漢字の勉強は中学受験でどのくらい重要なのか。どのように勉強したら漢字を効率よく覚えられるのか。漢字の問題集はどれがおすすめなのか。
本記事をご覧の方は、中学受験における漢字の重要性や効果的な勉強方法について、さまざまな疑問や悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、中学受験における漢字の勉強について以下の5点を解説します。
- 中学受験における漢字の重要性や出題傾向
- 中学受験生の漢字が苦手な理由
- 中学受験に向けて正しい漢字の勉強方法・避けるべき勉強方法
- おすすめの問題集の選び方
- 漢字学習で親御さんができるサポート
本記事をご覧いただければ、漢字の正しい意味や使い方を効率的に覚える方法を理解し、志望校合格に向けて語彙力や読解力を身につけられます。国語を含めた教科全体の総合的な学力を上げたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
中学受験で漢字は重要なのか
中学受験における漢字は問題数や配点が少ない傾向です。しかし、覚えているかどうかで合否が分かれたり、国語の長文読解や他教科の得点に影響を与えたりするため、日々の勉強を積み重ねて確実に習得する必要があります。
ここで中学受験における漢字の重要性を理解し、何のために覚えるのか目的意識をもって勉強に取り組みましょう。
漢字は重要な得点源になる
中学受験における漢字は、合否を左右する重要な得点源です。多くの中学校では漢字を出題する傾向にあり、1点の差で合否が決まる場合もあります。
たとえば、東京都にある成城学園中学校の2024年度入試では、以下の形式で漢字の問題が出題されています。
次の線のカタカナ部分を漢字に直しなさい。 1.ケイソツな行動。 2.はだにココロヨい風。 3.ゼンゴ策を考える。 4.トウシツをひかえる。 5.ガイロ樹を植える。 6.ザッコクを食べる。 7.ジュウオウに動き回る。 8.すばらしいコウセキをあげる。 |
問題数は少なめですが、1つの失点で順位を大きく落とす可能性があるため、漢字の書き取りや問題演習を通して確実に覚えましょう。
読解力の向上にも繋がる
漢字を覚えると語彙力や読解力が向上し、国語の長文読解はもちろん他教科の文章問題を正しく理解できるようになります。
中学受験の国語では、小学校の学習範囲を超えた難易度が高い文章を扱う傾向があります。そのため、漢字や熟語の意味や読み方を知らなければ、内容を十分に理解できず失点も増えるでしょう。
しかし、中学受験に向けて漢字を勉強すれば物語文や説明文の内容をスムーズに理解し、正答率も上がるはずです。国語に限らず算数や社会、理科でも漢字を習得して語彙力・読解力を伸ばすことで問題場面を把握しやすくなります。
このように、中学受験の漢字は読解力の向上にも繋がるため、毎日コツコツと勉強して正しい使い方を覚えることが大切です。
中学受験における漢字の出題傾向
中学受験における漢字の問題には、以下の特徴があります。
- 「よく出る漢字」のような出題傾向はない
- 独立した大問として出題される
- 文章問題の中で出題される
上記の内容を踏まえて志望校の出題傾向を把握し、それに合わせた受験対策をしましょう。
「よく出る漢字」のような出題傾向はない
中学受験の漢字には「よく出る漢字」のような出題傾向はありません。ただ、基本的には6年生までに習う漢字の中からまんべんなく出題されるため、教科書や問題集を見て一通り覚える必要があります。
平成29年に改訂された学習指導要領によると、小学校で習う漢字は全部で1,026字です。以下の表を参考に目標を立て、計画的に勉強しましょう。
学年 | 学習する漢字の数 |
1年生 | 80字 |
2年生 | 160字 |
3年生 | 200字 |
4年生 | 202字 |
5年生 | 193字 |
6年生 | 191字 |
合計 | 1026字 |
