中学受験に家庭教師は必要なのか。家庭教師にかかる費用はどれくらいなのか。集団指導塾や個別指導塾とは何が違うのか。
本記事をご覧の方は、中学受験における家庭教師の利用について、様々な疑問や悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、中学受験における家庭教師の利用について、以下5点を解説していきます。
- 中学受験で家庭教師が必要なケース
- 中学受験での家庭教師の選び方
- 家庭教師の相場やメリット・デメリット
- 家庭教師の効果的な受け方
- 集団指導塾や個別指導塾との違い
本記事をご覧いただければ、中学受験における家庭教師の適切な選び方や活用方法を具体的に理解できます。
中学受験に向けて家庭教師を効果的に利用し、志望校合格に一歩近づけるよう、ぜひ参考にしてください。
目次
中学受験で家庭教師が必要なケース
中学受験で下記のケースに当てはまる場合は、家庭教師の利用を検討しましょう。
- 集団授業のペースと合わないとき
- 受験勉強を始めるのが遅かったとき
- 志望校が固まった後の直前期
中学受験に向けて家庭教師を利用することで、塾や独学だけでは不足しがちな学習内容をカバーできます。
集団授業のペースと合わないとき
中学受験に向けて集団指導塾に通っているけれど、授業のペースが自分に合わないと感じる場合は、家庭教師が必要だといえるでしょう。
一般的に、中学受験対策では集団指導塾に通うことが多い傾向です。集団指導塾のカリキュラムは中学受験の出題範囲を網羅しており、授業に参加することで効率的に対策を進められます。
しかし、クラスのレベルや講師の教え方によっては、授業のペースが自分に合わず学習内容を理解できないことがあるかもしれません。授業で一度つまずくと勉強に遅れを取り、苦手分野が増えてしまうため、志望校合格も遠ざかるでしょう。
集団授業のペースに合わない時は、弱点を克服するためにも家庭教師の利用をおすすめします。
受験勉強を始めるのが遅かったとき
多くの集団指導塾では、中学受験に向けたカリキュラムを3年生の春休み前からスタートします。
もちろん、途中からの入塾も可能ですが、それ以前の学習内容については自分で勉強しなければなりません。受験勉強の開始時期が遅くなればなるほど、お子さんの負担は大きくなるでしょう。
このように、受験勉強を始めるのが遅くなった場合も、家庭教師を利用することで不足した学習量をカバーできます。短期間でも目標を達成できるよう、お子さんの学力や志望校レベルに合った学習計画の作成や勉強法のアドバイスが可能です。
苦手分野についても、マンツーマン指導の家庭教師であればすぐに質問して解消できるため、着実に学力を身につけられます。
志望校が固まった後の直前期
志望校が固まった後の直前期も、家庭教師を利用するおすすめのタイミングです。
集団指導塾は生徒一人ひとりに合わせた個別対応が難しく、志望校に特化した勉強は自分で進める必要があります。しかし、志望校の入試傾向を把握したり過去問の解説を理解したりするのには時間がかかり、独学だと勉強効率が悪くなるかもしれません。
そこで、柔軟にカリキュラムを組める家庭教師を利用すると、志望校に合わせたピンポイントの学習ができます。
中学受験のノウハウを豊富に持っている家庭教師であれば、プロの目線から出題傾向を把握し、効果的な勉強法を提案してくれるでしょう。
中学受験での家庭教師の選び方
中学受験に向けて家庭教師を選ぶ際は、以下4つのポイントを押さえましょう。
- 派遣型家庭教師か個人契約か
- 中学受験のプロが教えてくれるか
- お子さんとの相性は合っているか
- 合格実績や口コミが公開されているか
教師の指導力はもちろん、お子さんとの相性や合格実績など、様々な視点から総合的に判断することが大切です。
派遣型家庭教師か個人契約か
家庭教師を選ぶ際は、まず派遣型と個人契約のどちらにするか決めましょう。
