勉強中に甘いものが食べたくなるのはなぜだろう。糖分を摂取すると集中力は本当に上がるのだろうか。勉強中の糖分補給は、どのタイミングで何を食べるのが効果的なのだろうか。
本記事をご覧の方は、中学受験に向けた学習における糖分摂取について、さまざまな疑問や悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、勉強中の効果的な糖分摂取について、以下の7点を詳しく解説します。
- 集中力が続かない原因と糖分との関係
- 勉強中に甘いものが欲しくなる理由
- 糖分摂取のメリットとデメリット
- 効果的な糖分摂取のタイミングとポイント
- 勉強中におすすめの食べ物・飲み物
- 糖分と一緒に摂取したい栄養素
- 集中力を高める生活習慣のポイント
本記事をご覧いただければ、お子さんの学習効率を最大限に高める、適切な糖分補給の方法が具体的に理解できます。長時間の学習でも集中力を維持し、志望校合格に向けて着実に成績を伸ばしていけるよう、ぜひ参考にしてください。
目次
勉強に集中できない原因
勉強中になかなか集中力が続かないと感じるお子さんは少なくありません。中学受験を目指す小学生にとって、これは深刻な問題といえるでしょう。集中力が続かない原因は、大きく分けて次の4つがあります。
- 生活習慣の乱れ
- 学習環境の問題
- 不十分な勉強計画
- 偏った食事による栄養不足
これらの要因は互いに関連し合っており、どれか一つでも乱れると学習効率に大きな影響を及ぼしてしまいます。
生活習慣の乱れ
睡眠時間が十分に確保できていなかったり、眠りが浅かったりすると、脳が十分に休息できず、翌日の集中力に影響が出ます。特に中学受験を控えた小学生は夜更かしをしがちですが、これは集中という意味では逆効果になってしまいます。
また、食事の量が多すぎると消化に体力を取られて眠くなりやすく、逆に食べなさ過ぎると空腹感で集中できなくなります。特に朝食を抜くと、午前中の集中力が著しく低下するため要注意です。
生活リズムを整えることは、集中力を高める土台となります。就寝・起床時間を一定にし、3食をバランスよく摂取することで、自然と集中力が高まるでしょう。また、規則正しい生活習慣は、学習効率を上げるだけでなく、体調管理や精神的な安定にもつながります。
学習環境の問題
スマートフォンやゲーム機など、誘惑となるものが視界に入る場所にあると、つい気が散りがちになります。また、部屋の温度が高すぎたり低すぎたりすると、体調を崩す原因になるだけでなく、集中力も低下してしまいます。
さらに騒音や人の出入りが多い場所での学習も、集中力を妨げる大きな要因です。特に小学生は外部からの刺激に敏感なため、静かで落ち着いた環境を整えることが重要です。
学習環境の改善は、まず簡単なものから始めましょう。机の上を整理する、スマートフォンを別室に置く、適切な室温を保つなど、できることから順番に取り組んでみてください。
また、照明も重要な要素で、暗すぎると目が疲れやすく、明るすぎると集中力が散漫になります。そのため、デスクライトなどを使って適度な明るさを調節するようにしましょう。
不十分な勉強計画
その日の学習内容が決まっていないまま机に向かうと、まず何をすべきか考えることに時間を取られ、貴重な集中力を消耗してしまいます。特に中学受験を控えた小学生の場合、限られた時間を最大限に活用する必要があります。
効率的な学習のためには、科目ごとに具体的な目標を設定することが重要です。たとえば「算数を30分」ではなく「算数の図形問題を3問解く」というように、手順を明確にしましょう。
また、長時間の連続学習も集中力低下の原因となります。小学生の場合、集中できる時間は学校の授業と同じ45分前後であることが多いでしょう。この時間を目安に、5〜10分程度の小休憩を入れることで、脳を効率よく働かせることができます。
偏った食事による栄養不足