参考元:【国語編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説丨文部科学省
また中学受験では「軽率」「善後策」など、小学生が聞き慣れない言葉も出題されます。そのため漢字を覚えるときは書き方・読み方に限らず、意味や使い方もセットで確認することが大切です。
独立した大問として出題される
中学受験で多く見られるのは、独立した大問として漢字の書き取り問題を出題する形式です。問題文に登場する平仮名やカタカナを漢字に書き直す形式や、大阪府にある桃山学院中学校のように文中の誤った漢字を正しく書き直す形式があります。
次の文から誤って使われている漢字一字をそれぞれぬき出し、同じ読みの正しい漢字を答えなさい。 1.私の祖父は以外にも料理が得意だ。 2.劇団の最初の公演が成功することを確心している。 |
漢字の書き取り問題は文章とセットで出題されるため、文の内容に合った漢字や熟語を推測して当てはめるのがポイントです。
文章問題の中で出題される
物語文や説明文など、文章問題の中で漢字の問題を出題する中学校も多く見られます。奈良県にある西大和学園中学校は2024年度入試で、説明文の長文読解で以下の問題を出題しました。
物語文や説明文など、文章問題で漢字を出題する中学校も多い傾向です。奈良県にある西大和学園中学校の2024年度入試では以下の問題を出題しており、①〜⑤までの漢字はすべて本文に出てくる漢字を示していました。
①〜⑤のカタカナを、それぞれ漢字に直しなさい。(かい書で、ていねいに書くこと) ①チマナコになって ②ミッセツに連なっている ③センノウされてゆく ④見えなくなるジタイを ⑤ユウエキだからといって |
参考元:入試問題ダウンロード | 入学案内 | 西大和学園中学校・高等学校
文章問題の中で出題される場合も、文の内容を理解した上で適切な漢字・熟語を答えるのが基本です。
中学受験生の漢字が苦手な理由
次に挙げる6つの特徴に当てはまるお子さんは、漢字の勉強に苦手意識を感じている可能性があります。
- 複数の読み方を覚えていない
- 単調な学習でモチベーションが下がる
- 非効率な暗記方法をしている
- 高学年から漢字が難しくなる
- 漢字の意味を理解していない
- 本を読む習慣がない
漢字の成績が伸び悩んでいる場合は上記を参考に理由を探り、勉強方法を改善しましょう。
複数の読み方を覚えていない
漢字を覚えるときに複数の読み方を習得していないお子さんは、文章を読めない・書けない場面が増えて苦手意識を強く感じるかもしれません。
たとえば6年生で習う「割」は、訓読みの「わる」だけでなく音読みの「カツ」と読む場合もあります。しかし、訓読みしか知らなければ「分割」「割愛」などの熟語が出てくる問題に対応するのが難しくなるでしょう。
中学受験に向けて漢字を勉強する際は、音読み・訓読みをどちらも確認し、送り仮名や熟語を使った例文を読んだり書いたりして使い方を習得することが大切です。
単調な学習でモチベーションが下がる
漢字の勉強は、書き取り作業が中心の単調な学習になりがちです。だからといって、書き取り作業を無理に続けるとモチベーションが下がり苦手意識を感じてしまいます。やる気が出ない状態で漢字を書き続けても、正しい意味や使い方は十分に覚えられません。
単調な学習が続き、お子さんのモチベーションが落ちる場合は以下の方法を実践しましょう。
- 漢字を使った例文を音読する
- 漢字を使った文章を自分で考えて書く
- 家族で漢字クイズを出し合い得点を競う
何も考えずに漢字を書き続けるのではなく、声に出したり遊び感覚で覚えたりすると印象に残りやすく、楽しみながら学習できます。
非効率な暗記方法をしている
「漢字を20回書く」「漢字でノートを埋める」のように書く作業自体が目的になってしまっている勉強方法は非効率的です。たくさん漢字を練習しても、正しい意味や使い方を覚えられず期待以上の成果を上げられないでしょう。
