょう。

編入の場合のメリット

編入の場合、時期を選ばず家庭の都合で帰国できるため、急な帰国が必要な場合でも柔軟に対応することができます。

また、編入を検討することで、進学のタイミングにとらわれずお子さんの適応状況に応じたタイミングで学校に入ることができます。これにより、無理なく新しい環境に慣れていくことが可能です。

さらに、編入の際には、個別に学力の確認やサポートを行ってくれる学校もあるため、学業面でのサポートが手厚く受けられる場合もあります。家庭の事情やお子さんの適応を優先して考えられる点が、編入の大きなメリットです。

入学する学校の選択肢

入学する学校の選択肢

帰国子女が日本で学校に入学する際には、公立学校、私立学校、インターナショナルスクールの3つの選択肢があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解し、適した学校を選ぶことが重要です。

ここからは、それぞれの選択肢について詳しく説明します。

公立学校に入学する場合に知っておきたいこと

公立学校に入学する場合、学費の安さや編入試験の有無、帰国子女サポートの状況について知っておくことが重要です。これらの点について以下で詳しく説明します。

学費が安い

公立学校の最大のメリットは、学費がほとんどかからないことです。

文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によれば、公立小学校の年間学習費は約35万円、公立中学校は約54万円、公立高校は約51万円です。これに対し、私立小学校の年間学習費は約167万円、私立中学校は約144万円、私立高校は約105万円と、公立学校と比べると非常に高額です。

このため、公立学校は経済的な負担が少なく、多くの家庭にとって現実的な選択肢と言えるでしょう。学費の安さは非常に重要なポイントであり、公立学校を選ぶ際の最も大きな利点となります。

他の選択肢である私立学校やインターナショナルスクールと比べて、費用の面で大きな差があるため、家計に優しい選択と言えます。

編入試験がない

公立学校の場合、基本的には編入試験がありません。そのため、帰国後すぐに編入することができる利点があります。

ただし、公立であっても中高一貫校などの場合は編入試験が必要となることがあります。また、編入時期によっては受け入れが難しい場合もあるため、事前に確認する必要があります。

他の選択肢である私立学校やインターナショナルスクールでは、試験が必要な場合が多いため、公立学校の編入のしやすさは大きなメリットと言えます。試験の準備やプレッシャーの心配がないため、帰国直後で不安を抱えるお子さんや家庭にとってストレスが少ない選択肢となります。

帰国子女のサポートがないところもある

国際化が進む近年では、公立学校でも帰国子女のサポートが充実しているところが増えてきていますが、すべての学校でサポートが整っているわけではありません。

一部の公立学校では、特別なサポートがない場合もあります。そのため、帰国子女が適応しやすい環境を求める場合は、サポート体制の確認を行う必要があります。特に、帰国子女に特化した指導を行う教師や、カウンセリングが備わっているかどうかを確認することが重要です。

一方で私立学校やインターナショナルスクールでは、公立学校に比べてサポート体制が充実していることが多いため、公立学校を選ぶ際にはこれらの点を慎重に調査する必要があります。

私立学校に入学する場合に知っておきたいこと

私立学校に入学する場合、帰国子女の受け入れ体制や教育方針、経済的な負担について理解しておくことが重要です。

私立学校の特徴や利点について以下に詳しく説明します。

帰国子女の受け入れ体制が整っている学校がある

私立学校には、帰国子女の受け入れ体制が整っている学校が多くあります。学校によっては、帰国子女が半数以上を占めるところもあり、同じ境遇の生徒たちと一緒に学べる環境が整っています。

これにより、帰国子女が持つ特有の悩みや課題に対して、理解のある環境で過ごすことができます。また、英語教育や国際バカロレアプログラム(IB)の導入など、グローバルな教育が行われている学校も多いです。

公立学校やインターナショナルスクールと比較しても、帰国子女への理解とサポートの面で私立学校は優れています。これにより、帰国後の適応がスムーズに進む可能性が高いのが特徴です。

教育方針にあった学校選びができる

私立学校は各校が独自の教育方針を持っているため、家庭の教育理念やお子さんの興味関心に合った学校を選ぶことができます。

たとえば、学力向上に力を入れている学校や、芸術やスポーツに特化した学校など、私立学校には多様な選択肢があります。このため、お子さんが自分の才能や興味を最大限に伸ばせる環境を見つけることができます。