極端な食事制限や好き嫌いにより、必要な栄養素が不足すると、脳の働きに大きく影響します。特に脳のエネルギー源となるブドウ糖が不足すると、集中力の低下を引き起こします。
また、長時間の空腹状態も要注意です。血糖値が低下すると、脳はエネルギー不足に陥り、集中力が著しく低下します。一方、糖分の取りすぎも逆効果で、血糖値の急激な上昇と下降により、かえって集中力が途切れやすくなります。
理想的なのは、主食・主菜・副菜をバランスよく摂取し、必要に応じて適度な間食で補う方法です。特に中学受験期は精神的なストレスも大きいため、栄養バランスの取れた食事で体調管理をすることが、集中力の維持に重要な役割を果たします。
勉強中に甘いものが欲しくなる理由
勉強中、特に複雑な計算問題や長文読解に取り組んでいると、突然甘いものが欲しくなることがあります。これは単なる気分の問題ではなく、脳の重要なシグナルなのです。
勉強中に甘い物が欲しくなるのは主に次のような原因が考えられます。
- 脳にはブドウ糖が必要なため
- ストレスを解消するため
ここでは、このふたつの要因について詳しく解説していきます。
脳にはブドウ糖が必要なため
脳が唯一エネルギー源として使用できるのがブドウ糖です。計算問題を解いたり、暗記をしたりする際、脳は大量のブドウ糖を消費します。脳はおよそ1,250gしかないのに、体全体の25%ものブドウ糖を消費すると言われています。
参考元:脳の栄養~ブドウ糖(砂糖)とトリプトファンを中心として~|農畜産業振興機構
そして重要なのは、脳にはブドウ糖を蓄える能力がないという点です。そのため、血液中のブドウ糖が不足すると、即座に補給が必要となります。これが、勉強中に甘いものが欲しくなる主な生理的メカニズムです。
特に小学生は成長期であり、大人以上に脳のエネルギー消費量が多いため、より頻繁にブドウ糖を必要とします。ただし、糖分の過剰摂取は逆効果となるため、適切な補給方法を知ることが重要です。
ストレスを解消するため
甘いものを食べると、脳内でβエンドルフィンやセロトニンといった、幸せホルモンと呼ばれる物質が分泌されます。これらのホルモンには、ストレスを和らげ、心を落ち着かせる効果があります。
中学受験のような大きな目標に向かって勉強する際は、精神的なストレスも大きくなります。実際、テスト前や難しい問題に取り組んでいるときほど、甘いものを欲する傾向が強くなるかと思います。これは、体が無意識のうちにストレス解消を求めている証拠です。
しかし、甘いものを食べることで一時的な安らぎを得られますが、過度な依存は望ましくありません。適度な運動や十分な睡眠など、他のストレス解消法と組み合わせることで、より健康的に学習環境を整えることができます。適切なストレス管理は、長期的な学習のための重要な要素と言えるでしょう。
勉強中に糖分を摂取するメリット
適切な糖分摂取は、勉強効率を大きく高める可能性があります。糖分を摂取することによるメリットには次のようなものが挙げられます。
- 脳に素早くエネルギーを補給する
- 集中力とやる気が向上する
- ストレスが緩和され、リラックスできる
ここでは、これらのメリットについて詳しく解説していきます。
脳に素早くエネルギーを補給する
糖分を摂取すると、体内で速やかにブドウ糖に分解されます。特に砂糖は、米やパンなどに含まれるでんぷんと比べて、より早くブドウ糖に変換されるという特徴があります。
この即効性は、中学受験を控えた小学生の学習において大きなメリットと言えるでしょう。たとえば、複数の教科を続けて学習する際、教科の切り替わりのタイミングで適切な糖分補給をすることで、次の教科にも高い集中力で臨むことができます。
また、朝型の学習スケジュールを組んでいる場合、朝一番の学習前に軽い糖分補給をすることで、脳を効率的に活性化させることができます。これは、午前中に行われることが多いテストや模試でも同じことが言えます。
集中力とやる気が向上する