漢字を毎日書いて覚えているのに定着しない方は、書く作業が目的になっていないか日々の勉強を振り返ってみてください。漢字を書くだけで満足している場合は、書く作業のあとに問題を解く、覚えた漢字・熟語を使って文章を書くなどの方法も取り入れると効率的に覚えられます。
漢字の勉強では書き方・読み方をただ覚えるだけでなく、問題演習や長文読解で正しく使えるかを意識するのがポイントです。
高学年から漢字が難しくなる
高学年で習う漢字が難しくなるのも、多くのお子さんが苦手意識を感じる理由の一つです。高学年は日常生活であまり使わない漢字も習うため、覚えるのに時間がかかってモチベーションも低くなってしまいます。
高学年の漢字は、漢字の成り立ちや部首もセットで覚えるのがおすすめです。たとえば6年生で習う「臓」は、体の部分や状態を表す部首「にくづき(月)」と、物を納める「くら(蔵)」が合わさった漢字を指します。漢字の成り立ちを知ると「内臓」や「心臓」など体内にある器官を表す言葉で「臓」を使うことがスムーズに理解できるでしょう。
このように、漢字の成り立ちや部首についての理解を深めれば意味を覚えやすくなり、言葉に対する興味の幅も広げられるかもしれません。
漢字の意味を理解していない
漢字の意味を理解せず、書き方だけ覚えているお子さんは長文読解や文章問題に対応するのが難しくなるため、成績が伸び悩み苦手意識に繋がってしまいます。
漢字の書き方を覚えることは、中学受験で確実に点数を取るために大事なポイントです。しかし、覚えた漢字の正しい意味や使い方を知らなければ、文の内容を理解できても適切な漢字・熟語を推測できません。
「漢字は覚えているのにテストや模試でミスが多い」という方は、日々の勉強で「とめ・はね・はらい」などの書き方に限らず、どのような意味があるのか、どのような場面・文章で使うのかもセットで覚えることを意識しましょう。
本を読む習慣がない
本を読む習慣がないお子さんは、漢字にふれる機会が少ないため勉強しても正しい書き方や意味を覚えにくく、失点が増えてモチベーションの低下に繋がります。本を読む習慣がないと読解力もあまり伸びないため、国語の長文読解や他教科の文章問題に苦戦する場面も増えるでしょう。
本を読む習慣をつけるためには、お子さんが好きなジャンルの本を読ませて文章に慣れ親しむのがおすすめです。読書に慣れないうちは絵本や図鑑、マンガなどを選んでもかまいません。読書を通して興味の幅が広がると、徐々に小説や新聞も読めるようになり漢字の習得や語彙力・読解力の向上が見込めます。
中学受験に向けて正しい漢字の勉強方法
漢字に苦手意識があるお子さんでも、以下の5つの方法を実践することで正しい読み方・書き方を着実に習得できます。
- 毎日続けて習慣化する
- 正しい書き方と反復学習を意識する
- 意味を理解しながら覚える
- 定期的な復習とテストを活用する
- 目的意識をもって学習する
目的意識をもって勉強し、漢字を覚えたあとは定期的に復習することが成績を伸ばすためのポイントです。
毎日続けて習慣化する
中学受験に向けて覚えなければならない漢字は全部で1,026字あります。大量にある漢字を効率よく覚えるためには、5〜10分間の短時間でもいいので毎日続けて勉強しましょう。漢字が苦手なお子さんは、得意科目の勉強後に学習時間を設定するとモチベーションの低下を抑えられます。
毎日続けるためには、漢字の理解度によって勉強方法を変えるのもおすすめです。漢字をある程度習得している場合は、熟語を使った例文を読んだり書いたりして応用力を身につけましょう。新しい漢字や苦手な漢字を覚える際は、書き取り練習で読み方や書き順、意味を習得します。
勉強方法が異なれば脳に与える刺激も変わるため、印象に残り覚えやすくなるはずです。
正しい書き方と反復学習を意識する
正しい書き方や反復学習を意識することも、効率よく漢字の勉強を進めるためには大事な要素です。
中学受験では、漢字の書き取り問題で「正しく書けているか」を重視する学校もあります。この場合、試験で漢字を正しく書けなければ失点に繋がるため、日頃から「とめ・はね・はらい」や書き順を意識することが大切です。3〜5回ほど漢字を練習し、お手本と見比べながら正しく書けているかをチェックすると細かな間違いに気づけます。