派遣型家庭教師とは、家庭教師の事業を行っている会社に登録している家庭教師を指します。派遣型家庭教師は指導管理システムが整っているため、教師の指導力がある程度保証されています。
一方、個人契約の家庭教師とは、派遣会社に登録せず個人で活動している家庭教師を指します。
個人契約の家庭教師は、派遣会社の仲介手数料がかからない分、費用が割安な傾向にあります。しかし、教師のスキルや実績に応じて費用は大きく異なるため確認が必要です。
指導経験が豊富で合格実績も高い個人の家庭教師だと、派遣型より費用が高くなる場合もあります。
中学受験のプロが教えてくれるか
中学受験では、小学校の教科書に載っていない問題も出題される傾向にあります。そのため、家庭教師を選ぶ際は中学受験のプロが教えてくれるかどうかも重要な判断ポイントです。
自身が中学受験を経験していたり、合格実績が高かったりする家庭教師だと、入試情報や勉強のノウハウを豊富に持っているでしょう。論理的思考力が十分に育っていない小学生でも、難しい学習内容を理解できるような指導力を持つ家庭教師であれば、成績アップが期待できます。
家庭教師には学生教師とプロ教師がいますが、中学受験をする場合は豊富な受験情報や高い指導力を持っているプロ教師がおすすめです。
ただし、プロ教師は費用が高い傾向にあるため、経済的な負担が大きくならないか事前に確認しましょう。
お子さんとの相性は合っているか
家庭教師の指導形式は、教師と生徒が1対1のマンツーマン指導が基本です。そのため、家庭教師を選ぶ際は、教師とお子さんの相性もチェックしましょう。
相性の良い家庭教師であれば、お子さんが気軽に質問したり受験に関する悩みを相談できたりするため、モチベーションを高められます。一方、相性が悪い家庭教師だと学習意欲が湧かず、成績が下がる可能性があります。
家庭教師とお子さんの相性を見極める際は、体験授業を利用して以下の2点を確かめましょう。
- お子さんが理解できるように説明しているか
- お子さんの学習意欲を引き出せているか
体験授業後に、お子さんが前向きな感想を話していれば、相性が良いと考えられます。
合格実績や口コミが公開されているか
どの家庭教師にするか迷う場合は、合格実績や口コミも確認してみましょう。
これまでに指導した生徒数や、合格者を輩出した学校名など、家庭教師の指導力を担保する実績が公開されていると、安心して利用できます。実際に家庭教師を利用した人の口コミも、有益な参考資料となるでしょう。
家庭教師の合格実績は、ホームページを見たり教師本人に聞いたりすることで確かめられます。口コミは、Webサイトや知人などを通じて「教師の雰囲気や指導方法」「授業以外のサービス」「成績の変化」をチェックしましょう。
ただし、口コミには個人的な主観が含まれるため、鵜呑みにしすぎないことが大切です。
家庭教師の相場
家庭教師は、集団指導塾や個別指導塾よりも費用が高い傾向にあります。
そのため、費用を考慮せずに家庭教師を選ぶと、経済的な負担が大きくなり継続できなくなる可能性があります。
ここからは家庭教師にかかる費用の内訳や、派遣型と個人契約の費用相場をご紹介します。家庭教師の料金システムや費用相場を理解し、長期的に利用できるサービスを選びましょう。
かかる費用の内訳
家庭教師では、授業料を含めて下記の費用がかかります。
項目 | 詳細 |
入会費 | 派遣会社と契約する際にかかる費用・入会金は2万円程度の派遣会社が多い |
保証金 | 入会金とは別に預かり金として支払う場合がある・キャンペーン等で無料になることもある |
授業料 | 授業を受講する際にかかる費用・料金システムは「時間単位」と「コマ単位」の2通り |
テキスト代 | 専用のテキストを使用する場合にかかる費用・学校の教科書や家庭にある参考書を使う場合は不要 |
管理費 | 派遣会社の管理にかかる費用・個人契約の場合は不要 |
交通費 | 家庭教師が自宅に来るまでにかかる費用・派遣会社によっては交通費の上限がある |
