どのように暗記したら効率良く覚えられるのか。そもそも暗記とは何か。教科別に気をつけるポイントはあるのか。本記事をご覧の方は、暗記を使った勉強法について、様々な疑問や悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、暗記を使った勉強法について、以下6点を解説していきます。
- そもそも暗記とは
- 記憶のメカニズム
- 効率よく暗記するコツ
- 効率の悪い暗記方法
- 小学生向け教科別暗記方法
- 短い時間に大量に覚える方法
本記事をご覧いただければ、限られた時間の中で効率的に暗記する方法を理解できます。記憶力を高める暗記法を実践し、志望校合格に一歩近づけるよう、ぜひ参考にしてください。
そもそも暗記とは
暗記とは、単語や数字などの文字を見なくても、すらすらと言えるように覚えることです。
暗記と意味が似ている言葉に「記憶力」もありますが、記憶力は暗記で覚えた知識を忘れないようにする能力を指します。
文字や数字を単純に覚えることを「暗記」、その意味も一緒に理解することを「記憶」と呼ぶ場合もあります。そのため、暗記は意味を理解せず言葉だけを覚えるイメージがあり、あまり学習効果がないと思われがちです。
しかし、中学受験で複雑な応用問題を解くためには、その土台となる基礎知識を身に付けておく必要があります。そこで暗記を活用すれば、効率的に重要事項を記憶し成績アップを狙えるでしょう。
記憶のメカニズム
人間の脳がどのように記憶するかを知っておくと、受験勉強で暗記する際もコツをも掴みやすくなります。ここからは、記憶のメカニズムについて以下5点を解説します。
- 短期記憶と長期記憶
- 反復を繰り返すことで定着する
- 情報をかたまりにする
- エピソード記憶と意味記憶
- 眠っている間に記憶が定着する
脳の仕組みと暗記の関係性を理解し、学習効果を高めましょう。
短期記憶と長期記憶
記憶は大きく分けて「短期記憶」と「長期記憶」の2種類があります。
短期記憶とは、20秒〜数分ほどで忘れる記憶のことです。どれだけ知識をインプットしても、一度の暗記で終了すれば時間の経過とともに記憶を忘れてしまいます。
そのため、暗記をする時は短期記憶を長期記憶に変える工夫が欠かせません。
長期記憶とは、一度覚えたら数年〜数十年と長期的に保持できる記憶のことです。暗記した知識が長期記憶として脳内に残ると、試験本番でも思い出しやすくなり、点数アップにつなげられます。
長期記憶には「意味記憶」「エピソード記憶」などがあり、効率よく暗記するには、これらの記憶を有効活用することが大切です。
反復を繰り返すことで定着する
暗記したことを短期記憶から長期記憶に変換するには、何度も唱えたり紙に書いたりして反復を繰り返す方法が効果的です。
ドイツの心理学者であるエビングハウスの研究では「人間は学んだことの約42%を20分後に忘れる」という結果が出ています。その後、カナダのウォータールー大学による研究で、学習後も適切な頻度で復習を繰り返せば、記憶が脳内に定着することが明らかになりました。
つまり、暗記した知識はそのままにせず、思い出したり再び覚えたりする作業を繰り返すと記憶力を高められます。
暗記をする時は、一度で大量に覚えようとするのではなく、時間を空けながら少しずつ確実に知識を身に付けることを意識しましょう。
情報をかたまりにする
短期記憶として覚えられる知識は「7±2」と容量が決まっています。そのため、人が一度にいくつもの単語を暗記するのは難しいと考えられます。
しかし、情報をかたまりにして覚える「チャンキング」を使えば、短期記憶の容量を超えた暗記が可能です。チャンキングを活用する際は、異なる情報の中に共通点を見つけましょう。
たとえば「トマト、バナナ、イチゴ、キュウリ、レタス、ニンジン、キウイ」という7つの単語を暗記する時、そのまま覚えるのは大変です。しかし、共通点を見つけて「野菜」「果物」というグループに分けると、情報がまとまって覚えやすくなります。
効率よく暗記するには、チャンキングも意識してみましょう。
参考元:George A. Miller(1956),The Magical Number Seven, Plus or Minus Two: Some Limits on our Capacity for Processing Information.