正しい書き方を覚えたら、数日〜1週間ほど期間を空けて再び漢字を練習しましょう。正確に覚えているか確かめられるのはもちろん、思い出す作業によって記憶力を高められます。
意味を理解しながら覚える
漢字の成り立ちや部首の意味を理解し、熟語や例文を活用して覚える方法もあります。
小学校で覚える漢字の成り立ちは、以下のように「意味を表す部分」と「音を表す部分」を組み合わせた「形声文字」であることがほとんどです。意味を表す部分は「偏(へん)」や「旁(つくり)」、「冠(かんむり)」などの部首として扱われます。
漢字 | 意味を表す部分 | 音を表す部分 |
晴 | 日(太陽を意味する) | 青(セイ) |
飯 | 食(食べ物を意味する) | 反(ハン) |
語 | 言(言葉を意味する) | 吾(ゴ) |
また、熟語や例文を活用すれば覚えた漢字をどのような場面で使うのかを知れるため、長文読解や文章問題の内容理解に役立ちます。
定期的な復習とテストを活用する
漢字を覚えたあとは翌日、1週間後、1ヶ月後と定期的に確認テストを行いましょう。人の脳は、以下3つのプロセスを繰り返すことで記憶力を高めるといわれています。
- 記銘:新しい情報を脳内にインプットする
- 保持:記銘した情報を脳内に保存する
- 想起:保持した情報を記憶から取り出す
つまり、漢字を確実に覚えるためには教科書を見てインプットするほか、文章作成や問題演習などで書き方・読み方を思い出す作業も必要になります。思い出す作業は、覚えた漢字を忘れそうなタイミングで行うのが効果的です。
復習やテストで間違えた問題は、その日のうちに確認してミスの原因や自分のクセを把握しましょう。
目的意識をもって学習する
漢字の勉強では「なぜ学ぶのか」を理解することも高いモチベーション維持には不可欠です。中学受験における漢字の問題数や配点が少なくても、覚えることで長文読解や文章問題の得点にも繋がり、志望校合格に近づけることを理解できれば目的意識をもって勉強に取り組めます。
目的意識をもって学習するためには「何のために中学受験をするのか」「将来どのような夢を叶えたいのか」など受験の目的・目標を明確にしましょう。
漢字が苦手で目的意識をもつのが難しい場合は「漢字の小テストで10点中8点取る」など、達成しやすい目標をクリアすることから始めると徐々に自信がつき、学習意欲を高められます。
避けるべき漢字の勉強方法
漢字を覚えるとき、以下の5つの方法で勉強してしまうと成績が伸び悩む原因になるため注意しましょう。
- 何も考えずにひたすら書く
- 一度しか学習しない
- 乱雑な字で練習する
- 漢字を書かずに見るだけ
- 一夜漬けで覚えようとする
重点的に漢字を勉強しても点数が伸びない方は、上記に当てはまる部分がないかチェックしてみてください。
何も考えずにひたすら書く
漢字の読み方や送り仮名、書き順、意味、部首などを意識せず、ひたすら書くだけの作業は知識の定着に繋がりません。
たとえば「除」を覚えるときに何も考えず書くだけでは「除=とりのぞく」という意味の理解までたどり着けないでしょう。その結果「ジョセツ(除雪)する」「雑草をノゾく(除く)」などの文章を読んだり書いたりできず、他の受験生に差をつけられてしまいます。
漢字を覚えるときに練習量を重視している方は、辞典で意味を調べる、例文を書くなどの勉強方法も積極的に取り入れましょう。他の言葉とのつながりや文中での使い方を理解できると、長文読解や他教科の文章問題を解く際にも役立ちます。
一度しか学習しない
人の脳は「記銘→保持→想起」のプロセスを繰り返すことで記憶力を強化するため、一度の学習で暗記を終わらせる方法はあまり効果がありません。
ドイツの心理学者であるエビングハウスの研究では「人間は学んだことの約42%を20分後に忘れる」ことが明らかになりました。ただ、その後カナダのウォータールー大学による研究で「適切な頻度で復習を繰り返せば記憶が脳内に定着する」という結果が出ています。
