偏差値40はどのくらいの学力なのか。偏差値40でも中学受験はできるのか。偏差値40から成績を上げるには何をしたら良いのか。
本記事をご覧の方は、中学受験における偏差値40の意味や成績を上げるための勉強法について、さまざまな疑問や悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、偏差値40のお子さんが中学受験をするときのポイントを以下5つの視点から解説します。
- 偏差値40〜45の位置づけ
- 偏差値40〜45のお子さんが中学受験をするメリット
- 偏差値40〜45の学校を選ぶポイント
- 偏差値40のお子さんの間違った勉強法
- 偏差値40から成績を上げるコツや科目別勉強法
本記事をご覧いただければ、偏差値40でも中学受験に挑戦できることがわかり、志望校合格に向けて効率よく勉強を進められます。
希望の進路を実現できるよう、ぜひ参考にしてください。
目次
偏差値とは
偏差値とは、模試やテストを受けた集団の中で自分がどれくらいの位置にいるのかを表す数値です。テストの平均点を偏差値50とし、そこからの差を見ることで自分の相対的な学力を把握します。
偏差値を活用するメリットは、点数や順位だけではわからない自分の実力を正しく評価できる点です。
たとえば、国語と算数で同じ80点を取っても平均点が異なれば相対的な学力も変わりますが、具体的にどれくらい違うのか判断できません。そこで偏差値を活用すると「国語は偏差値56」「算数は偏差値45」のように、ライバルとの差を正確に知ることができます。
偏差値を使うと、自分の得意・苦手分野や志望校合格までの学力の差分を知ることも可能です。
偏差値40~45はどのくらいか
偏差値40〜45は、テストの平均点を示す偏差値50よりも低い学力を示します。しかし、中学受験では必ずしも不利な成績であるとは言い切れません。
ここでは、偏差値40〜45の見方について以下の2点を解説します。
- 偏差値40~45の意味と位置づけ
- 中学受験における偏差値40~45
お子さんの学力を正しく評価するために、偏差値40〜45の意味をよく理解しましょう。
偏差値40~45の意味と位置づけ
偏差値40とは、100人中84位前後の成績を指します。偏差値45の場合における順位は、100人中69位ほどです。母集団の中では下位グループに位置することがわかります。ただし、同じ偏差値でも母集団の学力によって意味合いは異なります。
たとえば、学力にばらつきがある小学校で受けるテストの偏差値40と、難関中学を目指す小学生の集団で受けたテストの偏差値40はどちらも「偏差値40」です。しかし、難関中学を目指す小学生の集団は全体のレベルが高いため、偏差値40でも学力が低いとは言い切れません。
そのため、模試の結果が偏差値40台だった場合は「学力が低い」とすぐに決めつけず、母集団のレベルも把握した上で実力を見極めることが大切です。
中学受験における偏差値40~45
中学受験における偏差値40〜45は、難関校合格に届かないものの挑戦できる中学校はある水準です。受験勉強の開始時期が早ければ、効率的に成績を伸ばして偏差値50以上の中学校も目指せるでしょう。
高校受験や大学受験では、偏差値が60以上ないと難関校を受験できないイメージがあります。しかし、中学受験は受験者全体の学力が高いため、偏差値40〜45でも上位校の受験が可能です。
偏差値40台の中学校でも、お子さんの個性を最大限伸ばせる学校は多数あります。志望校選びでは、親子で話し合ってお子さんと相性の良い中学校を選びましょう。
偏差値40~45でも中学受験を目指せるのか
結論から述べると、進学塾などで開催される模試の結果が偏差値40〜45であっても中学受験を目指せます。高校受験と異なり、中学受験における偏差値40〜45は全国的に見ると高いレベルに位置するためです。
文部科学省の「学校基本調査」によると、令和5年度における高校進学率は98.7%だと明らかになっています。一方、中学校は義務教育課程であるため基本的に受験の必要がなく、受験者数も全国的に少ない傾向です。その分、中学受験をする小学生の多くが高い学習意欲や学力を持っています。
