「中学受験の理科ではどんな問題が出題されるのだろうか」
「どの科目を優先して勉強するべきなのだろうか」
「理科の単元に合わせた正しい勉強方法が知りたい」
中学受験を検討される親御さんの中には、理科に対してこのような悩みを抱えていることがあります。また、中学受験の理科は単元ごとの勉強方法が異なり、苦手意識を持つお子さんも多いでしょう。
今回は、最近の入試出題傾向から各単元の効率的な勉強方法まで、中学受験の理科の勉強における多くの方が持つ悩みとその解決策を解説します。
この記事では、入試に対する基本知識や、すぐに実践できる理科の勉強方法をご紹介いたしておりますので、ぜひご参考になさっててください。
目次
中学受験で理科は重要科目か?
中学受験の中で理科の重要度は、希望する学校の入試の科目数や配点により異なります。一般的な中学受験は、国語、算数、理科、社会の4科目が基本となります。しかし、3科目受験、2科目受験の入試タイプを設けている学校もあり、お子さんがどの科目で受験するのか、実際の各科目の配点を確認する必要があります。
配点に関して、均等配点の場合は4科目を同じ点数に配分するため、いずれかの科目に偏ることなく点数を取る必要があります。傾斜配点とは、特定の科目の配点を高くする配点方法です。国語と算数の配点が高く設定されることが多く、国語と算数が得意な子どもが入試に有利になる傾向があります。
例えば、国語と算数は100点満点、理科と社会は50点満点の配点の場合は、国語と算数で高い得点を取れば合計点を伸ばすことができます。傾斜配点が採用されている場合は、配点の高い科目で他の受験生との点数の差がひらきやすいので、国語と算数を優先して勉強することをおすすめします。
上記のことから、お子さんが中学受験をする際、理科がどの程度、重要になるのかは、志望校の入試科目や配点などを早めに確認する必要があります。
複数の入試パターンで理科を使う可能性が高い
中学受験の入試科目は学校によって決まっているところもあれば、複数の科目数の中から出願の際に選ぶことができる学校もあります。その入試パターンはいずれも1〜4科目型の中から学校ごとやテストごとに採用されています。
一般的な中学受験の4科目型は、国語・算数・理科・社会です。3科目型は、国語・算数・理科を基準とするケースが多くなります。2科目型は、一般的には国語と算数の組み合わせが多いですが、好きな科目を選べる場合もあり、理科を選択することが可能なケースもあります。1科目型は、比較的新しい受験方法で、首都圏を中心に増加しています。教科は算数が多く、英語や適性検査試験を実施する学校もあります。
関西の難関中学校の受験科目を実際に例にあげます。
- 灘中学校:国語、算数、理科の3教科型
- 東大寺学園中学校、大阪星光学院中学校:国語・算数・理科・社会の4科目型もしくは国語、算数、理科の3科目型
このように、学校により受験科目や科目数を選択できるかどうかが変わりますが、難関校では入試で理科の科目が必要となるケースがほとんどです。そのため、まだ受験校を決めていない場合も、算数と国語の次に、理科の勉強を優先して始めておくことをおすすめします。
得点源になりやすい科目
中学受験の理科の問題は、大問に関連する枝問が多いため、大問中、最初から順に解いていくことで連続して得点を取ることができます。枝問とは、大きなくくりの問題である大問に対して、その下に関連するいくつかの小問のことを指します。
また、理科は他の科目と比べると暗記で答えられる問題が多い科目です。特に生物と地学は暗記することで正解できる問題がとても多く、化学も問題を解くために多くの知識や用語の暗記が必要です。