糖分を摂取すると、脳内で「ドーパミン」という神経伝達物質の分泌が促されます。ドーパミンは「やる気ホルモン」とも呼ばれ、集中力とモチベーションの向上に重要な役割を果たします。
学習中に適度な糖分摂取を行えば、このドーパミンにより集中力の持続が期待できます。たとえば、漢字の書き取り練習や計算ドリルなど、反復的な学習に取り組む前に糖分を摂取すると、より多くの問題に取り組むことができるでしょう。
ただし、この効果を最大限に引き出すためには、一度に大量の糖分を摂取するのではなく、少量を適切なタイミングで摂取することが重要です。
ストレスが緩和され、リラックスできる
適度な糖分摂取には、ストレス軽減効果もあります。これは先述の通り、糖分摂取によって「βエンドルフィン」と「セロトニン」という2つの重要な物質が分泌されるためです。特に中学受験期は精神的なプレッシャーも大きく、これらのホルモンによるストレス緩和効果は、学習効率の維持にとても重要です。
また、βエンドルフィンには鎮痛効果があり、長時間の学習による精神的な疲労を和らげます。一方セロトニンには、気分を安定させリラックスさせる効果があります。たとえば、苦手科目に取り組む前に適度な糖分を摂取することで、より落ち着いた状態で学習に臨むことができます。
さらに、夜間の学習後には、これらの物質が良質な睡眠を促進する効果も期待できます。ただし、就寝直前の過剰な糖分摂取は逆効果となるため、夕食後は控えめにすることをおすすめします。
勉強中に糖分を摂取するデメリット
糖分摂取は脳のエネルギー補給に必要不可欠ですが、適切な量とタイミングを間違えると、かえって学習効率を下げてしまう可能性があります。
糖分を摂取することによるデメリットは次のようなものが挙げられます。
- 過剰摂取により眠気を引き起こす
- イライラして勉強に集中できなくなる
- 甘いものに依存してしまう
特に中学受験期の小学生は、長時間の学習による疲労から甘いものに頼りがちです。しかし、過剰な糖分摂取は、これらのデメリットがあるため注意が必要です。
過剰摂取により眠気を引き起こす
糖分の過剰摂取は「血糖値スパイク」と呼ばれる現象を引き起こします。
たとえば、甘いジュースを一度に大量に飲むと、急激な血糖値の上昇が起こります。すると、体は血糖値を下げようとして大量のインスリンを分泌し、結果として血糖値が必要以上に低下してしまいます。
この低血糖状態では、脳が十分なエネルギーを得られなくなります。具体的には、暗記した内容を思い出しにくくなったり、計算ミスが増えたりといった症状が現れてしまいます。特に午後の学習時間帯は、生理的な眠気と重なって、より強い眠気を感じやすくなります。
理想的な血糖値の維持には、少量の糖分を、2〜3時間おきに補給するのがおすすめです。特に、テスト直前の緊張状態では、つい大量の糖分に手が伸びがちですが、これは避けるべきでしょう。
イライラして勉強に集中できなくなる
低血糖状態になると、体は危機的状況と判断して「アドレナリン」というホルモンを分泌します。
このホルモンは、通常は運動や緊急時に分泌される「闘争」のためのホルモンです。たとえば、理科の暗記に取り組んでいるときに低血糖になると、内容が頭に入りにくくなるだけでなく、イライラ感も強くなります。
特に小学生の場合、このような感情のコントロールが難しく、ちょっとしたことでイライラが爆発してしまう可能性があります。社会の年表を覚えているときや、長文読解に取り組んでいるときなど、じっくりと考える必要がある学習では、特に大きな妨げとなるでしょう。
さらにこのイライラ感は、再び糖分を過剰摂取してしまう原因となり、悪循環に陥りやすいという特徴があります。集中力を維持するためには、定期的な軽い運動や深呼吸など、別の方法でストレス解消を図ることが重要です。
甘いものに依存してしまう
糖分摂取によって分泌される快感ホルモンは、実は麻薬と同じような依存性を持っています。たとえば、漢字の書き取り練習の度に必ずチョコレートを食べる習慣がついてしまうと、チョコレートがないと学習に取り組めなくなってしまう可能性があります。