つまり、中学受験をする集団の学力レベルは全体的に高いため、模試の結果が偏差値40〜45でも全国の小学生の中では上位に入っているといえます。偏差値が40〜45だと受験が難しいと思いがちですが、中学受験では全国的に見て高いレベルの中学校も目指せることを理解しておきましょう。
偏差値40~45でも中学受験をするメリット
偏差値40〜45でも中学受験をするメリットは、以下の4つです。
- 適切な教育による成績向上
- 出会う友達が変わる
- 個性に合わせた教育の機会を得られる
- その後の受験が不要になることもある
お子さんの学力や性格に合った中学校を選ぶことで、偏差値40〜45でも充実した学校生活を送れます。
適切な教育による成績向上
偏差値40〜45のお子さんが中学受験をすると、中学校の適切な教育による成績向上が見込めます。偏差値40台だと成績を伸ばせる可能性が十分に残されているため、入学後に適切な教育を受けることで将来的に難関大学の合格も目指せるでしょう。
たとえば、多くの私立中学や公立中高一貫校では、大学入試を意識した先取り学習が可能です。海外研修やサイエンス教育など、生徒の個性を伸ばすための特色ある学習プログラムも組まれています。このように、中学受験をすると公立中学で経験できないさまざまな学習機会を得られるため、幅広い分野への興味を深めながら学力を向上できます。
また、同程度の学力を持つ生徒が入学するため、自分に適したペースや難易度の授業を受けられる点もメリットです。
出会う友達が変わる
中学受験をすると出会う友達が変わり、勉強に対するモチベーション向上や友人関係のトラブル軽減なども期待できます。
公立中学に進学するとさまざまなタイプの友人ができる一方「勉強を競い合える仲間がいない」「人間関係が難しい」などの悩みを抱える場面もあるでしょう。
しかし、中学受験を通して自分と学力が近い生徒が集まる中学校に入学すれば、競争意識が芽生えやすく学習意欲を高められます。同じ中学受験を乗り越えた同級生は価値観も似ている傾向にあり、気の合う友達を見つけて交流を深めることも可能です。
また、素行不良によるトラブルを起こす生徒も公立中学に比べると少ないため、親子ともに安心して学校生活を送れます。
個性に合わせた教育の機会を得られる
個性に合わせた教育の機会を得られるのも、偏差値40〜45のお子さんが中学受験をするメリットです。
私立中学や公立中高一貫校の多くは独自の教育目標を掲げ、多種多様な学習プログラムを実施しています。そのため、お子さんの個性に合った中学校を選ぶことで得意分野や長所を最大限伸ばし、将来の可能性を広げる教育を受けられるでしょう。
たとえば私立中学や公立中高一貫校の中には、あえて放任主義の姿勢をとり、生徒の自主性を育む学校があります。このような中学校では、自分の力で課題解決する場面を積極的に設けているため、計画性や行動力を身につけられる点が魅力です。
偏差値だけにこだわらずさまざまな視点から中学校を選ぶと、お子さんの個性や実力を大きく伸ばせます。
その後の受験が不要になることもある
中高一貫校であればエスカレーター式で進学できるため、高校受験が不要になります。受験勉強の時間を部活動や好きな分野の探求に充てることで、より充実した学校生活を送れる点がメリットです。
文部科学省によると、令和4年時点の中高一貫校は国公私立を合わせて673校あります。私立や公立は中高一貫校が多い傾向です。ただし、国立は義務教育の9年間を一貫で受ける「小中一貫校」が多いため、国立中学の受験を検討している方は事前にカリキュラムを確認しておきましょう。
偏差値40~45の学校を選ぶポイント
偏差値40〜45の中学校を選ぶ際は、以下3つのポイントを意識しましょう。
- 教育方針・校風
- 通いやすさ
- 学習サポートの充実
偏差値が低めでも、高品質で独自性がある教育を実践している中学校はあります。お子さんが入学後に後悔しないためにも、上記のポイントを踏まえつつ志望校を絞り込みましょう。
教育方針・校風
偏差値40〜45の中学校を選ぶ際は、教育方針や校風に注目しましょう。質の高い教育はもちろん重要ですが、お子さんの個性や興味に合った中学校を選ぶ視点も忘れてはいけません。何の教育に力を入れているのか、どのような姿勢で生徒と向き合っているのかを事前にチェックしておくと入学後のミスマッチを防げます。