また、私立学校の中には、1クラスあたりの生徒を少なくし、アットホームで手厚い学習環境を整えたり、独自の教育メソッドを採用したりしているところもあります。

公立学校やインターナショナルスクールと比べても、教育方針の多様性と個別のニーズに応じた選択ができる点が魅力です。

経済的な負担が公立校より重い

私立学校の最大のデメリットは、経済的な負担が公立学校よりも重いことです。前述の通り、私立学校の学費は公立学校と比べて非常に高額です。

私立学校の場合は前述の通り、年間学習費は小学校で約167万円、中学校で約144万円、高校で約105万円となっていますが、たとえば、教育方針にあった学校が遠方であった場合、交通費が平均以上にかかりますし、学校についていくための塾や家庭教師でかかる費用も人によってまちまちです。そのため、場合によっては年間総額で200万円近くかかってしまうこともあります。

このように私立学校の経済的な負担は大きいため、家庭の経済状況を十分に考慮し、長期的な計画を立てることが重要です。

インターナショナルスクールに入学する場合に知っておきたいこと

インターナショナルスクールは外国人児童生徒を主な対象とした教育施設です。しかし、近年では日本籍の帰国子女を受け入れているスクールも多く、選択肢として考えることができます。

インターナショナルスクールに入学する場合、英語教育や学校の認定状況について知っておくことが重要です。

以下にインターナショナルスクールの特徴や利点について説明します。

英語圏の学校と同様の教育を受けられる

インターナショナルスクールは、英語圏の学校と同様の教育を受けることができるのが特徴です。

カリキュラムは国際的な基準に基づいており、世界中どこでも通用する教育を提供しています。そのため、英語力を維持しながら、国際的な視野を持つ子どもに育てることができます。帰国子女にとっては、英語環境が継続できる点で大きなメリットとなります。

また、インターナショナルスクールでは、多国籍な生徒と一緒に学ぶことで、異文化理解や国際感覚を養うことができます。他の選択肢である公立学校や私立学校と比較しても、グローバルな教育環境と英語力の維持・向上が期待できる点が魅力です。

英語力がないと難しい

インターナショナルスクールは、基本的に英語で授業が行われるため、基礎的な英語力がないと授業についていくことが難しくなります。

「英語を話せるようになるための学校」ではないため、事前に十分な英語力を身につけておくことが求められます。特に、学年が上がるにつれて専門的な内容が増えるため、高い英語力が必要です。

また、家庭内でのサポートも重要となります。英語力が不足している場合は、入学前に塾での英語指導や家庭教師をつけるなど、十分な準備が必要です。

他の選択肢である公立学校や私立学校と比べても、インターナショナルスクールが求める英語力の水準は高く、適応が難しい点がデメリットです。

義務教育校として認められていないところもある

インターナショナルスクールの中には、学校教育法第1条に基づく学校(一条校)として認められていないところもあります。

この場合、日本の義務教育課程を修了したとみなされないため、日本国内での進学や就職に影響が出る可能性があります。進学先の選択肢や将来のキャリアプランを考慮し、インターナショナルスクールを選ぶ際には、認定状況を確認することが重要です。

文部科学省でも、日本人の小中学生をインターナショナルスクールに通わせる場合は、一条校として認可されている学校を選ばないと保護者の就学義務違反となるため、必ず確認するよう告知されています。

参考元:11. 学齢児童生徒をいわゆるインターナショナルスクールに通わせた場合の就学義務について:文部科学省

学校を選ぶ際のポイント

学校を選ぶ際のポイント

帰国子女が日本で学校を選ぶ際には、お子さんの希望や通学時間、サポート体制、学力の適合性など、さまざまな要素を考慮することが重要です。

ここでは、それぞれについて具体的なポイントを詳しく説明します。

子どもがどう過ごしたいかを聞く

学校選びにおいて最も重要なのは、お子さん自身の希望を尊重することです。

将来の夢や希望する生活スタイルに合った学校を選ぶことで、お子さんがモチベーションを持って学ぶことができます。

たとえば、将来英語を使った仕事に就きたいと考えているなら、英語教育に力を入れている学校を選ぶことが大切です。

また、お子さんが興味を持つ部活動や課外活動が充実している学校を選ぶことで、学校生活がより充実したものになります。こうした学校ごとの特色は私立学校に強く表れますが、私立以外でもお子さんに合っていれば選択肢として検討することができます。

家族で話し合いながら、お子さんの意見を取り入れて学校を選ぶことが、適応と成長にとって重要です。

帰国子女のためのサポートがあるか

帰国子女が日本の学校にスムーズに適応できるようにするために、学校がどの程度のサポートをしてくれるかを確認することが重要です。

学校によっては、帰国子女に対する特別なサポートがない場合もあります。そのため、入学前に日本語の補習授業やカウンセリング、文化適応プログラムなどが提供されているかどうかを調べることが必要です。