模試代 | 独自の模試や全国模試を受ける場合にかかる費用・代表的な模試の費用は1回あたり5,000〜6,000円程度 |
解約金 | 年間契約で途中解約した場合にかかる費用・解約金の有無は派遣会社によって異なるため確認が必要 |
具体的にどの費用が必要になるかは派遣会社や個人によって異なるため、契約前に料金体系を確認しておきましょう。
家庭教師の相場
家庭教師の費用相場は「派遣型か個人か」「学生かプロか」によって変わります。小学生が家庭教師で60分授業を受けた場合の費用相場を、下の表にまとめました。
学生教師 | プロ教師 | |
派遣型家庭教師 | 約2,000〜4,000円 | 約5,000〜7,000円 |
個人契約家庭教師 | 約1,500〜2,500円 | 約1,800〜3,000円 |
表を見ると、個人契約家庭教師のほうが派遣型家庭教師よりも安いことがわかります。
ただし、個人契約家庭教師をマッチングサイトで見つける場合は、契約時に紹介手数料をサイト運営会社に支払う必要があるため注意しましょう。
家庭教師のメリット
家庭教師は大きく分けると、派遣型と個人契約の2種類があります。派遣型家庭教師と個人契約家庭教師のメリットは以下の通りです。
派遣型家庭教師のメリット | ・サポート体制が充実 ・家庭教師探しが楽 ・入試情報や勉強のノウハウが豊富 |
個人契約家庭教師のメリット | ・派遣型より費用が安い ・好きな家庭教師を選べる ・指導力の高い家庭教師が多い |
同じ家庭教師でも特徴は大きく異なるため、教師の指導力や費用、経済的な負担も考慮した上でどちらにするか判断しましょう。
派遣型家庭教師のメリット
派遣型家庭教師のメリットは、以下の3つです。
- サポート体制が充実
- 家庭教師探しが楽
- 入試情報や勉強のノウハウが豊富
派遣型家庭教師では、授業内外の様々なサポートを受けることで、効率良く受験勉強ができます。
サポート体制が充実
派遣型家庭教師のメリットは、派遣会社のサポート体制が充実している点です。たとえば、多くの派遣会社では契約前に体験授業を実施しているため、教師とお子さんの相性を慎重に見極められます。
また、教師との間でトラブルが発生した時も、派遣会社に相談すると迅速に対応してくれるでしょう。教師との相性が合わない場合は、無料で教師を交代してくれる派遣会社もあります。
さらに、多くの派遣会社ではお子さんが安心して受験勉強に臨めるよう、専門のコンサルタントによる学習サポートもしています。このように、派遣型家庭教師はサポート体制が充実しているため、親子ともにストレスなく志望校合格を目指せるでしょう。
家庭教師探しが楽
派遣型家庭教師は、個人契約に比べて家庭教師を楽に探せる点もメリットです。
希望の性別や指導スタイルなどを伝えるだけで、条件に合う家庭教師を派遣会社が選定してくれます。家庭教師が理想と違った場合でも、派遣会社が再選定を行ってくれるため、親御さんが一から探し直す必要はありません。
また、多くの派遣会社では、厳しい審査基準を設けて家庭教師を採用しており、一人ひとりの指導力が高い傾向です。相性の良し悪しはありますが、基本的にはどの家庭教師でも高いレベルの指導を受けられるでしょう。
派遣型家庭教師は、プロの目線で最適な家庭教師を探してくれるため、親御さんの負担を大きく減らせます。
入試情報や勉強のノウハウが豊富
派遣型家庭教師は、数多くの生徒を指導してきた経験から、入試情報や勉強のノウハウが豊富に蓄積されています。そのため、入試に関する有用な情報を効率良く集めながら、中学受験対策を進められるでしょう。
たとえば、志望校の入試傾向や解き方のコツなどを教えてもらえると、点数を取りやすくなりライバルに差をつけられます。
指導実績の高い家庭教師であれば「勉強が苦手」「じっと座っていられない」などさまざまなタイプのお子さんに合わせた指導も可能です。お子さんの学力や性格に応じた勉強のノウハウを習得できるでしょう。