たとえば、将来国際的な活動に取り組みたいお子さんの場合は、英語教育に強い中学校がおすすめです。主体性や問題解決能力を伸ばしたい方は、体験学習やグループディスカッションなどのアクティブラーニングを積極的に取り入れている中学校を選びましょう。
このとき、家庭の教育方針と擦り合わせながら志望校を絞り込むと、家庭と学校で一貫した教育を行えます。
通いやすさ
中学校選びで失敗しないためには、通いやすさも重視しましょう。公共交通機関で30分〜1時間ほどの距離にある中学校を選ぶと、無理なく通い続けられます。
中学入学後も成績を維持・向上するためには長時間の授業に臨む体力・集中力が必要です。しかし、通学時間が長いと体力が削られ、肝心の授業に集中できず学習内容を十分に理解できなくなってしまいます。
そのため、志望校を決める際は毎日の通学が苦にならないかをチェックすることが大切です。公共交通機関を使う場合は「乗り換えが多くないか」「通学する時間帯は混雑しないか」も合わせて確認しましょう。
学習サポートの充実
補習授業や個別指導、少人数制クラスなどの学習サポートが充実しているかどうかも、中学校選びでは見ておきたいポイントです。偏差値40〜45でも入学後に適切な学習サポートを受けることで、成績を大幅に伸ばせる可能性は十分にあります。
補習授業や個別指導を受けられる中学校を選ぶと、授業を休んだり苦手分野があったりしても納得するまで学習内容を理解できます。少人数制クラスを設けている中学校は、授業中でも教師に質問しやすく、疑問をすぐに解消できる点がメリットです。
サポート体制の充実度は学校によって異なるため、公式サイトやパンフレット、学校説明会などで詳しい内容を確認しましょう。
偏差値40~45で目指せる中学校
偏差値40〜45で目指せる中学校をいくつかご紹介します。以下の表で、関西・関東エリア別にまとめました。
中学校名 | |
関西の私立中学校 | ・大阪国際中学校(大阪) ・浪速中学校(大阪) ・滝川中学校(兵庫)など |
関西の国公立中学校 | ・兵庫教育大学附属中学校(兵庫・国立) ・兵庫県立芦屋国際中等教育学校(兵庫・公立) ・大阪府立咲くやこの花中学校(大阪・公立)など |
関東の私立中学校 | ・多摩大学附属聖ケ丘中学校(東京) ・開智未来中学校(埼玉)など |
関東の国立中学校 | ・埼玉大学教育学部附属中学校(埼玉・国立)など |
各中学校の特徴も解説しますので、志望校を決める際の参考にしてください。
関西の私立中学校
偏差値40〜45で目指せる関西の私立中学校には、以下の3つがあります。
- 大阪国際中学校(大阪)
- 浪速中学校(大阪)
- 滝川中学校(兵庫)
大阪国際中学校
大阪国際中学校では中高一貫校の特徴を活かし、難関大学の合格を目指した先取り学習を実施しています。英語教育にも力を入れており、国際交流や海外留学制度があるのも魅力です。
また、学校の特徴として以下の点が挙げられます。
- イマージョン教育やネイティブ教員による国際的なプログラム
- SDGsなどの社会課題に取り組む探究学習
- 選択式総合学習により、創造力や表現力を育成
- 習熟度別授業や進路指導など、一人ひとりの志に応じたきめ細かいサポート
- 小笠原流礼法の授業や奉仕活動を通じて、礼節や他者への思いやりを育成
これらの多様な教育活動を通じて、グローバルな視野と豊かな人間性を持つ人材の育成を目指しています。
浪速中学校
浪速中学校でも英語教育を重点的に行っています。公立中学の1.5倍の授業時間を設けているほか、英語検定の取得に向けた指導を受けられます。
その他、学校の特色として
- 神社神道を基盤とした心の教育
- 学校生活全般を通した道徳教育の実践
- 全館WiFi完備のICT環境を活用した最新の教育手法
- 伝統と革新を融合させた「徹底的に面倒を見る」教育
などが挙げられます。
滝川中学校
滝川中学校は、希望の進路から選べる3つのコースが特徴的です。
- 医療従事者として必要な使命感と倫理観を育成する「医進選抜コース」