エピソード記憶と意味記憶
エピソード記憶と意味記憶は、どちらも長期記憶の一種です。
エピソード記憶とは、「家族旅行をした」「友達と喧嘩した」など、自分の体験に関する記憶を指します。感情や五感を通した記憶で、比較的忘れにくいのが特徴です。
意味記憶とは「一年は12ヶ月」「赤信号は止まれ」など、生活の中で自然に身につけられる一般的な概念のことです。勉強で覚える知識も意味記憶だといわれていますが、一般概念と違って忘れやすい傾向にあります。
勉強の知識を記憶するためには、エピソード記憶と結びつける方法が効果的です。自分の体験と結びつけることで言葉に意味を持たせられるため、ただ暗記するよりも覚えやすくなります。
眠っている間に記憶が定着する
一般的に、人間の脳には睡眠中に記憶を定着させる働きがあるといわれています。「ノンレム睡眠」「レム睡眠」という2種類の睡眠サイクルによって、脳内の情報が整理されるためです。
人の脳は、深い眠りのノンレム睡眠と、浅い眠りのレム睡眠を交互に繰り返して疲労回復します。また、ノンレム睡眠中に脳内の情報を取捨選択し、レム睡眠中に情報同士を結びつけながら整理することで、記憶力の強化も可能です。
つまり、睡眠は脳の回復だけでなく脳内の情報を整理し、記憶力を高める上でも効果があります。
特に入試が近づくと夜中まで勉強しがちですが、暗記した知識を定着させるためには、毎日の睡眠時間を十分に確保しましょう。
効率よく暗記するコツ
中学受験に向けた勉強で効率よく暗記するコツは、以下の5つです。
- 誰かに説明する
- 寝る直前に覚える
- チェックシートを利用する
- 解説動画などを見る
- 3ワードノート術を活用する
一つの暗記法にこだわらず、様々な方法を組み合わせながら記憶力を高めるように心がけましょう。
誰かに説明する
効率よく暗記するコツは、ある程度身に付いた知識を誰かに説明することです。暗記した知識を思い出しながら説明すると、言葉の意味を深く理解できます。
たとえば、台形の公式について説明する時は、単純に「(上底+下底)×高さ÷2」と教えるだけでは不十分です。公式が成り立つ理由も、相手にわかりやすく説明するよう心がけましょう。
説明の過程で、足りない知識があると判明した場合は、教科書や参考書を見ながら覚え直すことで、記憶力が強化されます。
また、説明する時は紙に書いたり声に出したりして相手に伝えましょう。視覚や聴覚が刺激されて、情報の整理やインプットをしやすくなります。
寝る直前に覚える
効率よく暗記するためには、寝る直前に覚える方法もおすすめです。暗記後に睡眠を取ることで脳内の記憶が整理されるため、情報を忘れにくくなります。
暗記した直後よりも、一定時間経ってからのほうが思い出しやすくなる現象を「レミニセンス効果」と呼びます。寝る直前に覚えると、睡眠時における脳の働きとレミニセンス効果の両方が発揮されて、より記憶力が高まるでしょう。
ただし、学習内容によっては数日後に効果が出る場合もあります。記憶向上効果がすぐに出なかったとしても、寝る直前の暗記と十分な睡眠を繰り返し、少しずつ記憶に定着させることが大切です。
学習後は、覚えた知識を何度も唱えたり書いたりする反復も心がけましょう。
チェックシートを利用する
チェックシートを利用する方法も、効率よく暗記するためには効果的です。チェックシートを使うと暗記事項を繰り返し確認できるため、覚えた知識を忘れにくくなります。
また、教科書や参考書にチェックシートを活用すれば、前後の文脈から意味を理解しつつ、重要事項を覚えられるでしょう。
学習ノートでチェックシートを利用する際は、暗記事項をオレンジ色の水性ペンで書くのがおすすめです。教科書や参考書の文字を隠す場合は、緑色のマーカーで文字の上に線を引きましょう。こうすることで、赤いチェックシートでどちらも覚えたい部分を隠すことができます。
この時、むやみに印を付けると何が重要な部分かわからなくなってしまいます。事前に教科書や参考書を読み込み、内容を十分に理解してから暗記する内容を決めましょう。
解説動画などを見る
教科書や参考書の文字だけ見ても覚えられない場合は、解説動画を活用しましょう。
特に社会や理科は、文字だけでは分かりにくい学習内容が多い傾向にあります。そこで、解説動画を見ながら具体的なイメージを深められると、単なる言葉としてではなく意味も一緒に覚えられます。