サポートが充実している学校を選ぶことで、お子さんが新しい環境に適応しやすくなり、学業や社会生活においてもストレスが軽減されます。

候補となる学校のサポート体制の有無とその充実度を確認することは、学校選びの重要なポイントとなりますので必ず確認するようにしましょう。

通学時間はどれくらいか

特にお子さんが小学生の場合、通学時間を考えてあげることは非常に大切です。

通学時間が長すぎると、お子さんにとって身体的・精神的な負担が大きくなります。また、通学経路の安全性も考慮する必要があります。通学時間が短い学校を選ぶことで、お子さんが毎日無理なく通える環境を整えることができます。

さらに、通学時間が短いことで、お子さんが家庭での時間を有効に使え、勉強や趣味に充てる時間を増やすことができます。帰国直後で新しい生活にまだ適応していない段階では特に自宅で過ごす時間が大切です。

公立学校であれば自宅に近い学校を選ぶことになりますが、私立学校やインターナショナルスクールであっても、できる限り通学時間の短さと安全性を考えて選ぶようにしましょう。

学力が足りているか

お子さんが入学を希望する学校の学力レベルについていけるかどうかも、重要なポイントです。

帰国子女は、日本の学校のカリキュラムに慣れていない場合が多いため、学力のギャップが生じることがあります。学校が行ってくれる補習授業や学習サポートの有無を確認し、お子さんが安心して学べる環境を整えてあげることが大切です。

また、入学前にお子さんの学力を確認し、必要に応じて家庭教師や塾を利用することも検討しましょう。家庭教師ならお子さんの学力や家庭環境に合わせた適切な指導を行ってくれますし、塾も個別指導でオーダーメイドのカリキュラムを組んでくれるところであれば、柔軟な対応が可能です。

学校に任せきりではなく、家庭でも十分なサポートを行うことが重要です。

以前の学校との教育方針の違いはないか

私立学校は特に、独自の教育方針を持っていることが多いため、前の学校とのギャップに注意が必要です。

教育方針やカリキュラムの違いが大きすぎると、お子さんが適応に苦労する可能性があります。たとえば、前の学校で行っていた教育メソッドや学習スタイルと全く異なる場合、お子さんが戸惑ってしまうことがあります。

学校の教育方針やカリキュラムを事前に調べ、お子さんの学び方や価値観に合った学校を選ぶことが重要です。

また、公立学校は、私立などと比べるとそこまで個性的な教育方針ではない場合が多いですが、できる限り教育方針の違いを確認し、適切な選択をすることが大切です。

高校受験の際の注意点

高校受験の際の注意点

高校受験を考える際には、帰国子女として通常とは違った注意点があります。

特に、高校入試の要件を満たしているかどうかや、帰国時期による編入先の違いについては事前にしっかりと確認することが重要です。

ここでは、高校受験の際の注意点について詳しく解説していきます。

高校入試要件を満たしているかを確認する

帰国子女として高校を受験する際には、各学校ごとに定められた入試要件を確認する必要があります。

多くの学校では、「海外で9年の教育課程を修了する、または修了見込みであること」などの具体的な要件を設けています。これには、一定期間海外で生活し、現地の学校に通っていた証明が必要です。

また、学校によっては追加の条件や特定の書類の提出を求められることもあります。たとえば、帰国子女特別枠での受験には、海外在住歴だけでなく帰国後の一定期間内に受験することが条件となる場合もあります。

入試要件を満たさない場合は受験資格が得られないため、志望校の募集要項を詳細に確認し、不明な点があれば学校に直接問い合わせることが重要です。

帰国時期により編入先が変わる

帰国子女が日本で高校受験を考える際には、帰国のタイミングも大きな影響を及ぼします。

日本と海外では年度の開始時期が異なるため、帰国するタイミングによって中学に編入して高校受験するのか、高校に直接編入するかが変わってきます。

たとえば、海外では9月に新学年が始まることが多いため、夏休み期間に帰国すると日本の学年進行とズレが生じます。この場合、年度途中で日本の中学に編入し、その後高校受験を行うことが一般的です。

一方で、帰国が日本の4月に近い場合は、日本の中学校に在籍せず高校へ直接編入することも選択肢となります。各学校の入学時期や編入試験の実施時期を調べ、最適なタイミングで帰国するよう計画することが重要です。

また、編入先の学校が行うサポート体制や、カリキュラムの違いについても事前に確認しておくことで、お子さんがスムーズに新しい環境に適応できるようにすることが大切です。