- 高い学力と国際性を身につける「Science Global一貫コース」
- 深い学びを通じて語学力と教養を身につける「ミライ探究一貫コース」
いずれのコースでも、ジェンダーにとらわれないリーダーシップ教育を目標に掲げた指導を行っています。
さらに、学習サポートとして、放課後の補習講習や英語検定対策講座、自学自習プログラムなどを実施。また、探究活動や校外研修など、実践的な学びの機会も豊富に用意されています。
関西の国公立中学校
偏差値40〜45で目指せる関西の国公立中学校を3つご紹介します。
- 兵庫教育大学附属中学校(兵庫・国立)
- 兵庫県立芦屋国際中等教育学校(兵庫・公立)
- 大阪府立咲くやこの花中学校(大阪・公立)
兵庫教育大学附属中学校
兵庫教育大学附属中学校では、学習指導要領に沿ったカリキュラムを基盤としつつ、独自の教育を実践しています。知識・技能の定着と思考力・判断力・表現力の育成を重視し、Society 5.0時代に対応するため情報教育にも力を入れています。
この学校の特徴的な取り組みとして、「探究総合」の授業や外部講師によるキャリア総合選択講座があります。これらを通じて、学びに向かう力や幅広い視野を養成しています。
また、大学の施設や教員を活用した授業、国際コミュニケーション能力の育成、生徒会活動の重視などにより、多様な学習機会を得られます。さらに、教育研究や研究授業を実施し、常に教育方法の改善を図っています。
兵庫県立芦屋国際中等教育学校
兵庫県立芦屋国際中等教育学校は、多文化共生と国際感覚の育成を重視する中高一貫校です。
カリキュラムでは、高校を含めた6年間を通じて一貫性のある学習支援を行っています。少人数指導や個別指導を取り入れ、生徒の言語背景や海外経験に応じた指導を実践。また、外国語講師によるティームティーチングやグループ別英語学習、日本語教室など、さまざまな学習システムを導入しています。
さらに、地域の学校や国際交流協会、JICAなどとの連携・交流を通じて、国際色豊かな環境で生徒の個性と能力を伸ばす教育を実践しています。
大阪府立咲くやこの花中学校
大阪府立咲くやこの花中学校では「ものづくり」「スポーツ」「言語」「芸術」の4分野を中心に、生徒の個性を伸ばす教育を実践しています。
特色ある教育活動として、週2時間の分野別学習があり、4分野の発展的な授業を行います。また、分野別の部活動に全員が必ず入部し、学習をさらに充実させています。さらに、少人数指導や体験学習も実施することで、確かな学力を身につけられます。
これらの特色ある教育を通じて、将来を担うスペシャリストの育成を目指しています。
関東の私立中学校
偏差値40〜45で目指せる関東の私立中学校としては、以下の2校が挙げられます。
- 多摩大学附属聖ケ丘中学校(東京)
- 開智未来中学校(埼玉)
多摩大学附属聖ケ丘中学校
多摩大学附属聖ケ丘中学校は「アットホームな学校」を目標に、親身かつ丁寧な指導を実施している学校です。少人数指導や多種多様な実験・体験学習、本物に触れることを重視した社会科見学に取り組んでいます。
開智未来中学校
開智未来中学校では「国際社会に貢献するリーダー育成」を教育理念とし、探究型授業や英語合宿などを行っています。英語活用力や主体性を磨き、将来国際的に活躍できるリーダーを目指す方に向いているでしょう。
関東の国公立中学校
偏差値40〜45で目指せる関東の国公立中学校には、埼玉大学教育学部附属中学校(埼玉・国立)があります。
埼玉大学教育学部附属中学校では、基本的に公立中学と同じ教育を実践しています。その中で特徴的なのは、1日6時間すべてを総合的な学習の時間に充てる「トライアル・デー」です。「トライアル・デー」では校外の体験活動を実施し、生徒が自身のテーマに基づく探究学習を行います。
偏差値40のお子さんの間違った勉強法
お子さんの偏差値が40台から抜け出せない場合、以下のような間違った勉強法を取り入れている可能性があります。
- 「書いて覚える」ことに固執する
- 解けない問題の答えをすぐに見てしまう
- 複数の参考書に手を出しすぎて中途半端になる
- 暗記だけで十分だと思い込む