理解力や応用力が必要な国語と算数に比べると、暗記により一定の得点は取りやすい科目ですので、多くの受験生が点数を稼ぐことができるでしょう。点数を伸ばしやすい反面、多くの受験生が得点している問題で失点が続いてしまうと合計点が低くなり、他の受験生と得点差が広がってしまいます。
得点の取りやすい問題で失点しないようにするためには、日々の演習を繰り返すことでミスをしないように勉強する必要があります。
最近の中学受験における理科の出題傾向とは
近年、中学受験の理科は学校によって出題内容が異なる傾向があります。学校によっては1つの分野の配点が高かったり、4単元まんべんなく問題が出題されたり、形式が違う場合もあるため、早い段階で志望校の出題傾向に関する情報をおさえておきましょう。
一方で、全ての学校において、問題に対する読解力や計算力を求めた問題が多く出題されています。理科の問題でも、算数の公式を利用する計算能力や、出題文章から問われる内容を読み解き回答する総合力が求められています。
難関中学の入試になると、小学校で習う内容だけでは問題を解くことができない場合があります。前述した「総合力」を身につけるためには、多くの問題に触れて、各問題の解き方や考え方などを学ぶ必要があります。
入試難易度が高くなる中学校ほど、ご自身で出題傾向の分析や入試対策を行うことは難しくなります。中学受験の機会は一度しかありませんので、効率的に勉強を進めながら、有益な入試情報を入手することができる、中学受験対策塾に通うことをおすすめします。
暗記だけで答えられる問題が減ってきている
過去の中学受験の理科は、今よりも多くの問題が暗記により解答でき、用語の暗記だけで理科全体の得点をある程度は取れていました。しかし、最近の入試は以前に比べると、計算問題や文章問題などの暗記以外の問題が増えている傾向にあります。
暗記が多い単元として有名なのは生物と地学です。生物・地学は化学・物理よりも覚える用語が多く、一問一答式の問題が序盤に出題されやすい傾向があります。しかし、問題の中盤以降は生物・地学も計算問題の配分が増えるため、暗記だけでは対策としては不十分です。
パターン化されている計算問題がある
算数の計算問題は点数が取れるのに、理科の計算問題になると点数が伸び悩んでしまうお子さんがいらっしゃいます。実は理科の計算問題と算数の計算問題では、考え方や解き方が異なり、それを理解していないと計算問題の伸び悩みに陥ってしまいます。
理科の計算問題は、実験結果を分析するために必要な解を求められるため、何かと何かを比べるという公式が頻繁に用いられます。化学においては液体の比率を求める問題であったり、物理では時間や速さを求める問題などです。
このように公式を使うことのできる問題は、比・割合・速さを求める問題に多く、出題パターンも予測できるものもあります。たくさん演習を続けていると「この問題にはこの公式を使う」というコツがつかめてくるでしょう。パターン化した計算公式の理解ができると、問題を解くスピードが早くなり、暗記以外の問題も得点が取りやすくなります。
写真や図を使って問題が出題されることが増えている
暗記以外の問題として、写真や図を使った問題も増えています。写真や図を使う理由は、実験や観察の問題が頻出傾向にあるためです。
こちらに関しては、普段から資料集などに載っている写真や図をたくさん見ておくことで、問題が解きやすくなります。実験や観察の問題を文章だけで理解することは難しく、図や写真を読み取る能力が足りないと正確な答えに辿りつけません。
また、本番で初めて見る写真や図を使った問題が出ると理解するのに時間がかかったり、焦ってしまって本来の力が発揮できません。学習時に使用する写真や図は、白黒ではなくカラーで印刷されているものを使うと、イメージしやすく理解度も深まるでしょう。
中学受験のための理科の勉強はいつからするべき?