特に中学受験期は精神的なストレスも大きく、「勉強=甘いもの」という関係性が強化されやすい時期です。算数の文章問題に行き詰まったときや、社会の年表が覚えられないときなど、困難に直面するたびに甘いものに頼ってしまうクセがついてしまったら、要注意です。
依存傾向が強まると、「甘いものがないとイライラする」「学習中、常に甘いものを口にしていないと落ち着かない」といった症状が現れます。これは単なる心理的な依存だけでなく、疲れやすい、めまいを感じるなどと言った体の生理的な反応としても現れるため、学習効率の低下を招く大きな要因となります。
勉強中に糖分を摂取する際のポイント
中学受験期の学習において、糖分の効果的な活用は集中力を高める強い味方となります。しかし、その摂取方法には以下に挙げるような正しい知識と工夫が必要です。
- 血糖値の急激な上昇を避ける
- 適切なタイミングで適量を食べる
- バランスの良い食事を心がける
ここでは、学習効率を上げるための具体的な糖分摂取のポイントを解説していきます。
血糖値の急激な上昇を避ける
血糖値を安定させることは、長時間の集中力維持に不可欠です。
たとえば、学習の前に清涼飲料水を一気に飲んでしまうと、しばらくして強い眠気に見舞われる可能性があります。これを防ぐためには、低GI食品(血糖値がゆっくり上昇する食品)を選ぶことが重要です。
りんごやいちごなどは、糖分を含んだ果物の中では低GIであり、集中力を安定して維持することができます。特に、計算問題や図形問題など、高度な思考力を必要とする学習の前には、急激な血糖値の変動を避けることが重要です。
学習開始前に、余裕をもって低GI食品を摂取することが、より効果的な糖分補給に大切なポイントです。
適切なタイミングで適量を食べる
効果的な糖分補給には、「いつ」「どれだけ」を意識することが重要です。
長時間の学習では、適度な間隔で分けて糖分を摂取するのが理想的です。一度にたくさん食べるのではなく、少しずつ補給することで、血糖値の急激な変動を防ぐことができます。
自宅学習では、科目の切り替えのタイミングや休憩時間を利用して、軽い間食として糖分を補給することがおすすめです。集中力が低下してきたと感じる前に、計画的に補給するのがコツです。
また、苦手科目に取り組む前や、午後の眠気が出やすい時間帯には、特に意識して糖分補給のタイミングを考えましょう。ただし、夜遅い時間の糖分摂取は睡眠の質に影響を与える可能性があるため、控えめにすることをおすすめします。
学習時間の配分と合わせて、糖分補給のタイミングも計画に組み込んでおくと良いでしょう。
バランスの良い食事を心がける
ブドウ糖タブレットなどの単体での糖分摂取は、一時的な効果は期待できますが、長時間の集中力維持には適していません。代わりに、食物繊維やタンパク質と組み合わせて摂取することで、より効果的な糖分補給が可能になります。
たとえば、理科の暗記学習に取り組む前のおやつとして、りんご(食物繊維)とチーズ(タンパク質)を組み合わせると、長時間の安定した集中力が期待できます。これは、食物繊維が糖分の吸収をゆるやかにし、タンパク質が持続的なエネルギー供給を助けるためです。
特に、長期的な学習計画を立てている受験生は、日々の食事バランスにも気を配ることが重要です。主食・主菜・副菜をバランスよく摂取し、適度な間食で補完することで、より効率的な学習が可能になります。
勉強中の糖分補給におすすめの食べ物
中学受験の学習において、糖分補給を効果的に行うことは集中力の維持に重要です。特に算数や理科など、論理的思考を必要とする科目では、脳のエネルギー供給を適切に保つことがポイントになります。
ここでは、学習効率を最大化するための最適な食べ物を紹介します。これらは、血糖値の急激な変動を防ぎながら、集中力の維持をサポートしてくれるおすすめの食材です。