つまり、漢字を確実に覚えるには期間を空けながら復習を繰り返し、記憶を定着させることが大切です。漢字を覚えたあとは翌日、1週間後、1ヶ月後に復習を行うほか、問題集も3周以上繰り返し解いて正しい意味や使い方を身につけましょう。
乱雑な字で練習する
普段から乱雑な字で練習するクセがあると、試験本番でも採点者が読みにくい文字で答えを書いてしまい減点されるおそれがあります。
中学受験では、限られた時間の中で難易度の高い問題をいくつも解かなければならないため、緊張のあまり整った文字を書く余裕がなくなりがちです。その中で少しでも高い点数を取るためには、普段から「とめ・はね・はらい」や書き順を意識して正しい書き方を習慣化する必要があります。
漢字に限らず、平仮名やカタカナ、数字でも乱雑に書けば減点対象となるでしょう。急いで問題を解かなければならない状況でも、つなげたり省略したりせずに正しい文字を書くことが確実に点数を取る上で大切です。
漢字を書かずに見るだけ
漢字を書かずに見るだけの勉強方法は、脳への刺激が弱くなり学習効果が低くなる可能性があります。
五感と記憶は密接に関わっており、漢字を効率よく覚えるにはさまざまな感覚と連動させながらインプットすることが大切です。しかし、漢字を見るだけだと視覚しか使わないため、正しい読み方・書き方を覚えるのに時間がかかるでしょう。高学年になって難しい漢字が増えたとき、「とめ・はね・はらい」の場所を間違えて覚える原因にもなります。
漢字を見て覚える勉強法は、読み方や意味を確認するときなど限定的な場面で取り入れるのが効果的です。初めて目にする漢字を覚えるときや、正しい書き方を覚えるときは声に出したり手を動かしたりして五感をフル活用しましょう。
一夜漬けで覚えようとする
漢字を確実に覚えるためには、何度も繰り返し復習することが大切です。そのため、テスト直前に一夜漬けで覚える方法は短期的な効果しか見込めず、長期にわたる中学受験には不向きだといえます。
一夜漬けで覚えなければならない状況を防ぐためには、早い時期から受験の目標や計画を立てて勉強を進めましょう。以下の方法で勉強効率を上げるのもおすすめです。
- 通学時間や休み時間、日常生活のすきま時間を有効活用する
- 学習塾や家庭教師を利用して効率的に勉強を進める
入試まで時間がなくても、集中力や健康状態を維持するために睡眠時間を確保し、一夜漬けにならないよう日々の学習ペースや生活リズムを整えましょう。
おすすめの問題集の選び方
学習習慣がないお子さんや、教科書の勉強に飽きているお子さんの場合は、問題集を使うことで高い学習効果を得られる可能性があります。
中学受験対策として使う漢字の問題集は、以下のポイントを押さえて選びましょう。
- 現在のレベルに合わせた問題集を選ぶ
- 低学年・初心者はドリルタイプから始める
- とめ・はね・はらいなど書き方の基本が学べるものを選ぶ
- 漢字の掲載数と対象学年を確認する
- 熟語や対義語も強化できるものを選ぶ
最初はドリルタイプから始め、学習が進むにつれて問題集の難易度も上げると中学受験に対応できる学力を身につけられます。
現在のレベルに合わせた問題集を選ぶ
中学受験に向けた漢字の問題集は、お子さんのレベルに合わせて選びましょう。お子さんの学力とかけ離れた難度の問題集を用意すると、簡単すぎたり反対に難しすぎてクリアできなかったりして、勉強のモチベーションが下がる可能性があるためです。
問題集のレベルがお子さんに合っており、無理なく解き進められると達成感を味わいやすく学習意欲も高まります。問題集が終わっても、2周目、3周目と繰り返し解けば記憶力が強化され、長文読解や文章問題の内容を理解できる応用力も身につくはずです。
漢字が苦手なお子さんでも1つの問題集を解き終わり、次のステップに進むことで自信がつき、高いモチベーションで勉強に臨めるでしょう。
低学年・初心者はドリルタイプから始める