小学校では3年生から理科の授業が始まり、この頃から本格的な勉強を意識し始める親御さんも多いでしょう。
理科の様々な分野は、毎日の生活の中で触れ合ったり、経験できることが多いものです。日常生活の中で自然と理科に関する知識を身につけたり、理科に関する児童向けの本などで楽しみながら知識を得られたりすると良いでしょう。
中学受験の理科となると、学校の授業を理解するだけでは解くことができない問題が出題されることもあります。一般的に中学受験の理科の勉強は4年生から始まります。それまでは、理科の基本となる国語の読解力と算数の計算の基礎固めに取り組んだり、机に向かう勉強以外で理科に関する様々なものに触れたりしましょう。
受験勉強前から色々なものに触れさせる
お子さんが未就学児で4歳・5歳くらいであれば毎日の遊びの中で理科の基本となる経験をさせましょう。
植物や虫の観察をしたり、様々なおもちゃで遊んだり、公園の遊具で遊んだりすることで経験と知識が増えていきます。まだ本が読めない場合は、動物の図鑑や絵本の読み聞かせもおすすめです。
小学校低学年くらいであれば、理科の体験教室やプラネタリウムに行くことで理科の楽しさを体感できるでしょう。最近だと電流の知識を養うために実験をしながらロボットを作る教室などがあります。
身近なものや、場所から理科という分野に興味・関心を持つことが大切です。楽しく遊んでいたことで、理科の勉強を本格的に始めた時にその構造や原理を理解する助けになります。
生活の中でお子さんが理科に興味を示せるように、自然や実験を通した様々な分野に触れ合える環境作りを意識してみましょう。
中学受験のための勉強は4年生から
本格的な中学受験の勉強は4年生から始めましょう。すでに説明した通り、中学受験の理科は暗記が多く、入試の科目の中でも比較的点数が取りやすい教科です。
また、学校によっては理科が入試科目にない場合もあります。理科の勉強にどの程度の時間を割くかは、志望校の入試科目や配点比率などを考えて決めましょう。理科の勉強を始めるまでは、入試の配点が高い国語と算数の勉強を優先させることがセオリーです。
最近の中学受験の理科で出題される問題では、暗記の他に文章内容を読み解く力と、速くて正確な計算力が、非常に重要とされています。理科の単純な用語の暗記や基本知識を身につけるだけでは、他の受験生に得点の差をつけることができません。
短期間で読解力と計算力を向上させて結果を出すことは難しいため、理科の勉強に関しては最初から焦ることはなく、国語と算数に力をいれた学習に取り組むべきだと考えます。
中学受験の理科が苦手な子どもの主な理由
理科が苦手というお子さんの話を聞いたり、演習の状況を観察していると、下記のようにいくつかの共通する原因や特徴があります。
- 理科を楽しいと思える経験をしていない
- 用語の暗記ができていない
- 用語の意味を理解していない
- 問われている内容を理解していない
- 問題を解き慣れていない
お子さんが苦手だと感じている原因に対して、適切なアプローチをすれば苦手意識を克服し、模試の点数や偏差値がアップし、演習問題も解けるようになっていくはずです。まずはお子さんに寄り添い、どの部分でつまずいているのか把握してあげましょう。
理科を楽しいと思える経験をしていない
理科そのものに興味や関心がない子どもは、実体験が少なく、理科の楽しさに触れていないのかもしれません。より多くの経験を増やし、少しでも理科が楽しいと感じるためには、科学館や博物館・プラネタリウムなどで実際に目で見て体験してみましょう。
自宅では、花や野菜などの植物を育てたり、星や天気を観察したりすることも取り組みやすい方法です。もし体験できる場所に行けなかったり、実験をする環境の確保が難しい場合は、YouTubeやWebサイトなどで理科の実験動画や、楽しみながら勉強することのできる動画などを見ることもおすすめです。
また、苦手な理科を克服するために、焦って手当たり次第に多くの体験をしても理科に興味を高めることは難しいでしょう。最初から全ての体験に取り組むよりも、お子さんが興味のありそうな分野から順番に始めましょう。まずは身近なところで実体験を通して、理科の楽しさを知ることが大切です。
用語の暗記ができていない
理科の成績を上げるには、基本的な用語の暗記が必要です。しかし、専門的な言葉が多く、なかなか用語の暗記が定着しないお子さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