- 復習をしない、または不十分な復習
勉強法やテクニックに固執したり自力で解き方を考える機会が少なかったりすると、学習内容の十分な理解にはつながらないため注意しましょう。
「書いて覚える」ことに固執する
知識を「書いて覚える」ことだけに固執するのは、効率が悪い勉強法の一つです。たしかに、文字を書いて覚える勉強法は文章を黙読するだけよりも記憶の定着に効果があります。しかし、何でも書いて覚えるのは時間がかかる上に、書く作業に満足して内容を理解する意識が薄れるため高い学習効果は期待できません。
たとえば、漢字を覚えるときは単純に書くだけでなく、辞書で意味を理解しながら「例文を書く」「文章を音読する」などの勉強法を取り入れましょう。書くことに固執せず、さまざまな方法を組み合わせながら脳を刺激することで効率的に暗記でき、記憶力も高められます。
解けない問題の答えをすぐに見てしまう
解けない問題の答えをすぐに見てしまう勉強法は、思考力が育たない原因になる可能性があります。まずは自分の力で考え、それでも答えまで辿り着けない場合に解答・解説を見ましょう。
人間の脳が学んだことを定着させるためには、一度覚えた知識を頭の中から取り出すプロセスが不可欠です。しかし、自力で思い出す前に答えをみると思考の流れが省略されるため、本質的な理解を得られずテストでも十分に力を発揮できません。
そのため、問題に取り組む際は基本的に自分の力で答えを出すことを心がけましょう。解答・解説を見る場合も「問題を間違えたとき」「解法をいくつか試しても答えが出なかったとき」など場面を限定することで、自分の答えと照らし合わせたときに学びを深められます。
複数の参考書に手を出しすぎて中途半端になる
複数の参考書に手を出しすぎて中途半端になってしまうことも、成績の向上につながらない原因の一つです。
参考書が何冊もあると、同じ単元を何度も学習したり一度も触れない分野が出てきたりして、勉強効率が悪くなります。多くの参考書は必要事項を体系的に学習できるよう作成されているため、まずは1冊を最後までやり切りましょう。
参考書を使うときは、特に必要な科目や分野に関するものを1〜2冊用意し、十分に理解できるまで何度も繰り返し取り組みます。参考書にはできるだけ何も書き込まず、間違えた問題に印をつけると効率的に復習できます。
参考書の数を最小限に抑え、自分に必要な学習を重点的に進めましょう。
暗記だけで十分だと思い込む
成績を伸ばすためには、単語の意味や公式などの暗記が必要です。しかし、暗記だけで満足して応用問題に取り組まなければ思考力が育たず、なかなか高得点を取れないでしょう。
中学受験では、一問一答形式の簡単な問題に限らず、複数の知識や公式を組み合わせる、図やグラフを読み解いて解答するなどの応用問題も数多く出題されます。これらの問題に幅広く対応するためには、科目・単元ごとの知識を体系的に理解しなければなりません。
偏差値40から成績を伸ばすためには、暗記だけで終わらせず応用問題や発展問題にも積極的に取り組み思考力を鍛えることが大切です。問題演習を通して一つ一つの知識を結びつけられると、複雑な思考が可能になり応用問題にも対応できます。
復習をしない、または不十分な復習
せっかく勉強しても復習しない、または復習が不十分だと学習内容が定着せず、長期的な学力向上にはつながりません。
人間の脳は一度学習しただけで完璧には覚えられず、何もしなければ時間の経過とともに忘れることがエビングハウスの研究で明らかになっています。そのため、学習内容の定着には復習を繰り返し、勉強したことを思い出す作業が必要です。
しかし、偏差値40〜45のお子さんは一度覚えただけで満足してしまい、復習を怠ったり短時間で復習を済ませたりする傾向にあります。記憶力を高めるには、一度の学習だけで終わらせず、期間を空けながら繰り返し復習することを意識しましょう。
偏差値40から成績を上げるためのコツ
偏差値40から成績を上げるためのコツは、以下の5つです。
- 毎日勉強する習慣を身につける
- 具体的な目標を設定する
- 周囲から客観的なサポートを受ける
- 単語や公式など基礎的な知識を暗記する
- 苦手科目を克服する