たとえば、歴史を学ぶ時はアニメーション動画を見ることで、偉人の特徴を捉えたり感情移入したりしながら楽しく学習できます。理科の実験動画も、教科書を見るより実際の流れをイメージできるでしょう。
最近は、YouTubeなどの動画サイトに様々な学習動画が掲載されています。事前に約束事を決めてから、内容理解を助けるツールとして使ってみてください。
3ワードノート術を活用する
効率よく暗記するために「3ワードノート術」を活用するのも一つの手です。
3ワードノート術とは、暗記事項を確実に覚えるための勉強法を指します。3ワードノート術を使うと、手軽に反復を繰り返すことで記憶力を高め、必要な知識をすぐに脳内から取り出せる状態をつくれます。
3ワードノート術の具体的な手順は、以下の通りです。
- ノートに「単元名」「教科書のページ数」「暗記事項」を書く
- ノートの「暗記事項」だけを見て、具体的な内容を思い出せるか確認する
- 思い出せなかった場合は、教科書を見て再度暗記する
ノートはいつでも持ち運べるようにしておくと、情報に触れる機会が増えて記憶に定着されやすくなります。
効率の悪い暗記方法
効率の悪い暗記方法は、以下の5つです。
- 一夜漬けする
- とにかく全部覚えようとする
- 一回の暗記に時間をかけすぎる
- ひとつのやり方にこだわる
- 学習量や勉強時間が少ない
効率の悪い方法で暗記すると、せっかくの勉強時間が無駄になってしまいます。暗記に苦手意識のある方は、現在の勉強法が上記に当てはまっていないかチェックしてみましょう。
一夜漬けする
学校や習い事で忙しいお子さんは、夜の時間帯に勉強することが多いでしょう。しかし、深夜帯の勉強や一夜漬けなど、睡眠時間を削ってまで暗記に取り組むと学習効果が低くなってしまいます。
睡眠は脳や体を回復させるだけでなく、記憶を定着させる上でも重要なプロセスです。一夜漬けをすると、記憶を整理・固定する脳の働きが妨げられ、どれだけ暗記しても抜け落ちる可能性があります。
また、睡眠不足は集中力低下や体調不良など、さまざまな問題を引き起こします。勉強時間を確保することは大切ですが、夜は無理せず休息を取り、脳の働きを高めるように心がけましょう。
なお、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、小学生の睡眠時間は9〜12時間が適切だといわれています。
とにかく全部覚えようとする
暗記事項を絞らず、とにかく全部覚えようとするのも効率が悪い勉強法です。効率よく暗記するためには、重要な部分だけに焦点を絞り、覚える情報を脳が処理しきれる範囲でインプットしましょう。
具体的には、志望校の出題傾向や自分の得意分野・苦手分野を把握するのがおすすめです。過去問を分析し、出題されやすい単元がわかれば学習範囲を絞って重点的に暗記できます。また、自分の得意不得意がわかれば、苦手分野の暗記に時間をかけてバランス良く勉強を進められます。
暗記をする時は、量だけでなく質も重視し、点数を取るために必要な知識を積極的に覚えましょう。
一回の暗記に時間をかけすぎる
一回の暗記に時間をかけすぎる勉強法も、あまり効果はありません。
短期記憶を長期記憶に変えるには、暗記した知識を何度も繰り返し思い出すことが大切です。そのため、一回の暗記に時間をかけるよりも、定期的に反復したほうが記憶の定着につながります。
また、人間の脳は暗記直後よりも、一定時間経ってから思い出すことで記憶を取り出しやすい仕組みになっています。
つまり、暗記の効果を高めるには、一回の勉強時間が短くても期間を空けて復習を繰り返す方法が効果的だといえるでしょう。暗記をする際は、移動時間や寝る前の時間を活用することで、効率的に覚えられます。
ひとつのやり方にこだわる
暗記をする時、ひとつのやり方にこだわる方法もあまりおすすめしません。
暗記法の種類は豊富にあり「書いたほうが覚えやすい」「図や写真を見ながら覚えたい」など、好みの勉強は人によってさまざまです。しかし、自分に合うからといって同じ暗記法を続けていると飽きが生じ、次第に集中力が落ちる可能性があります。
効率よく暗記するためには、自分に合っているかどうかだけではなく「脳を刺激できているか」「教科に合った暗記法か」も重視しましょう。
