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ご協力のお願い
最近まで同業者の方をはじめとする教育関係の方々とお付き合いする機会はあまりありませんでした。しかし、中学受験をはじめとして教育虐待が社会問題となってきており、早急に改善すべき問題と考えておりますので、もし同じ考えをお持ちの方は、職種を問わずご連絡いただけると幸いです。意見交換をはじめとして、具体的な対策等、協力して解決していければと考えております。
はじめに
「中学受験は虐待である」との主張は以前よりありましたが、自らの人生がうまくいかないのをすべて自らに学歴がないことに押し付けているだけの類の主張であろうと、あまり気にもしておりませんでした。
しかし、最近の特にここ数年の、子供たちの学力、勉強態度、子供の勉強に対する親の接し方をみていると、あながち間違った主張ではなく、塾の経営をしているものとして、真剣に向き合うべき問題であると認識するに至りました。
また、ネット上でも同様の主張をされている方が多くなってきました。特にお子様をよくみられている先生方がそのような主張をされていらっしゃいます。
教育虐待
虐待を受けていると疑われる子供の様子
当塾で実際にみかけた子供の様子となります。思い過ごしかと思っておりましたが、多方面から話を聞いていると、同様の症状の子が増えているときき、深刻な問題であり、それが発展しつつあるものと認識いたしました。
・能面のように顔の表情がない
・塾にきても何もせずぼーっとしている
・自分で考えることができない
母親が骨折したというので理由を聞いてみたところ、子供の勉強をみていて発狂し、机を叩いて骨折したというのです。救いようがないと思ったとともに、他の腕や足も骨折すればよかったのにと思いました。
教育虐待にあたると思われるケース
次に、教育虐待にあたるケースのうち、よくあるものを例に挙げます。
時間的な観点
よく挙げられる具体例としては、以下のブログに記載されているようなものです。
子供たちが過ごしている日常を考えてみると、朝起きて、学校へ行き、学校が終われば塾へ行き、帰宅後、学校の宿題と塾の宿題をする。これに加えて、早朝に起床して計算練習等をやるご家庭もあるようです。
大人に置き換えれば、朝起きて、仕事へ行き、仕事が終わればアルバイトもしくは副業をし、帰宅後、自宅にて残った仕事をして、就寝するというかたちとなります。
大人は休みがありますが、子供には休みがなく、これが365日休みなく続くのです。ブラック企業も顔負けの悲惨さだと思われます。にしても、よくもまあそんな朝から夜中まで勉強できるというかさせられますね。まさに、ブラック家庭もしくはブラックペアレントでしょう。
指導内容からの観点
子供たちからよく聞く一番の不満は、「できもしない人間に偉そうに言われるのが嫌」というものです。解答をみながら、「なぜできないの?」と叫び、「じゃあ、おまえがやってみろよ」と言われたら逃げる。
ひどいケースになると、「やっておきなさい」と問題を一方的に与え、終わるまで自由を与えないというのも耳にします。
ヒントもアドバイスもできずに、ただただ「やりないさい」と言い続け、時には暴力を使う。それで解けるようになるはずがないことがわからないような人間に指導されること自体が虐待にあたると思われます。
虐待をしている親がよく使う言い訳
「子供が続けたいというから」もしくは「子供がやめたいと言わないから」ということを理由として、仕方なしに勉強させ続けるケースもよく見かけます。これは親が自ら判断することを回避し、責任転嫁しているだけです。
とりあえず母親の関与を排除してみる
あるとき、あまりにも自分のこと(学校の予定等)をわかっていない生徒がいたので、母親に「子供が自分でするべきこと、特に学校や勉強のことについては一切関与しないようにしてください」と指示しました。
そうすると、自ら予定を把握し、意欲的に勉強をし始めました。一例だけでは説得力に欠けるので、別のご家庭も母親の関与を排除してみたところ、子供たちの勉強に対する姿勢は大きく変わりました。
これからのことから、母親の干渉を排除することが最も効果的な施策であると結論づけております。
従いまして、当塾においては、親の干渉がひどいご家庭は、入塾拒否もしくは退塾処分にしております。
これらのことに関しては、谷先生も詳しく書いてくださってます。
もちろん、保護者の方から素晴らしいご意見をいただき、協力関係を築けるケースもありますが、全体の1%もいらっしゃいません。また、そういうご家庭のお子様は、自らで判断し意思決定されるので、必然的にかなりの学力をお持ちです。
本当にすべてが親の責任なのか
もちろん、頭のおかしい親というのは、残念ながらそれなりの数で存在します。こういう親に関しては、然るべき機関に通知して、子供の保護を行うことになります。
しかし、頭のおかしい親をのぞき、もし仮に虐待にあたるとした場合であっても、それがすべて家庭に責任があるかといえば、そうとは言い切れないケースもあります。
実際のところ、子供に対する教育をどのようなものにするかというのは、保護者の一存で決定されるため、保護者の判断が間違っているのは事実であり、実行犯は保護者となります。
しかし、それらのブラック家庭なりブラックペアレントをよくよく見てみると、何かに必死なだけだけであり、意図的に虐待をおこなっていたのではなく、気づくとそうなっていたケースも多くあります。
「大手塾でいいクラスに入れたい」
これが子どものためか、自らがママ友とかいう何ひとつ友達ではない母親に自慢したいかはさておき、ほとんどのケースがこれでしょう。つまり、大手塾が採用しているシステムが教育虐待の温床となり、それに思考停止でのうのうとのせられた母親が実行犯となっているということなのです。
大手塾のシステムについては、以下でわかりやすくまとめてくださってます。
思い返せば、自分の子には「聞いても意味のない授業を聞かせ、クラスを決めるテストを受けさせ、じっくりと取り組めない大量の宿題をやらせる」ということが嫌だったので、現在のシステムを構築したのでした。
教育虐待の社会への影響
これらのことを考えながらふと思ったのが、現在、中学受験に臨んでいる子の親の世代も、大手塾に通いながら中学受験をしていた世代です。
・自らが大手塾で中学受験をし、そのシステムのもとで子供に虐待をする保護者
・演習システムに対応できず、一人で話続けるしかない講師
・自らが解けない問題を教えるフリをする親や講師
このような現在の中学受験に関わる不適切な大人たちの多くが、大手塾のシステムのもとで育ってきたものと思われます。
失われた30年
「中学受験は虐待である」として、社会問題となりつつことを考えると、やはり大手塾が現在も採用している数十年も変わらないシステムは、少なくとも今の時代においても不適切なものなのでしょう。さらには、それにより失われた30年が作出されてしまったと考えるのもあながち間違いではありません。