低学年のお子さんや、漢字の勉強に慣れていないお子さんは、簡単で取り組みやすいドリルタイプから始めるのがおすすめです。ドリルタイプの問題集は、漢字の正しい書き方を図で示したり、なぞり書きの欄を設けたりしているため一つずつ丁寧に練習できます。
ページを切り離せるドリルを用意し、お子さんに1日のノルマを渡せばゴールが明確になり、目的意識をもって取り組めます。ドリルタイプは難易度も易しく、短時間で学習を終えられるため、朝食前や夕飯後などのすきま時間で勉強できる点もメリットです。
勉強を毎日継続することで学習習慣も身につき、着実に成績を伸ばせます。
とめ・はね・はらいなど書き方の基本が学べるものを選ぶ
正しい漢字を書いて確実に点数を取るためには、「とめ・はね・はらい」など書き方の基本や書き順を丁寧に学べる問題集を選びましょう。特に初心者向けのドリルタイプがおすすめです。
読み方・書き方の習得を重視した漢字ドリルには、書き順や「とめ・はね・はらい」の場所が図やイラストで詳細に記載されているため、お手本を意識することで整った字を書けます。初心者に限らず「漢字を書くのが苦手」「乱雑な書き方がクセになっている」というお子さんにもドリルタイプは適しているでしょう。
ドリルに慣れてきたら、お手本なしでノートに書き取る練習をすると正しい書き方を徐々に身につけられます。
漢字の掲載数と対象学年を確認する
漢字の掲載数と対象学年を事前に確認すると、お子さんの学力や学習進度に合った問題集を選べます。問題集に掲載されている漢字の数と難易度がお子さんのレベルに合っていれば、無理のないペースで解き進められるはずです。
たとえば勉強が得意な4年生のお子さんで、6年生の漢字も習得している場合は5〜6年生向けの問題集を選ぶと、適切な難易度で達成感を味わいながら取り組めます。
ただし親御さんの意思だけで問題集を選ぶと、お子さんのモチベーション低下を招くおそれがあるため注意が必要です。問題集を用意するときは親子で相談しながら、お子さんが「これなら頑張れそう」と思えるものを選びましょう。
熟語や対義語も強化できるものを選ぶ
中学受験で国語全体の学力を伸ばすためには、難易度の高い文章を理解する読解力や自分の考えをわかりやすく伝える表現力も必要です。そのため、出題範囲の漢字を覚えたら熟語や対義語を強化できる問題集にも取り組み、語彙を増やして読解力・表現力の向上に繋げましょう。
同音異義語や同訓異字に関する問題も掲載されているものを選ぶと、さらに語彙力が向上して対応できる問題の幅を広げられます。問題に取り組む際は、語句をそのまま覚えるのではなく辞書を引いて意味を理解しながら解き進めることが大切です。
6年生までの漢字を確実に習得し、関連語句に関する問題演習を通して語彙を増やせば、国語を含めた各教科の総合的な学力を底上げできます。
漢字学習で親御さんができるサポート
漢字に苦手意識があり、なかなか覚えられない様子を見ると不安に感じる親御さんは多いでしょう。しかし、漢字の成績が伸びなくて焦っているのはお子さんも同じです。親御さんは以下の5つの方法を実践し、お子さんが安心感をもって楽しく漢字を覚えられるようにサポートしましょう。
- 漢字を見える化して意欲を向上させる
- 漢字辞典を使って一緒に勉強する
- 丸付けをしながら細かい部分を確認する
- 楽しく学べる教材を選ぶ
- 日常生活の中で漢字にふれあう機会を作る
漢字が苦手な理由を把握し、それに合わせて勉強方法の見直しや声掛けをすれば、お子さんに自信がつき着実に成績を伸ばせます。
漢字を見える化して意欲を向上させる
漢字を一覧形式で壁に貼り出して見える化し、書き方や読み方を覚えるたびに印をつけて学習意欲を向上させる方法は効果的です。自分がどれくらい漢字を覚えたのかひと目でわかるため、お子さんが達成感を味わいやすくなり勉強のモチベーションを高められます。
壁に貼った漢字を見ながら「こんなに覚えたんだね」「書ける漢字が増えてきたね」と褒めれば自信がつき、ますます勉強に励めるでしょう。