用語の暗記ができていないと、一問一答の問題でも失点してしまっていたり、出題文章の中に理解できない用語が入っていて、そもそも何を問われているのかを理解できていないことになります。解き方がわからないという問題の前につまずいてしまっている状況です。
理科は、国語や算数など他の教科に比べると、膨大な用語の暗記が必要な教科です。特に初めて聞く用語や、似ている用語が多いため、用語の理解をあやふやにせず、基本知識を固めることが重要です。
このような状況であれば、まずはその単元ごとの大枠を理解することから始め、簡単な各用語とその役割などを図や写真を使い、物事を整理しながら暗記していきます。
例えば、植物の単元であれば、まず植物全体の写真や図で、「根」「茎」「枝」「葉」などがあることを一緒に確認して、植物は子葉の数で大きく2つに分類できることを確認します。そして、双子葉類は手根と側根、単子葉類はヒゲ根といったように、写真や図などで視覚的な違いを理解しながら、その機能や用語を暗記をしていきます。
このように簡単な部分からおさらいをして、どこでつまずいているのかを確認しながら、暗記するやり方が適切なのかを確認します。用語を整理して暗記していくことをポイントとして勉強を進めましょう。
用語の意味を理解していない
基本的な用語は十分に暗記しているものの、なかなか結果が出ないお子さんは用語の意味が理解不足の可能性があります。
用語を解答する問題はできても、その用語の説明する問題が解けないということです。用語を説明できないということは、その用語の意味や役割、原理を本当に理解しているとはいえません。この場合も文章問題で用語がいくつか出てきたときに、問われている内容の把握が難しくなります。
特に最近の理科の入試では、用語についての説明を求める問題が多く出題されます。「太陽と月の関係性を説明しなさい」と用語と用語の因果関係の説明が必要な場合もあります。
一問一答のような形式で解答できるだけでなく、用語同士の関係性や特性などの理解も重要になります。
問われている内容を理解していない
多くの用語を暗記し意味を十分に理解していても、文章形式の問題になると点数が取れなくなるお子さんもいらっしゃいます。文章問題が解けないお子さんの多くは、文章を読み解く力である読解力が足りていません。
問題文で問われている内容の理解ができないと、前半に設けられている一問一答式のような問題しか解けなくなってしまい、後半の問題はほとんど不正解になってしまいます。他の教科も同様ですが、入試では文章問題や記述の配点が高くなります。
用語の暗記だけでは文章問題で問われている意図が理解できず、正確な答えを導きだせません。この場合は個々の用語の暗記だけではなく、読解力を上げるために国語力を鍛えたり、問題内容を丁寧に汲み取る練習が必要となります。
問題を解き慣れていない
基本的な暗記と用語の理解があるにも関わらず、演習問題の量が少ない子どもは、模試や過去問で点数が思うように取れないことがあります。想定していた点数よりも低い点数になる理由は、模試や過去問は、学校のテストと出題傾向や問題形式が大きく異なるためです。
学校の問題集だけではなく、中学受験に特化した参考書やテキストを繰り返し、解き方のコツやポイントを知ることが必要です。最初のうちは1問を解くだけでも相当な時間がかかりますが、何度も演習することで出題パターンや形式に慣れていくでしょう。
また、学校によって異なる出題傾向に慣れるためには、過去問を重点的に取り組むことが大切です。基礎となる暗記と用語の理解ができた後は、入試を想定した演習問題に取り組む量も重要になります。
中学受験の理科の基本的な対策
ここでは中学受験の理科における基本的な対策や勉強法を紹介します。全ての単元で共通する対策なので、ぜひ参考にしてみてください。
各単元別の勉強法、対策方法に関してはこの次の見出しで触れていきます。まずは、理科の出題傾向から理科全体に関して言えることを理解し、その上で単元別に効率的な勉強に取り組むことをおすすめします。
苦手分野を作らない
前述した通り、中学受験の理科は大きく分けて4つの単元で構成されており、入試の問題は各単元で大きな偏りはなく出題されます。1つの単元で点数を落としてしまうと、他の受験生との差が一気に広がってしまいます。得意とする単元があることは良いことですが、どの分野も平均点を取れるように苦手分野をなるべく作らないことが大切です。