偏差値40の場合、勉強法を工夫すれば偏差値50から60に上げるよりも簡単に成績アップを目指せます。
毎日勉強する習慣を身につける
偏差値40から成績を上げるためには、毎日の勉強を習慣化することが大事です。学習習慣を身につけ、十分な勉強時間を確保するだけで成績が一気に上がる可能性があります。
「勉強が苦手」「勉強の仕方がわからない」などの理由で学習習慣を身につけるのが難しい場合は、以下の方法を試しましょう。
- 少し頑張ればクリアできる目標を設定する
- 生活のルーティンに組み込む
勉強が苦手なお子さんには、達成しやすい難易度の問題から取り組むと抵抗感が少なくなり前向きに取り組めます。学校からの帰宅後、夕食からお風呂までの間など生活ルーティンに勉強を組み込む方法も、自然な形で習慣化できるためおすすめです。
具体的な目標を設定する
勉強に対するモチベーションを上げるために、具体的な目標を設定することも意識しましょう。「◯◯中学校に合格する」「次の模試で全教科7割を取る」などの目標を立てると、ゴールまでの道のりが明確になり、何をどのように勉強すれば良いのかを考えやすくなります。
また、「志望校に合格する」という長期目標に加えて、1ヶ月後や1週間後の短期目標も設定しましょう。短期目標の達成を繰り返すことで勉強に対する自信がつき、成績アップや志望校合格に向けてさらに頑張れます。
目標の内容は、期間内に実現可能な数値目標を設定するのがおすすめです。数値目標を立てるとゴールまでの到達状況の把握や、目標達成に必要な対策を検討しやすくなります。
周囲から客観的なサポートを受ける
周囲からの客観的なサポートを受けると、考え方の癖やつまずきやすいポイントを分析してもらえるため、効率的に弱点を克服できます。
どれだけ勉強を頑張っても「小数のわり算で小数点の移動を忘れる」「語彙力が足りなくて文章の意味を間違えて捉える」など自分の傾向には気づきにくいものです。親御さんのサポートで改善できる部分もありますが、中学受験の問題は難易度が高いため指導に悩む場面もあるでしょう。
そこで、中学受験のプロに指導を任せると、学習内容の正しい理解につながり成績アップも期待できます。一般的に中学受験対策では集団塾を利用しますが、偏差値40台のお子さんには個別のカリキュラムを組んでくれる個別指導塾や家庭教師がおすすめです。
単語や公式など基礎的な知識を暗記する
偏差値40台のお子さんは、応用問題への対応力を向上させるために単語や公式などの基礎的な知識の暗記に重点を置きましょう。言葉の丸暗記ではなく本質的な理解を意識することで、応用問題に取り組む際も覚えた知識を上手く活用できます。
単語や公式を暗記するときのポイントは、文字を書くだけの勉強法に固執せず「音読する」「誰かに説明する」などの方法で積極的にアウトプットすることです。アウトプットを使った勉強法には、脳内の情報を整理して記憶力を高める効果があります。アウトプットをしながら自分の理解度をチェックし、知識が不足している部分は復習でカバーしましょう。
基礎知識が定着したら応用問題に取り組み、思考力を鍛えることで幅広い問題に対応できるようになります。
苦手科目を克服する
苦手科目の克服で偏差値が大幅に上がる可能性もあります。偏差値40台のお子さんは苦手分野が比較的多く、得意科目と苦手科目の差が大きい傾向です。その分、全教科の学習内容を網羅しなくても、弱点を重点的に改善するだけで総合的な学力向上を図れる場合があります。
苦手科目を克服するためには、まず模試やテストの結果から弱点を把握しましょう。苦手科目・分野が判明したら、教科書や参考書を見て基本事項を確認し、例題や練習問題に取り組みます。間違えた問題は復習し、知識を定着させることで徐々に弱点を克服できます。
ただし、苦手科目の勉強ばかりだとモチベーションが下がるかもしれません。勉強中はこまめに休憩を取り、気分をリフレッシュさせることも大切です。
偏差値40のお子さんがやるべきこと
偏差値40のお子さんが成績を上げるために、以下の方法も実践してみましょう。
- 過去の模試やテストを分析する
- 繰り返し復習して知識を定着させる
- 具体的なスケジュールを立てる