壁に掲示する漢字は、子供部屋やリビングなど頻繁に出入りする場所に貼っておくと、すぐに学習の進捗を把握できます。
漢字辞典を使って一緒に勉強する
漢字の正しい意味や使い方を覚えるために、漢字辞典を使って一緒に勉強する方法もおすすめです。漢字辞典には漢字の意味や成り立ち、部首などの情報が載っているため、言葉の理解を深められます。
中学受験で高い点数を取るためには、漢字の意味を正しく理解して長文読解や文章問題への対応力を身につけることが大切です。教科書の漢字や身近な漢字について、お子さんと一緒に調べる習慣をつければ言葉への理解や興味が深まり、中高レベルの難易度が高い文章を読む力も鍛えられるでしょう。
漢字辞典は勉強机の近くや、リビングの取り出しやすい場所に置くことで気になる漢字を見つけたときにすぐ調べられます。
丸付けをしながら細かい部分を確認する
漢字を正しく書けているのかについて、丸付けをしながら細かい部分を確認するのも親御さんの重要な役割です。模範解答と照らし合わせながら「とめ・はね・はらい」ができているかをチェックし、正しく書けていない部分があれば改善点をアドバイスしましょう。
ただ、質問や注意ばかりするとモチベーションが下がり、親御さんに丸付けを頼まなくなる可能性があるため注意が必要です。「とても読みやすく書けているよ」「熟語の意味もしっかり理解しているね」と積極的に褒めることで、お子さんは「次も頑張ろう」と高いモチベーションを維持できます。
間違えた問題には印をつけ、1週間後や1ヶ月後に解き直しをすると反復学習の効果で記憶力を高められるでしょう。
楽しく学べる教材を選ぶ
お子さんのレベルや学年に合った問題集を選ぶのは、漢字の勉強効率を上げるための大事なポイントです。しかし親御さんの意思だけで選ぶと、優れた問題集でもお子さんのやる気に繋がらず、勉強が捗らない可能性があります。
そのため、漢字の問題集を使うときは親子で書店に行き、お子さんが「やってみたい」と思える教材を選ぶことが主体性やモチベーションの向上を図るためには重要です。問題集の内容が勉強の目的に合っていれば、お子さんの好きなキャラクターやイラストが載っている教材でも問題ありません。
勉強が苦手なお子さんでも、好きな教材を自分の意思で決めればテキストを見るのが楽しみになり、漢字に対する抵抗感も少しずつ薄れるでしょう。
日常生活の中で漢字にふれあう機会を作る
日常生活の中で漢字にふれあう機会を作ると、さまざまな言葉に慣れ親しみながら楽しく習得できます。勉強以外の場面で目にする漢字にも意識を向け、お子さんと一緒に意味や成り立ち、読み方や書き方を調べてみましょう。
具体的には家族で外出しているときや、テレビ番組を見ているときに「あれは何と読むのかな」「どんな意味があるのかな」と声をかけます。中学受験の出題範囲に含まれない漢字でも、お子さんが興味をもっていれば積極的に調べることで言葉への関心を深められるはずです。
テレビのクイズ番組で漢字の問題が出されているときも、お子さんと一緒に挑戦してみてください。普段の何気ない会話から漢字に対する興味を深め、学習意欲を高めることで幅広い問題に対応できる語彙力や読解力を身につけられます。
まとめ
本記事では、中学受験における漢字の重要性や効果的な勉強方法についてご説明しましたが、特に大切なポイントは以下の3つです。
- 中学受験における漢字は問題数や配点が少ないものの、覚えているかどうかで合否が決まる場合もある
- 漢字を効率よく覚えるには毎日短時間でも勉強を継続し、定期的に復習することが大切
- 漢字の問題集はお子さんのレベルに合ったものを選び、ある程度習得できたら熟語や対義語も強化すると良い
漢字が苦手な場合は、お子さんとの会話や学習の様子から理由を把握し、それに合わせた解決策を実践することで少しずつ成績を伸ばせるでしょう。
本記事の内容をもとに、お子さんが効率よく勉強できる方法を見つけ、志望校合格に向けて成績を伸ばせるよう心からお祈り申し上げます。