また、志望校の過去問から分野別の出題傾向が分かる場合は、頻出単元や配点比重の高い単元の知識や演習経験を優先的に増やしても良いでしょう。
積極的に実体験をする
教科書や参考書などのテキスト内だけでの学習だと、問われている問題の意味や内容がイメージしにくいことがあります。その場合は実験したり、実際に体験したりすることで頭の中ではっきりとイメージすることができるようになります。
化学や物理であれば、自宅にあるコップやはかりを用いて容積の違いを試したり、磁石を使って付くものを探すなどの実験をすることができます。生物や地学においては公園で植物に触れてみたり、夜空を見上げて星の観察も実体験になります。
実際の生き物を観察しながら、図や絵に表すことも効果的な方法です。自分の手で触れたり、目で見たものは記憶にも残りやすく、実験の様子を答えるような難しい問題に直面した場合も格段にイメージがしやすくなります。
実体験をすることが難しい場合には、YouTubeや理科の実験を取り扱っているサイトなどもありますので、その実験を見ることでも入試で得点をする助けになります。
基本的な学習の順番を知る
中学受験の理科において、高得点をとるためには、基本的な学習の順番に沿って勉強を進めることがポイントになります。
理科は、非常に多くの知識を身につける「覚える力」と、正確な答えを導く計算力を土台とした「考える力」が必要とされます。理科の学習は、「覚える力」で身につけた用語の知識を元に、「考える力」を使って解答を導くことで問題への正答率が上がっていきます。
以下を意識して順番に取り組むことで、効率的に結果へつながる学習方法を身につけられます。
用語の暗記
まずは写真や図を使い、用語の暗記から始めましょう。用語の暗記は一日の中で何時間も行う必要はありません。
長時間かけて暗記しようとしても、ある程度の時間が経つとせっかく覚えた用語もすぐに忘れてしまうものです。それよりも、毎日少しずつでも良いのでコツコツ積み重ねて暗記をしたほうが、結果的に多くの用語を覚えられます。
用語の覚え方は、写真や図を使いながらがおすすめですが、お子さんに合った方法で取り組みましょう。テキストを用いた一問一答や穴埋め方式でももちろん良いですし、一つ一つ読みあげながら書き出す方法もあります。
覚えやすい方法としては、語呂合わせで覚える方法があります。例えば、天体の分野にある星座の用語暗記では、「春はうしし、おとめ歩くと寝坊でスピード違反」という語呂合わせがあります。これは「春の大三角」に関係する星座を覚えるための語呂合わせです。
この語呂は、「春はうしし(うしかい座・しし座)、おとめ(乙女座)、歩くと(アルクトゥス)、寝坊(デネボラ)でスピ(スピカ)ード違反」となります。このように語呂合わせによって春の大三角は3つの星座と3つの恒星に関連することが覚えられます。
ある程度覚えたら、確認のために家族や友人から問題を出してもらいましょう。この時点で覚えきれていない用語は、このあとの記述問題に関わってくるので、漏れがないよう暗記の反復が必要です。
用語の理解度の確認
用語の暗記が進んだら、次は用語の理解度を確認しましょう。用語の理解度は、その用語の意味を他の人に説明できるかで確認をします。説明の仕方としては、用語の成り立ちや関連する言葉も含めて説明できるようにしましょう。
「火山岩」の説明では、「マグマが地表や地表付近で急に冷えてできた岩石」と述べますが、関連する「マグマ」の意味も紐解くことで、より「火山岩」の理解度がより高まります。マグマは「地球の内部にあるドロドロに溶けた岩石の元」という説明も合わせて理解するということです。
自分の理解が乏しい場合、他人に用語の意味や仕組みを正確に伝えることはできません。自分ではわかっているつもりでも他人へ説明することで、理解していない箇所が発見できるメリットもあります。
説明の仕方は、一語一句教科書通りでなくても大丈夫ですので、自信を持ち、声に出して説明できるように練習しましょう。なかなか上手く解説できない時は、学校や塾の先生からわかりやすい説明方法を教わることも一つの方法です。
計算問題
理科の計算問題は、ある程度パターンが決まっているものが多くなります。解き方や考え方の理解ができてしまえば、反復し、速く問題を解くことで慣れていくでしょう。