バナナ
バナナは、学習時の糖分補給に最適な食べ物の代表です。
その理由は、3種類の糖(ブドウ糖、果糖、ショ糖)をバランスよく含んでいることにあります。それぞれの糖は吸収される時間が異なるため、長時間にわたってブドウ糖が供給され、集中力を維持することができます。
また、バナナに含まれる食物繊維は、糖分の吸収をゆるやかにする働きがあります。そのため、血糖値の急上昇を防ぎ、図形問題や計算問題など、長時間の思考を必要とする学習でも高い集中力を維持できます。その上、バナナは1本あたり約90kcalと低カロリーなため、食べ過ぎの心配も少なく、午前中の学習時や、午後の集中力が低下しやすい時間帯の糖分補給として最適です。
特に、中学受験生の場合、持ち運びが容易で、休憩時間にさっと食べられるという利点も、バナナが最適な糖分補給である理由の一つです。
ビターチョコレート
カカオ含有量が50%以上のビターチョコレートも、理想的な学習時の食べ物です。
計算問題や暗記学習の前に、2〜3個を目安に摂取すると、高い集中力維持が期待できます。これは、適度な糖分に加え、カカオに含まれるさまざまな機能性成分の効果によるものです。
カカオに含まれるテオブロミンには、眠気を抑え、集中力を高める効果があります。また、カカオポリフェノールには脳の血流を改善する作用があり、特に社会の年表暗記や理科の用語暗記など、記憶力を必要とする学習に効果的です。
ただし、チョコレートはカロリーが高いため、1回の摂取量は控えめにすることが重要です。理想的な摂取タイミングは、午前中の集中力が高い時間帯か、午後の眠気が出始める時間帯がいいでしょう。
ラムネ
お菓子のラムネは、即効性のあるブドウ糖補給源として理想的です。
特に、テスト直前や長時間学習の合間など、素早いエネルギー補給が必要な場面で効果を発揮します。たとえば、模試の休憩時間に2〜3粒摂取すれば、試験中の集中力向上が期待できます。
ラムネの主成分であるブドウ糖は、砂糖やでんぷんと違い体内での分解プロセスを必要としないため、直接エネルギーとして利用できます。そのため試験直前など、すぐに集中を必要とする場面での補給に適しています。
ただし、純度の高いブドウ糖は血糖値を急激に上昇させる可能性があるため、一度の大量摂取は避けましょう。また、糖分だけの摂取となるため、できるだけ他の栄養素と組み合わせて摂取することをおすすめします。
糖分と一緒に摂取したい食べ物
中学受験の学習効率を最大限に高めるためには、糖分を単体で摂取するのではなく、次のような相性の良い食べ物と組み合わせることが重要です。
- 食物繊維を含む食品
- ビタミンB1を含む食品
- ビタミンB6を含む食品
ここでは、これらの食品がなぜ相性がいいのか、詳しく解説していきます。
食物繊維を含む食品
りんごやバナナなどの果物に含まれる食物繊維は、糖分の吸収速度をコントロールする重要な栄養素です。
たとえば、勉強に取り組む際に、りんご1個とチョコレート2かけを組み合わせることで、チョコレートを摂取しただけよりも安定した集中力の維持が期待できます。これは、食物繊維が糖分の急激な吸収を防ぎ、血糖値の上昇をゆるやかにする働きがあるためです。
特に、長時間の思考を要する学習の前には、このような糖分と食物繊維の組み合わせが効果的です。果物は手軽に食物繊維が摂取でき、さらに水分補給も同時にできるため、学習時の食べ物としては理想的といえるでしょう。
理想的な摂取タイミングは学習開始30分前で、食物繊維を含む食品を先に摂取することで、より効果的な血糖値のコントロールが可能になります。
ビタミンB1を含む食品
大豆や豚肉に豊富に含まれるビタミンB1は、糖質をエネルギーに変換する際に必要不可欠な栄養素です。
たとえば、豚肉を使ったおにぎりを間食として摂取すると、その後の暗記学習や計算問題での集中力維持に効果的です。特に、午後の学習前の食べ物として取り入れるのがおすすめです。