- 授業で「書くこと」と「聞くこと」のバランスを取る
- 得意科目を固めて総合点を上げる
一つ一つ丁寧に取り組むことで、偏差値50を超える可能性が高まります。
過去の模試やテストを分析する
偏差値40から成績を上げるためには、過去の模試やテストを分析して日々の勉強に活かしましょう。
中学受験の模試は、母集団における自分の学力位置や志望校の合格可能性を知れる点がメリットです。また、多くの模試では偏差値や合格可能性の他に「設問別正答率」が載っている場合があります。
設問別正答率を参考にすると、周りの受験生と比較した自分の実力を細かく分析できるため、今後の学習計画を決める際に役立ちます。たとえば、正答率50%の問題に不正解だった場合は「基礎が身についていない」と判断できるため、該当する分野の勉強量を増やすことで成績アップが狙えるはずです。
このように、過去の模試やテストを分析することで自分の実力を正しく評価し、効率的な勉強につなげられます。
繰り返し復習して知識を定着させる
学んだことを繰り返し復習して知識を定着させると、正答率や学力の向上につながります。理解が曖昧な部分を洗い出し、丁寧に復習することで複雑な思考が必要な応用問題に対応する力も身につけられます。
復習をするときは「分散学習」がおすすめです。分散学習とは、一度覚えた情報を忘れそうなタイミングで思い出し、記憶を強化させる勉強法を指します。記憶力の向上に必要な「思い出す作業」を繰り返すため、脳が活性化されて知識が定着しやすくなります。
また、復習のときは教科書に目を通すだけでなく、実際に問題を解いて「十分に理解できているか」「知識が不足している部分はないか」を確かめることも大切です。
具体的なスケジュールを立てる
効率よく勉強するためには、目標から逆算した具体的なスケジュールを立てましょう。
「来月の模試で算数を80点取る」という目標であれば、模試までに下記のような項目を具体的に考える必要があります。
- 何の単元を
- どのように勉強するのか
- どれくらいの勉強時間を確保するのか
このとき「算数の応用問題を毎日3問ずつ解く」「今月中に志望校の過去問2年分挑戦する」など、短期間で達成できる数値目標も立てるのがポイントです。
計画通りに勉強を進めるためには、生活習慣も見直しましょう。起床時間や就寝時間はもちろん、勉強時間と休憩時間も設定しておくと生活リズムが整いやすくなります。親御さんもお子さんと一緒に規則正しい生活を送ることで、さらに高い効果が期待できます。
授業で「書くこと」と「聞くこと」のバランスを取る
学校や塾の授業では、「書くこと」に限らず「聞くこと」にも集中する時間を意識的に設けると、多角的に情報を吸収して理解を深められます。
授業で「書くこと」と「聞くこと」のバランスを取るためには、まず書くスピードを上げましょう。一人で勉強するときに教科書や参考書を見ながらノートに書き写す練習をすることで、徐々に書くスピードを上げられます。
黒板の内容を書き写す作業に慣れてきたら、少しずつ話を聞くことに意識を向けます。授業の話を理解した上でノートを取れるようになると、書くことがただの作業ではなく意味のある勉強になるはずです。
書くのが苦手で授業に追いつけない場合は、自分のペースで内容理解を深めるために個別指導塾や家庭教師の利用も検討してみましょう。
得意科目を固めて総合点を上げる
成績を上げるためには苦手分野の克服はもちろん、得意科目を固めることも意識しましょう。得意分野が強化されると「わかった」「できた」という成功体験が増えて自信がつくため、学習意欲が高まり苦手科目にも前向きに取り組めます。
得意科目を見つける基準は「他教科に比べて常に点数が高い」「勉強が楽しい」の2つです。特に、安定して高得点を取れることは得意科目を見つける重要な指標になります。
得意科目が見つかったら、勉強の回数を重ねるごとに問題のレベルを上げてみましょう。その後、学習意欲が十分に高まってから苦手科目の勉強に取り組むことで、効率よく弱点を克服できます。
偏差値40から偏差値50に上げるための科目別勉強法
ここでは、偏差値40から偏差値50に上げるための科目別勉強法をご紹介します。科目別の具体的なポイントは以下の通りです。