このように帰国時期と編入先の調整は、重要なポイントですので、必ず検討するようにしましょう。

大学受験でも帰国子女枠で受験できる

大学受験でも帰国子女枠で受験できる

帰国子女として大学受験を受ける場合、一般の受験とは異なる特別な枠が設けられている学校があります。これを利用することで、海外での経験や学業成果を考慮してもらうことができます。

帰国子女枠を利用した大学受験には、帰国子女入試、総合型選抜入試、公募推薦入試の3つの主な方法があります。それぞれの特徴を理解したうえで、自分に最適な方法を選びましょう。

ここからは、それぞれの入試方法について詳しく解説していきます。

帰国子女入試

帰国子女入試は、海外での教育を受けた経験を持つ学生に対して特別に設けられた入試制度です。

この入試では、一般的な筆記試験の結果だけでなく、現地での成績や備わっている英語の能力なども評価の対象となります。

たとえば、大阪大学の帰国生徒特別入試では、海外での成績証明書や事前に受験したTOEFLのスコアなどが求められています。また、面接や小論文を通じて、学生の適応力や国際的な視野も評価されます。

帰国子女入試の受験条件は厳しいことが多く、一定期間以上海外で教育を受けた経験や、日本国内での在住期間が短いことなどが要件とされます。

先ほどの大阪大学の例では、海外で12年の学校教育を受けること、海外の高等学校で2学年以上継続して学校教育を受けることなどが条件とされています。このため、帰国子女入試を受けるためには、自分の経歴や条件が大学の基準を満たしているかを事前に確認することが重要です。

帰国子女入試は他の入試方法と比べて競争が少ない分、合格のチャンスは高いかもしれませんが、準備には時間と労力が必要です。

参考元:2024年度 帰国生徒特別入試(実施済み) - 大阪大学

総合型選抜入試

総合型選抜入試は、かつてはOA入試と呼ばれた自己推薦をもとに行われる入試形式で、対象は帰国子女だけではなく、さまざまな学生が受験することができます。

この入試では、筆記試験だけでなく、面接やプレゼンテーション、活動報告書などを通じて多面的に学生を評価します。学業の成績だけでなく、スポーツや芸術活動、ボランティア活動などの実績が重要視されます。

この入試方法において、帰国子女としての国際経験や語学力は大きなアピールポイントとなります。たとえば、立命館大学グローバル教養学部のように国際色を強く打ち出した学部であれば、帰国子女としての経験を存分にアピールすることができます。

総合型選抜入試は小論文や面接を重視するため、自己分析をしっかり行い、自分の強みを的確に伝える準備が必要です。他の入試方法と比べて、自己表現力やプレゼンテーション能力が重要で、これらのスキルを十分に磨くことが求められます。

公募推薦入試

公募推薦入試は、高校からの推薦をもとに行われる入試制度で、特に高校での生活が重視されます。帰国したのがかなり前で国内での高校生活が長く、帰国子女入試の要件を満たしていない場合に検討できる入試方法です。

この入試では、学校の成績や内申書、推薦状などが評価の対象となります。高校の先生からの推薦を受けるためには、日頃から学校生活に積極的に参加し、良好な成績を維持することが重要です。また、部活動や生徒会活動、ボランティア活動など、学校内外での活動実績も評価されます。

公募推薦入試では、筆記試験の成績だけでなく、高校生活全般にわたる評価が行われるため、日常の努力が結果に直結します。他の入試方法と比べて、受験生の個性や総合的な人間性が重視されるため、学校での生活態度や活動への取り組み方が問われます。

推薦を受けるためには、早い段階から教師とのコミュニケーションを大切にし、目標を持って学校生活に取り組むことが大切です。このように、公募推薦入試は日々の努力が実を結ぶ入試方法といえます。

まとめ

帰国子女の受験、編入についてのまとめ

本記事では、帰国子女の定義から、関西の中高一貫校における帰国子女の受け入れ条件、編入と進学のメリット、入学する学校の選択肢、学校選びのポイント、高校受験の注意点、大学受験における帰国子女枠まで幅広く解説しました。

帰国子女としての教育環境は多岐にわたり、選択肢も豊富です。それぞれの選択肢の特徴やメリットを理解し、お子さんの希望や適性に合った進路を選ぶことが重要です。

本記事が、帰国子女を抱える家庭の進学や編入に関する悩みを解決し、お子さんの充実した教育環境を実現するための参考となりましたら幸いです。

クリエートベースは、大阪・梅田にて難関中学校への受験対策をおこなっている個別指導塾です。クリエートベースでは、授業形式ではなく、生徒が個別にテキストの問題を解くことを中心とした問題演習方式を採用しております。
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