さまざまな暗記法を組み合わせて五感を刺激したり、教科に合わせて勉強法を変えたりすることで、効率的に記憶力を高められます。
暗記をする際は、ひとつのやり方にこだわらず、複数の手段を駆使しながら工夫して覚えることが大切です。
学習量や勉強時間が少ない
一度に長時間暗記することは非効率であるという話をしましたが、そもそもの学習量や勉強時間が少なすぎても、暗記事項を覚えきれない可能性があります。勉強時間だけが全てではありませんが、中学受験の出題範囲は広く、入試で幅広い分野に対応するためには一定の学習量が必要です。
小学生の一般的な勉強時間の目安は、下記の通りです。お子さんの勉強時間と照らし合わせながら、十分な学習量を確保できているか確認しましょう。
- 1〜2年生:10〜20分程度
- 3〜4年生:30〜60分程度
- 5〜6年生:60〜90分程度
中学受験を控えている4〜6年生であれば、平日に1〜3時間、休日は4〜5時間は勉強が必要だといわれています。勉強時間が大幅に少ない場合は生活リズムを見直し、無駄な時間を減らすようにしましょう。
小学生向け教科別暗記方法
ここからは、小学生向けに教科別の暗記方法をご紹介します。最近の中学受験では、ある程度の基礎知識が身に付いていることを前提とした、応用問題の出題が多い傾向です。
これまでに解説してきた方法に加え、教科に合った暗記法を実践することで、さらに効率よく勉強を進められます。
国語
国語は他の教科に比べると、暗記事項が少ない科目です。暗記が必要な漢字・四字熟語・ことわざの配点は低めですが、学校によっては知識問題をメインに出題するところもあります。
些細な知識でも、どれだけ覚えているかで受験の合否が左右される場合もあるため、すきま時間を有効活用して少しずつ定着させましょう。
漢字を暗記する時は、文字を見るだけでなく紙に書いたり声に出して読んだりするのがポイントです。ただし、漢字の意味を知らないまま暗記してもあまり効果はありません。辞書を引いて、漢字の意味や使い方を理解しながら暗記すると、より鮮明な記憶として脳内に定着します。
四字熟語・ことわざも漢字と同じく、意味や使い方を理解した上で暗記しましょう。カルタや学習漫画も活用することで、楽しく暗記できます。また、日常会話の中で、四字熟語やことわざを使う方法も効果的です。
漢字・四字熟語・ことわざの学習後は1日、1週間、1ヶ月と期間を空けながら復習を繰り返し、短期記憶から長期記憶に変換させましょう。
漢字・ことわざ・四字熟語の種類は膨大にあるため、全てを覚えようとするのではなく、要点を絞って暗記することが大切です。
算数
中学受験の算数は、基本の公式を組み合わせて解答を導く問題が多い傾向です。そのため、必要な時にいつでも思い出せるよう暗記しておきましょう。
算数の公式は、繰り返し問題を解きながら正しい使い方を覚えるのがポイントです。
また、下記のように中学受験で頻繁に出てくる計算は、先に暗記しておくことでスムーズに計算を進められる場合があります。
小数と分数の関係 | ・1/4=0.25 ・3/4=0.75 ・1/8=0.125 ・1/25=0.04 |
平方数(同じ数同士を掛けた数) | ・11×11=121 ・12×12=144 ・13×13=169 ・14×14=196 |
立方数(同じ数を3回掛けた数) | ・2×2×2=8 ・3×3×3=27 ・4×4×4=64 ・5×5×5=125 |
円周率の計算 | ・2×3.14=6.28 ・3×3.14=9.42 ・4×3.14=12.56 ・5×3.14=15.7 |
おうぎ形の中心角の割合(中心角/360°) | ・30°/360°=1/12 ・45°/360°=1/8 ・60°/360°=1/6 ・90°/360°=1/4 |
中学受験の入試では、限られた時間の中で素早く正確に問題を解かなければなりません。計算スキルを身につけたり、公式の意味を理解したりすることも重要ですが、覚えたほうが効率よく問題を解ける計算については、優先的に暗記しましょう。
理科
中学受験の理科には「物理・生物・化学・地学」の4分野があります。理科は全体的に暗記事項が多いため、ポイントを絞って効率よく覚えましょう。
詳細は学校によって異なりますが、理科の大まかな出題傾向は以下の通りです。