入試情報を豊富に持っている派遣型家庭教師を利用することで、情報収集が肝となる中学受験を乗り越えられます。
個人契約家庭教師のメリット
個人契約家庭教師のメリットは、以下の3つです。
- 派遣型より費用が安い
- 好きな家庭教師を選べる
- 指導力の高い家庭教師が多い
個人契約家庭教師では費用を抑えつつ、幅広い選択肢の中からお子さんに合った教師を自由に選べます。
派遣型より費用が安い
個人契約家庭教師のメリットは、派遣型家庭教師よりも費用が安い点です。
派遣型家庭教師を利用すると、授業料の他にも入会金や保証金、管理費、教材費などが必要になります。しかし、個人契約家庭教師の場合、基本的にかかる費用は授業料や交通費だけです。
個人契約家庭教師をマッチングサイトで見つける場合は、紹介手数料がかかってしまいますが、知人経由で契約すれば手数料も抑えられます。
ただし、個人契約家庭教師は教師が授業料を設定するため、人によって料金の差が大きく出ます。個人契約家庭教師を利用する際は、教師の指導力が料金に見合っているか、相場よりも低すぎたり高すぎたりしないかをチェックしましょう。
好きな家庭教師を選べる
個人契約の場合、好きな家庭教師を選べる点もメリットです。希望の条件とマッチする家庭教師を見つけることで、お子さんの学習意欲や学力の向上につなげられます。
個人契約は派遣型と異なり、知り合いや親戚、マッチングサイトなど家庭教師を探せる場所が豊富です。そのため、自分が納得できるまで家庭教師の指導力や人間性を吟味し、条件と一致する教師を見つけられます。
また、個人契約家庭教師は派遣型よりも契約内容を柔軟に設定できるため、指導回数や指導方針を自由に選べる点もメリットです。
幅広い選択肢の中から理想の家庭教師を見つけることで、学習意欲や成績アップに貢献し、志望校合格に近づけられます。
指導力の高い家庭教師が多い
個人契約家庭教師は、指導力の高い教師が多い傾向にあります。個人契約家庭教師のスキルが高い理由は、派遣会社に登録しなくても、個人で活動できるほどの実力があるためです。
特にベテランの個人契約家庭教師は、何年にもわたって合格者を輩出し、高い実績を持ち続けてきた経験があります。その分費用は高額になりがちですが、プロの派遣型家庭教師よりも豊富なスキルを持っている教師を選べば、よりレベルの高い指導を受けられるでしょう。
ただし、個人契約家庭教師の実績はあくまで自己申告になるため、必ずしも信頼できる情報とは限りません。口コミを確認したり契約前に体験授業を依頼したりして、教師の指導力をチェックしましょう。
家庭教師のデメリット
派遣型家庭教師と個人契約家庭教師には、下記のデメリットもあります。
派遣型家庭教師のデメリット | ・ピンポイントで家庭教師の指名はできない ・経験の浅い家庭教師が派遣されることもある ・かかる費用が高い |
個人契約家庭教師のデメリット | ・教え方にばらつきがある ・条件に合う家庭教師を選ぶのに手間がかかる ・トラブル時には親が対応する必要がある |
それぞれのリスクを抑える方法も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
派遣型家庭教師のデメリット
派遣型家庭教師のデメリットは、以下の3つです。
- ピンポイントで家庭教師の指名はできない
- 経験の浅い家庭教師が派遣されることもある
- かかる費用が高い
個人契約家庭教師に比べると選べる教師の自由度が低かったり、費用が高かったりする点はデメリットに感じられるかもしれません。
ピンポイントで家庭教師の指名はできない
派遣型家庭教師では担当教師の希望を出せますが、ピンポイントで条件に合う教師を指名できるわけではありません。
もちろん、派遣会社では希望にマッチする家庭教師をさまざまな視点から選定します。しかし、派遣会社に登録している家庭教師は数が限られるため、条件と完全に一致する教師を見つけるのは難しいでしょう。