科目 | 勉強法 |
算数 | ・基本問題の練習を繰り返す ・算数の概念や公式が成り立つ仕組みを理解する |
国語 | ・1日2〜3個ずつ漢字を練習する ・読書の習慣をつける |
理科・社会 | ・アウトプットを中心に記憶を定着させる |
基礎の定着を中心に進め、ある程度知識がついた段階で応用問題にも取り組むことが成績を上げるコツです。
算数
算数における偏差値40とは、教科書に出てくる例題を十分に理解しておらず、基本問題の正答率にもばらつきがある状態です。そのため、まずは基本問題の練習を繰り返して問題パターンを掴みましょう。
問題を解くときは、算数の概念や公式が成り立つ仕組みを理解した上で答えを導くことが大切です。たとえば、長方形の面積を求める公式「たて×よこ」を覚えるときは「なぜ『たて×よこ』で四角形の面積がわかるのか」を説明できるレベルまで理解を深めます。
文章だけで概念や仕組みを理解できない場合は、図に書いたり実物を使ったりして具体的にイメージするのがおすすめです。算数は一度つまずくと他の単元でも間違えやすくなるため、何度も復習して知識を定着させましょう。
国語
国語の偏差値が40台でとどまっているのは、漢字を含む語彙が足りず、十分な読解力が身についていないことが原因だと考えられます。そのため、漢字練習や読書による語彙力・読解力の向上が必要です。
漢字を練習するときは、漢字を使った文づくりや漢字クイズをしてみましょう。さまざまな形で漢字を活用すると脳が刺激され、記憶に定着しやすくなります。
漢字以外の語彙力や長文を理解する読解力を向上させるには、読書習慣をつけるのがおすすめです。本のジャンルは、児童書や小説に限らずマンガや絵本などでもかまいません。好きなジャンルの本を読むことで読書習慣がつきやすくなり、読解力も鍛えられます。
理科・社会
理科や社会は暗記事項が多い科目です。そのため、偏差値50まで上げるには膨大な知識を効率よく暗記することが求められます。具体的には、アウトプットを中心に記憶を定着させましょう。
たとえば、理科の勉強では教科書やノートを見て知識をインプットしたあと、確認問題を解いて理解度をチェックします。学習後、一定期間空けてから復習すると知識の定着度も高まります。
社会の勉強では、周辺知識と関連づけて一つの文章にまとめましょう。「『徳川家康』が『関ヶ原の戦い』に勝ち、『江戸幕府』を開いた」のような文章を自分で考えて作ると、複数の知識をセットで覚えられます。
偏差値40~45のお子さんには個別指導がおすすめ
一般的に中学受験対策は集団塾で行いますが、集団指導ではわからないところがあっても授業が進んでしまいます。お子さんの偏差値が40台の場合、入る塾やクラスによっては授業についていけなくなる場面が出てくるかもしれません。
そのため、偏差値40〜45のお子さんには個別指導塾がおすすめです。
個別指導塾は集団塾と違い、生徒一人ひとりの勉強ペースや学力に合わせたカリキュラムを組むため、授業に遅れる心配がありません。また、講師が近くにいるため疑問がある場合もすぐに質問して解消できます。
お子さんに合った指導で弱点を克服しながら、志望校合格に向けて成績を伸ばせる点が個別指導塾のメリットです。
「より効率的に成績を上げたい」「偏差値40台の中学校でも確実に合格したい」という方は、個別指導塾の利用も視野に入れましょう。
まとめ
本記事では、中学受験における偏差値40の意味や成績を上げるための勉強法についてご説明しましたが、特に大切なポイントは次の3つです。
- 中学受験における偏差値40は全国的に見ると高い学力レベルに位置しており、私立中学や中高一貫校への受験が可能
- 偏差値40〜45のお子さんが中学受験をすると、中学校の適切な教育による成績向上が見込めるほか、高校受験が不要になる場合もある
- 偏差値40から成績を上げるためには、基礎学力の定着や苦手分野の克服を徹底することが大切
模試や実力テストの結果を有効活用し、的確にお子さんの実力を分析して必要な対策を実践しましょう。
本記事の内容をもとに、親御さんやお子さんにとって最適な勉強法や志望校を見つけ、受験勉強に励めるよう心からお祈り申し上げます。