物理 | 暗記は少ないが現象が起こる原理への理解が重要 |
生物 | 暗記がメイン |
化学 | 暗記もあるが計算問題も多い |
地学 | 暗記と原理の理解どちらも重要 |
理科の暗記事項を覚える時は、文章だけを読んで丸暗記するのではなく、図や写真を見ながら仕組みや原理を理解するように意識しましょう。
図や写真を用いた問題は入試でも出題される傾向にあるため、自然現象や実験の手順を具体的にイメージできるようにしておくと、点数を取りやすくなります。
図や写真を使って暗記するためには、教科書や参考書を見ながらノートに書き写す方法が効果的です。正しく書き写すには、図や写真を細部まで見る必要があるため、現象や仕組みについて理解を深められます。
ある程度知識をインプットできたら問題演習に取り組み、暗記できているか確認しましょう。思い出すのが難しい項目があれば、解答解説を読み込んだり教科書やノートを見直したりして記憶の定着度を高めます。
社会
中学受験の社会は「暗記科目」といわれるほど、暗記した量で点数が左右される教科です。
暗記事項も大量にあるため、暗記をする時は単語同士を関連付けたり、自分のエピソードと絡めたりして情報をまとめましょう。
地理
地理分野では、白地図(陸地・島などの輪郭だけを線で表した地図)をもとに、山地・川・平野の名称、都道府県の名前や場所を優先的に覚えましょう。
白地図に関する知識は地理分野の土台となるため、早めに暗記しておくことで、他の単元でもスムーズに勉強を進められます。
たとえば、都道府県の名前や場所については、身近なものと結びつけて暗記する方法が効果的です。料理に使う野菜や魚の産地をお子さんに教えてあげると、勉強をする時も「昨日食べた野菜の産地だ」と鮮明な記憶として定着します。
日常生活に関連付けることで興味も湧きやすくなるため、前向きな姿勢で勉強に取り組めるでしょう。
歴史
歴史分野の暗記には年数と出来事を合わせた語呂合わせによる暗記が効果的ですが、学習内容を深く理解するためには、時代背景を捉えることも意識しましょう。
たとえば、江戸時代について学習する時、当時の出来事を単純に暗記するのではなく「なぜ江戸時代は200年以上も続いたのか」と時代背景を考えます。
その結果「幕府が大名を厳しく統制していたため」という背景がわかれば「参勤交代」や「武家諸法度」などの政策に対する理解が深まり、記憶にも残りやすくなるでしょう。
語呂合わせで覚えるよりも時間はかかりますが、時代背景を考えながら暗記することで、知識の定着度が上がり、歴史に興味を持つきっかけもできます。
どうしても時代背景を掴むのが難しい場合は、語呂合わせで暗記するのも一つの手です。
公民
公民分野は「三権分立」「議院内閣制」など難しい言葉が多く登場するため、お子さんが苦手意識を持ちやすい分野です。
そのため、公民分野を効率よく覚えるには「どのような仕組みなのか」「なぜそのような仕組みなのか」を理解するように心がけましょう。
たとえば、国の権力を「立法権」「行政権」「司法権」の3つに分ける三権分立について学習する時「なぜ日本は権力を3つに分けているのか」と考察すると、関連する知識もセットで覚えられます。
また、最近の中学受験では時事問題の出題も増加傾向です。日頃からニュースや新聞をチェックし、社会情勢に関心を持つことで入試でさらに点数を伸ばせるでしょう。
英語
中学受験は、国語・算数・理科・社会の4科目入試、もしくは主に関西で国語・算数・理科の3科目入試が基本です。しかし、近年は4科目に加えて英語を出題する中学校が関東を中心に増加傾向にあります。
中学受験における英語の出題内容は、以下の通り学校によって様々です。
- 学習指導要領の範囲内のリスニング問題
- 語彙や文法、英作文など小学校での学習範囲を超えた英語力を問う問題
- 英語による自己紹介、ディスカッションなどの面接
中学受験で英語の対策をする際は、志望校の出題傾向に合った暗記を心がけましょう。
なお、どの中学校を受験する場合でも、英単語は優先的に覚える必要があります。英単語を覚えていなければ、長文読解・英作文・リスニングなど幅広い問題に対応できないためです。
ただ、英単語を書くだけでは単なる作業になってしまい、言葉の意味や発音、正しい使い方を覚えられない可能性があります。