少しでも理想に近い家庭教師に担当してもらうためには、派遣会社への要望を詳細に伝えることが大切です。
また、提示した条件と一致しなかったとしても、契約前に指導方針の擦り合わせを丁寧にすると、希望通りに授業を行ってくれる場合があります。
事前準備を慎重に進め、契約後のミスマッチやトラブルを防ぎましょう。
経験の浅い家庭教師が派遣されることもある
派遣型家庭教師では、経験の浅い教師が派遣されることもあるため注意が必要です。
家庭教師の指導力によってコース分けがされていない派遣会社の場合、アルバイト教師や学生教師が来る可能性があります。
経験の浅い家庭教師が派遣される事態を防ぐためには、契約前に「中学受験の指導実績が高いプロ教師を派遣してほしい」と明確に意思表示しましょう。
具体的な条件をはっきりと伝えることで、契約後に再び要望を伝えたり家庭教師を選び直したりする手間や時間を減らせます。
ただし、家庭教師の経験値が高くても、お子さんとの相性が悪ければ意味がありません。家庭教師の選定後は体験授業を利用し、お子さんとの相性をチェックしましょう。
かかる費用が高い
派遣型家庭教師は、個人契約に比べてかかる費用が高くなってしまう点もデメリットです。
派遣型家庭教師は会社の運営で成り立っているため、企業の広告費や人件費がかかる分、授業料が高くなったり入会金や管理費がプラスされたりします。
派遣型家庭教師で費用を抑えるためには、入会金の割引・無料キャンペーンを利用するのがおすすめです。キャンペーン内容や時期は派遣会社によって異なるため、随時チェックしておきましょう。
また、学校の教科書や自宅にある教材を使って指導してくれる派遣会社を選ぶと、教材費も抑えられます。契約前に料金体系を明確にし、家庭の予算に合った価格設定の派遣会社を利用しましょう。
個人契約家庭教師のデメリット
個人契約家庭教師のデメリットは、以下の3つです。
- 教え方にばらつきがある
- 条件に合う家庭教師を選ぶのに手間がかかる
- トラブル時には親が対応する必要がある
個人契約家庭教師は、教師の選択肢が幅広い分、人間性や指導力を慎重に見極めることが求められます。
教え方にばらつきがある
個人契約家庭教師のデメリットは、教師の指導力や教え方にばらつきがあることです。
個人契約家庭教師は、派遣型のように無料体験授業を実施しているケースが少なく、実際の指導力は契約してみないとわかりません。そのため、家庭教師の第一印象が良くても、いざ授業を受けてみると教え方がお子さんに合わなかったり、成績が伸びなかったりする可能性があります。
個人契約家庭教師の指導力を見極めるためには、契約前に体験授業の実施を依頼しましょう。多少費用はかかるかもしれませんが、先に家庭教師のスキルやお子さんとの相性を確かめておくことで、契約後のトラブルを防げます。
また、契約前の面談でお子さんの学力や特性、進路希望について丁寧に伝えることも大切です。
条件に合う家庭教師を選ぶのに手間がかかる
個人契約家庭教師は、条件に合う家庭教師を選ぶのに時間や手間がかかる点もデメリットです。
条件に合う家庭教師を選定してくれる派遣型とは異なり、自分で教師の情報を一つずつチェックしなければならないため、親御さんの負担が大きくなるでしょう。仮に理想の家庭教師を見つけても、お子さんとの相性が悪ければ、また一から教師を探し直す必要があります。
家庭教師を選ぶ手間を減らすためには、日頃からマッチングサイトをチェックし、ある程度候補を絞っておくことが大切です。様々な家庭教師の情報を見ておくことで、授業料の相場や選び方のコツが掴めてきます。
自分で家庭教師を探すのがどうしても難しい場合は、派遣会社の利用も検討してみてください。
トラブル時には親が対応する必要がある
個人契約家庭教師の場合、「教師のキャンセルが多い」「成績が伸びない」などのトラブルが発生した際には、全て親御さんが対応しなければなりません。