効果的な組み合わせとしては、「ポークサンド+バナナ」「大豆製品+チョコレート」などがあります。これらの組み合わせにより、長時間エネルギーが供給されるため、社会の年表暗記や理科の用語暗記など、記憶力を必要とする学習前におすすめです。
また、ビタミンB1は水溶性のため体内に蓄積されにくく、毎日の摂取が重要です。中学受験期は特に脳の活動が活発になるため、意識的な摂取を心がけましょう。
ビタミンB6を含む食品
肉や魚類、豆類などに含まれるビタミンB6は、集中力を高めるために必要な神経伝達物質の生成を助ける重要な栄養素です。
効果的な組み合わせとしては、「ナッツ類+ドライフルーツ」「バナナ+アーモンド」などがあります。これらの組み合わせは、糖分の供給がゆるやかで、かつ持続的なため、特に算数の文章問題や理科の実験問題など、応用的な思考を必要とする学習に適しています。
さらにビタミンB6は脳の働きを活発にする効果があるため、午前中の集中力が必要な時間帯での摂取がおすすめです。ただし、これらはカロリーが高くなりがちなため、就寝前の摂取は避けるようにしましょう。
勉強中におすすめの飲み物
食べ物だけでなく、適切な飲み物を選ぶことも、集中力の維持には大切です。
特に、長時間の学習では水分補給と共に、適度な糖分やカフェインの摂取が効果的になります。ただし、清涼飲料水のような糖分の多い飲み物は避け、脳の活性化を促す成分を含む飲み物を選びましょう。
ここでは、学習時に最適な飲み物を紹介します。
ココア
ココアは、中学受験生の学習時に最適な飲み物の一つです。
カカオに含まれるポリフェノールには、脳の血流を改善する効果があり、特に複雑な思考を要する学習時に効果的です。また、テオブロミンによる穏やかな覚醒作用があり、午後の眠気対策にも有効です。
ココアには、1杯(200ml)あたり約20gの糖類が含まれており、少しずつ飲むことで集中力を維持できます。また、夜の学習時でも、カフェイン含有量が少ないため安心して飲むことができます。さらに温かいココアには、セロトニンの分泌を促す効果もあり、テスト前の緊張をやわらげる効果も期待できます。
さらに、インスタントココアを作る際は、お湯よりも牛乳で作る方がおすすめです。牛乳のタンパク質により、糖分の吸収が緩やかになり、安定した集中力の維持が可能になります。
クエン酸の含まれた飲み物
レモンや梅・お酢が入っているようなクエン酸を含む飲み物は、学習時の疲労回復に効果的です。
特に、算数の計算問題や理科の暗記など、反復的な学習による精神的疲労を感じる際におすすめです。クエン酸は、体内でのエネルギー生産を助け、脳の働きを効率的にサポートする効果があります。
また、クエン酸には口内を爽やかにする効果もあり、眠気覚ましとしても有効です。特に、夏場の学習時には、適度な水分補給をしながら爽快感も得られるおすすめの飲み物といえるでしょう。
緑茶・ほうじ茶
緑茶やほうじ茶には、テアニンとカフェインが含まれており、この組み合わせが理想的な集中力向上効果を発揮します。
たとえば、社会の年表暗記や理科の用語暗記など、記憶力を必要とする学習の前に飲むのが効果的です。また、テアニンにはリラックス効果があり、適度な緊張感を保ちながら学習に取り組めます。
緑茶のカフェイン量は、コーヒーよりも少なく急激な覚醒作用がないため、安定した集中力維持が可能です。特に、午前中の学習時や、午後の眠気が出始める時間帯での摂取がおすすめです。
ただし、いくらコーヒーよりもカフェインが少ないと言っても、就寝前の摂取は、睡眠の質に影響を与える可能性があるため控えめにしたほうがいいでしょう。
糖分補給以外に大切なこと
中学受験の学習効率を最大限に高めるためには、適切な糖分補給だけでなく、生活習慣全体を見直すことが重要です。
特に気をつけたい点は次の4つです。
- 朝型の生活習慣を心がける
- 睡眠時間をしっかりと確保する
- 3食しっかり食事を摂る
- 適度に休息をいれる