英単語を暗記する場合は、単語帳だけでなくCDや音読も積極的に活用しましょう。CDや音読による暗記法を取り入れると、英単語の意味だけでなく正しい発音を習得し、リスニングや面接にも対応できます。
CDや音読による暗記法で聴覚を刺激し、効率的に英単語を暗記しましょう。
短い時間に大量に覚える方法
暗記法を工夫すると、短時間で大量の知識も身に付けられます。具体的には、以下の方法がおすすめです。
- 五感をフル活用する
- 単語は文章にして覚える
- すきま時間を活用する
- 暗記アプリを活用する
試験が目前に迫っていたり、勉強時間の確保が難しかったりする場合は、上記の方法で効率的に暗記しましょう。
五感をフル活用する
短時間で大量に暗記するためには、視覚・聴覚などの五感をフル活用しましょう。長期記憶の一つであるエピソード記憶として、脳内に知識が定着しやすくなります。
たとえば、教科書の内容を暗記する時は視覚だけを使って黙読するよりも、音読をして聴覚も刺激するのがおすすめです。音読しながら紙に書き写すと手の感覚も働き、さらに暗記の効果を高められます。
教科書や参考書に載っている写真も、実物を見たり触ったりすることで脳に印象が残り、より確実に記憶できるでしょう。
五感をフル活用すれば、単純に教科書や単語帳を見るよりも短時間で長期記憶に変えられるため、大量の知識を吸収できるようになります。
単語は文章にして覚える
大量の単語を覚える時は、他の物事と結びつけながら文章にして暗記する方法もおすすめです。
たとえば「聖徳太子・十七条の憲法・冠位十二階」という3つの単語を暗記する時は、一つずつ覚えるのではなく、以下のような文章にまとめましょう。
「聖徳太子は天皇中心の国づくりを目指して、十七条の憲法や冠位十二階の制度を整えた。」
このように、複数の単語を一つの文章にまとめることで、それぞれの言葉が持つ意味を理解しながら知識を定着できます。また「聖徳太子が天皇中心の国づくりを目指していた」という関連知識を覚えられる点もメリットです。
暗記事項が大量にある場合は、共通点を見つけて一つの文章にまとめてみましょう。
すきま時間を活用する
短時間で大量に暗記するためには、すきま時間を活用する方法もあります。
移動時間や寝る前などのすきま時間を使うと、時間の制限があることにより緊張感を持てるため、一気に集中力を高めて暗記できます。
すきま時間で暗記する際は「◯分で5つの単語を覚える」と明確な目標を設定しましょう。「とにかく暗記する」のように目標が曖昧だと、単語に目を通すだけで精一杯になってしまう可能性があります。
暗記の効果を高めるには、限られた時間の中で覚えられる学習量を設定し、一つ一つ確実に記憶することが大切です。
すきま時間で暗記する際も、小さな声で唱えたり指で文字を書いたりすると、五感をフル活用しながら記憶力を高められます。
暗記アプリを活用する
大量の知識を短時間で覚えるには、暗記アプリも効果的です。暗記アプリを活用することで、余計な手間を省きつつ暗記に時間をかけられます。
暗記アプリとは、スマホで簡単に暗記帳を作成できるアプリのことです。暗記帳の持ち運びや編集も手軽に行えるため、勉強時間や反復の機会を増やして効率的に大量の知識を覚えられます。
暗記アプリを選ぶ際は、小学生のお子さんでも簡単に操作できるか、機能は充実しているか、無料か有料かなどをチェックしてみてください。
また、暗記アプリを使う時は、他のアプリで遊んでしまうことがないよう事前に約束事やルールを設けましょう。暗記帳作成にかかる手間が省けたり、記憶力アップに効果的なサポートを受けられたりすると、短い時間で様々な知識を吸収できます。
まとめ
本記事では、暗記を使った勉強法についてご説明しましたが、特に大切なポイントは次の3つです。
- 中学受験に必要な基礎知識を身に付けるには、暗記を使った勉強法が効果的
- 効率よく暗記するためには、十分な睡眠時間を確保しつつ何度も反復を繰り返すことが大切
- 短時間で大量の知識を暗記する場合は、すきま時間や暗記アプリだけでなく五感もフル活用すると良い
学習効果の高い暗記法は豊富にあるため、お子さんに合うペースで少しずつ取り入れてみましょう。
本記事の内容をもとに、親御さんやお子さんにとって最適の暗記法を見つけ、中学受験に向けてより一層記憶力を高められるよう、心からお祈り申し上げます。