個人契約の場合は派遣会社のような仲介役がいないため、トラブル発生時も親御さんが家庭教師と直接やり取りしたり、解約の手続きを進めたりする必要があります。
家庭教師とのトラブルを防ぐためには、正式な契約書を用意してから契約を進めましょう。インターネット上にある契約書のテンプレートを活用すると、簡単に作成できます。
お子さんや親御さん、家庭教師をトラブルから守るためにも契約書を作り、慎重に契約内容を確認して手続きを進めることが大切です。
家庭教師の効果的な受け方
家庭教師で中学受験対策をする場合は、教師に授業を丸投げするのではなく、互いに指導方針を擦り合わせながら効果的に活用することが大切です。
具体的には、次の3点を意識しましょう。
- 志望校の過去問演習を行う
- 苦手分野をなくす
- 確認テストを行ってもらう
家庭教師と相談しながら、お子さんが最適な授業を受けられるように工夫することで、学習効果を高められます。
志望校の過去問演習を行う
家庭教師を利用する際は、志望校の過去問演習を行いましょう。
家庭教師は、お子さんの状況に合わせて授業内容を自由に変更できるため、志望校に特化した対策を進められます。具体的には、志望校の過去問演習と復習を繰り返し、つまずきやすいポイントや解き方のコツを教えてもらうのがおすすめです。
中学受験に強い家庭教師であれば、複雑な学習内容でも丁寧に説明したり、お子さんと一緒に考えたりしながら根本的な内容理解を促してくれるため、着実に学力を伸ばせます。
また、過去問の結果に応じて、教科書や参考書を使った基礎学力の定着も可能です。志望校の過去問演習を通して出題傾向が把握できると、入試でも点数を取りやすくなるでしょう。
苦手分野をなくす
中学受験では、苦手分野をなくして教科全体の理解を深めることが志望校合格への近道です。
しかし、苦手分野のフォローを集団指導塾でしてもらうのは難しく、独学で内容を理解しようとしてもモチベーションは上がらないでしょう。
そこで、家庭教師に苦手分野をなくすための指導を依頼しましょう。家庭教師はマンツーマンで指導するため、お子さんが間違えやすいポイントや考え方のクセを見抜き、すぐにアドバイスできます。
お子さんが自分の弱点や正しい考え方を理解できると、問題に取り組む時も気をつけようとする意識が高まり、ミスを防げます。家庭教師の的確なアドバイスを受けながら苦手分野を克服することで、勉強に対する自信もつき学力アップにつながるでしょう。
確認テストを行ってもらう
家庭教師の指導を受ける際は、定期的に確認テストを行い、お子さんの理解度をチェックしてもらいましょう。
たとえプロの家庭教師であっても、理解度を正確に把握していなければ、お子さんのレベルに合わない指導をすることになってしまいます。そのため、テストを通してお子さんが何をどこまで理解しているか確認し、指導内容を修正することが大切です。
派遣型家庭教師の場合は、会社が独自で実施している確認テストを利用しましょう。個人契約家庭教師であれば、市販の問題集を使ってテストを行うのがおすすめです。
テスト実施後は、お子さん・親御さん・家庭教師の三者で結果を確認し、学力の伸びを把握したり今後の指導方針を決めたりしましょう。
集団指導塾・個別指導塾との違い
中学受験をする場合は、家庭教師に限らず集団指導塾や個別指導塾の利用も効果的です。
ただし、志望校に合格するためには、あくまでもお子さんの学力や性格に合った学習方法を選ぶことが大切です。
ここからは、家庭教師と集団指導塾・個別指導塾の違いを解説します。それぞれの違いを押さえ、お子さんにとって最適な指導形式を選びましょう。
家庭教師と集団指導塾の違い
家庭教師と集団指導塾の主な違いは、以下の3点です。
- 講師1人あたりの生徒数
- カリキュラム
- 費用