算数の解き方の知識もある程度必要になるため、計算が苦手なお子さんは計算ミスをしないように気をつけ、計算力の強化も図る必要があります。
特に計算問題は比を使ったものが多く、物理や化学で頻出傾向にあります。たとえば台車や滑車・水溶液の濃度・酸化や還元などでよく出題されており、これらの問題は早い段階で因果関係を意識することが大切です。お互いにどのような影響を与えるのか理解できることで、必要な計算方式を導き出せます。
また、理科の計算問題は、大問の中の1問目で求めた答えを使い、2問目を解くものが多いため、1問目の正答率は非常に重要とされます。求める問題が比を使うのか、割合を使うのか、必要な公式を見極めることが効率的に計算問題を解く秘訣になります。
記述/思考問題
記述や思考を問われる文章問題を解くときは、解き終わってからすぐに問題ごとの丸つけをしましょう。いくつかの問題を続けて解いてから丸つけをすると、最初に取り掛かった問題の解き方やどのように考えてその答えを導き出したのか、理由がわからなくなってしまいます。
解答した後にすぐに丸つけをし、どこでどう間違えてしまったのか明確にすることが重要です。このように問題ごとの間違いを解消することで、次に同じような問題が出たとしても繰り返しのミスを防げるのです。
その際、間違えた問題については、少し時間をおいて、再度取り組んでみましょう。不正解の問題を間違えたままにせず、解答方法を本当に理解したか、次回、似ている問題が出題された際に得点できるようになっているかの確認が必要です。
また、記述問題や思考問題の出題文章は、教科書や参考書ごとに数字や言い回し方が異なります。単位の言い回しが異なる問題を解くと、解答時に手が止まったりしてスラスラ問題を解くことができなくなることがあります。色々なテキストの文章問題に挑戦してみたくなりますが、集中して問題を解くためには、まずは1つのテキストを徹底的に反復しましょう。
【中学受験・理科】各単元の勉強法
中学受験における理科の単元別の出題範囲は以下の通りです。中学受験の理科は各単元ごとに適した効率の良い勉強方法や、問題の解き方のコツが異なります。各単元の勉強に取り組む前に、勉強のコツやポイントを理解しておきましょう。
化学 | 体積、結晶、金属、pH、濃度、気体 |
物理 | 音、光、電気、熱、てんびん、ばね、輪軸 |
生物 | 植物、動物、人体 |
地学 | 天体、天気、地層 |
各単元に共通する効率的な勉強方法は、基本知識を覚えた後に実際に問題を解き、覚えたことを適切に引き出せるようにすることです。用語の暗記などのインプットだけでは、実際に問題を解く場面で思い出せなかったり、入試本番で問題を解くことに必要な情報が抜けていて解けないといったことになり兼ねません。
上記を踏まえた上で、各単元別の特徴を押さえ、効率的な勉強方法で得点を伸ばしましょう。
化学
化学の単元では、計算問題やグラフの読み取り問題が多く出題されます。算数や計算が得意なお子さんは得点を上げやすいでしょう。
しかし、比率の計算や難度の高い計算問題も多く、1つの問題を間違えてしまうと、同じ大門の中の他の問題も続けて不正解になってしまう恐れがあります。単純なミスを引き起こさないためには、多くの問題を解くことと、算数の計算問題のように途中式を書くことで対策をしましょう。途中式を書くことで、どこで間違えたのかを確認できるため、わかっていたのに正解を間違えてしまったということが格段に少なくなります。
グラフの読み取りでは、物質の溶け方や水溶液の中和反応の問題が頻出されます。水溶液の変化や気体、燃焼は実験の様子を答えるためにイメージする力が必要です。グラフから実験の流れや結果をイメージするためには、変化の前後を図で表しましょう。
物理
物理の単元は暗記が全体の10%程度と少なく、化学と同様に論理的思考力や計算問題の演習量が大切となります。
しかし、物理の単元においても暗記の基本的な知識や、解き方のパターンの習得は必要です。論理的思考力や計算問題は、身につけた知識と原理を理解することが必要であり、十分な理解がないと正確な答えを導くことが出来ません。物理の計算問題の正答率を上げるためには、多くの演習問題をこなし、問題に慣れることが必要です。
物理の頻出問題は、「てこ」や「滑車」などの力学です。支点・力点・作用点の3点の原理を用いた力学を正しく理解することが、点数アップの秘訣です。頭の中だけで3点原理を理解することは難しいため、力学の分野も図解を使いこなした問題演習を取り入れましょう。