ここでは、これら中学受験生が意識すべきポイントについて解説します。
朝型の生活習慣を心がける
脳の働きは午前中が最も活発です。この時間に、複雑な思考を要する問題に取り組むことで、より効率よく学習できるでしょう。
具体的な時間配分として、起床後30分程度で軽い朝食を摂り、消化時間を考慮して1時間後から学習を開始するのが理想的です。午前中は特に記憶力と理解力が高まるため、新しい単元の学習や、理科の用語暗記、社会の年表暗記などに充てるのがおすすめです。
この習慣を身につけるためのコツは、平日も休日もできるだけ同じ時間に起床することです。また、テストや入試本番も午前中に行われることを考えると、朝型の生活習慣を確立しておくことは、本番での実力発揮にも直結します。
睡眠時間をしっかりと確保する
小学生の理想的な睡眠時間は9~12時間と言われています。たとえば、午後9時に就寝し、午前6時に起床する生活リズムを確立することで、朝の学習時間を確保しながら、十分な睡眠時間も確保できます。特に、算数の応用問題や理科の実験考察など、高度な思考力を要する問題は、十分な睡眠後の方が正答率が高まります。
また、就寝前3時間は、カフェインの摂取を避け、スマートフォンやタブレットの使用も控えめにすることが重要です。ブルーライトは睡眠を妨げる原因となるため、就寝1時間前にはデジタル機器の使用を終えましょう。
さらに、午後の学習時に仮眠を取る場合は、15〜20分を目安とし、14時までに済ませることで、夜の睡眠の質を妨げることなく、集中力の回復が期待できます。
参考元:健康づくりのための睡眠ガイド2023_こども版(案)
3食しっかり食事を摂る
規則正しい食事は、安定した血糖値の維持に不可欠です。特に朝食は、その日最初の脳のエネルギー源となるため、必ず摂取する習慣をつけましょう。理想的な朝食は、主食・主菜・副菜がそろった栄養バランスの良いものです。
たとえば、「ごはん+卵料理+野菜」という組み合わせは、集中力の維持に効果的なメニューといえます。これは、ごはんに含まれる炭水化物が徐々にブドウ糖に変換され、卵のタンパク質と野菜の食物繊維が血糖値の急激な上昇を防ぐためです。
また、夕食は就寝3時間前までに済ませ、腹八分目を心がけることで、質の良い睡眠につながります。特に、受験直前期は、消化に負担のかかる脂っこい食事や、夜遅い食事は避けるようにしましょう。
適度に休息をいれる
効率的な学習のためには、適切な休息も重要な要素です。たとえば、算数の問題演習を50分行ったら、10分の休憩を入れるというように、学習と休憩のリズムを作ることで、より高い集中力を維持できます。
休憩時間には、体を休めるだけでなく軽い体操やストレッチなど、血行を促す活動を取り入れるのがおすすめです。また、週末には十分な休息を取り、リフレッシュする時間を確保することも大切です。ただし、生活リズムが崩れないよう、起床時間は平日と同じにすることを心がけましょう。
学習時間と休息時間のメリハリをつけることで、より効率的な受験勉強が可能になります。
まとめ
本記事では、勉強中の糖分摂取の効果とおすすめの摂取方法についてご説明しましたが、特に大切なポイントは以下の3つです。
- 勉強中の糖分摂取は脳のエネルギー補給に効果的だが、過剰摂取は逆に集中力を低下させる原因となる
- 血糖値の急激な変動を防ぐため、バナナやビターチョコレートなど、糖分が緩やかに吸収される食品を選ぶと良い
- 食物繊維やビタミンB1を含む食品と組み合わせることで、より効果的な糖分補給が可能
集中力を維持するためには、適切な糖分補給に加えて、朝型の生活習慣を心がけ、十分な睡眠時間を確保することも重要です。また、3食の食事をしっかりと摂ることで、血糖値を安定させ、より効率的な学習が可能になります。
本記事の内容をもとに、お子さんに合った効果的な糖分補給の方法を見つけ、志望校合格に向けて着実に成績を伸ばせるよう、心からお祈り申し上げます。