家庭教師は教師と生徒が1対1で授業を進めますが、集団指導塾は1人の講師に対して生徒が数十人います。また、カリキュラムについても集団指導塾は固定されている一方、家庭教師は柔軟に設定できる点が大きな違いです。
そのため、集団指導塾には自分の力で授業についていける高めの学力を持つお子さんが、家庭教師には比較的勉強に自信のないお子さんが向いているといえます。
集団指導塾と家庭教師は、費用面でも違いがあります。講師1人あたりの生徒数が異なるため、集団指導塾のほうが家庭教師よりも授業料は安い傾向です。
家庭教師と個別指導塾の違い
家庭教師と個別指導塾は、マンツーマン指導で授業を進める点が共通していますが、以下の2点で異なる部分があります。
- 学習環境
- 受験に関する情報量
家庭教師は自宅が教室になるため、不安傾向が強かったり人見知りだったりするお子さんだと、安心して勉強に取り組めます。個別指導塾は自宅と異なる環境で、適度な緊張感を持って学習できる点がメリットです。
また、個別指導塾は家庭教師に比べて、受験に関する情報を豊富に持っています。そのため、個別指導のメリットを生かしつつ充実した受験情報を得たい場合は、個別指導塾の利用がおすすめです。
ただし、家庭教師の場合も合格実績の高い教師を選ぶことで、受験に有利な情報を入手したり効果的な勉強法を教えてもらえたりします。
塾と併用するのがおすすめ
中学受験に向けて効率良く勉強を進めるためには、家庭教師と塾の併用がおすすめです。家庭教師と塾を併用する際は、以下2つのポイントを押さえるようにしましょう。
- 塾での遅れを取り戻す
- 塾がない日の学習習慣定着に
それぞれのメリットを生かすことで、効率的に学力を伸ばせます。ただし、お子さんの負担が大きくなると逆効果になるため、利用頻度には気をつけましょう。
塾での遅れを取り戻す
入塾のタイミングが遅かったり、集団授業のペースについていけなかったりする場合は、家庭教師と併用することで勉強の遅れを取り戻せます。具体的には、入塾以前の学習内容や苦手科目の勉強を重点的に教えてもらいましょう。
家庭教師は基本的にマンツーマン指導で、わからない部分があってもすぐに質問できます。お子さんが納得するまで徹底的に教えてもらえるため、苦手分野でも深い内容理解が可能です。
塾の勉強についていけなくなると、成績が落ちて自信を失う可能性があります。中学受験に向けてお子さんのモチベーションを維持するためには、塾と同時に家庭教師を利用して足りない知識や勉強量を補うことが大切です。
塾がない日の学習習慣定着に
塾と家庭教師の併用は、学習習慣の定着にも効果的です。
塾では勉強を頑張っているお子さんでも、自宅にはテレビやゲーム、スマホなどさまざまな誘惑があるため、なかなか学習意欲が湧かないこともあります。
また、自宅で勉強しようと思っても、何をどのように進めたら良いのかわからず、塾の宿題だけで終わらせてしまうお子さんも多いでしょう。
そこで、塾がない日に家庭教師を利用すると、適度な緊張感を持ちつつ最適な勉強法のアドバイスを受けられるため、自宅での学習習慣を身につけられます。
塾との併用によって経済的な負担は増えますが、どうしても自宅で勉強するのが難しい場合は、学習習慣が定着するまで一時的に利用することも検討してみてください。
まとめ
本記事では、中学受験における家庭教師の利用についてご説明しましたが、特に大切なポイントは次の3つです。
- 集団授業のペースと合わなかったり、受験勉強の開始時期が遅れたりした場合は家庭教師を利用すると良い
- 家庭教師は「派遣型か個人契約か」「学生かプロか」によって指導力や費用が異なるため、さまざまな視点から選ぶことが大切
- 効果的に家庭教師を活用するには、志望校に特化した指導を受けたり苦手分野の克服を優先的に行ったりするのがおすすめ
さらに学習効果を高めたい方は、塾との併用も視野に入れましょう。
本記事の内容をもとに、親御さんやお子さんにとって最適な家庭教師を見つけ、中学受験に向けてより一層勉強に励めるよう、心からお祈り申し上げます。