生物
生物は、植物や動物に関する単元です。生物は他の分野と比べて、基本的な知識の暗記がメインとなります。
そのため、暗記した知識の量が点数に直結します。用語の暗記と理解が定着してしまえば、短期間で得点アップができる単元です。過去問を丁寧に解いておけば失点を減らすことができ、出題傾向もつかみやすくなります。その分、他の受験生と得点差を付けにくいため、難問以外では確実に点数を取る必要があります。
生物では、複数ある対象物の対照実験をテーマとした問題が多く出題されます。対照実験とは、少しずつ条件を変えて何回も実験を行い、正確な答えを導き出す検証方法です。
対照実験をあつかう問題は、「実験の結果からわかること」に答えなくてはいけません。実験の条件に着目できるよう、普段から教科書で扱っている生物の特徴を確実に暗記しておくことが大切です。
地学
地学は用語の暗記と基本的な理解があれば、ある程度得点が取れる単元です。思考問題もある程度はパターン化されているため、何回も演習問題に取り組むことで効率的な解法を得られるでしょう。
地学の中でも天体の分野は頻出問題です。天体の問題は苦手なお子さんが多いため、天体を理解できているかどうかで得点の差が生まれることがあります。
天体は、自分・太陽・月・星の関係性や惑星内における仕組みの理解が重要です。また「宇宙全体から見た太陽」や「月の満ち欠けなどの時間軸」など主軸となる対象が問題ごとに異なります。時間軸の理解度を深めるためには、その問題の登場するものを理解し、それぞれの位置関係を図で書き表しましょう。
また地学の単元では、理科にまつわる時事問題が出題されます。リアルタイムのニュースよりも、その年に話題となったできごとや人物に焦点を当てた上で、教科書に記載されている知識が問われます。短期間での情報収集は時間がかかるため、普段からテレビや新聞を活用して時事問題につながりそうな話題をチェックしておきましょう。
中学受験の理科の得点を伸ばしたいなら塾に通うことがおすすめ
理科は他の教科に比べると用語の暗記が多く、さらに計算問題や記述問題の配点も高くなっています。4単元ごとに適した勉強方法は異なり、なおかつ、理科という科目全体に共通した対策も必要になります。
また、配点が高い国語や算数の勉強に時間がかかり、理科の勉強時間を十分に確保することが難しい場合もあるでしょう。中学受験の理科の得点を伸ばすためには、効率的な勉強方法と確実な知識の定着が大切です。
しかし、自宅学習のみでの勉強は、限られた時間で効率的に勉強することが難しく、着実に成績を伸ばすことが難しいものです。
効率よく短期間で理科の必要な知識を得るためには、理科の専門であるプロ講師が在籍している塾に通うことをおすすめします。塾では、覚えやすい暗記の方法や、時間がかかる計算問題のノウハウを教えてくれるだけではなく、単元別の正しい勉強の取り組み方や、理科に限らず、受験勉強における有効な時間や、何をいつ勉強するのが良いかなどについても教えてくれます。
中学受験に特化した個別指導塾は、苦手とする分野があった場合も、理解できるまで先生方が寄り添ってくれるでしょう。
まとめ
中学受験の理科は、化学・物理・生物・地学の4つの単元で構成されています。入試の問題はどれかの単元に偏ることはなく、まんべんなく出題される傾向があるため、4単元すべての基本知識が必要です。
本格的な受験勉強は4年生から始めても問題はありません。しかし、4年生に進級する前からご家庭の中で理科を意識した遊びや経験を取り入れることで、理科の基礎知識が養われます。
お子さんが理科を苦手とする原因は様々ですが、その多くが用語の暗記と意味の理解不足によるもの。お子さんの苦手分野を把握し、過去問などの演習問題を何度も復習することで、成績アップにつながります。
効果的な勉強方法は単元により異なりますが、理科の問題を解くカギは用語の暗記と理解、それと図や表を書いてイメージをすることです。身近にある植物を図にしたり、毎日の天気をグラフに表すなど取り組みやすいものから始め、興味や関心のある分野を見つけましょう。
中学受験の理科を成功させるためには、苦手分野を作らないことが大切です。この記事を参考に苦手分野の克服とさらなる学力を向上させ、入試の科目の中で理科を得意科目として他の科目の点数を牽引できる助けになれば幸いです。