受験を意識し始めたり、受験勉強をしているお子さんのいるご家庭では、偏差値とは何の数値を表しているのか。偏差値はどのように見たら良いのか。偏差値を上げる方法はあるのか。など、偏差値に関する様々な疑問や、悩みを抱えていらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、偏差値の持つ意味や活用方法にスポットを当て、以下の5点について解説していきます。
- 偏差値の概要や求め方
- 受験対策の中で偏差値を使う理由
- 偏差値の基本的な見方や注意点
- 偏差値の活用例
- 偏差値を上げるポイント
本記事をご覧いただければ、偏差値の正しい見方がわかり、お子さんの成績アップにつなげられます。
偏差値を上げて志望校合格に一歩近づけるよう、ぜひ参考にしてください。
偏差値とは
偏差値とは、受験者の中で自分の学力がどれくらいの位置にいるか、平均点を基準に表した数値のことです。
平均点を「偏差値50」として、そこから自分の点数がどの程度高いか低いかを見て、自分の相対的な学力を把握します。
また、偏差値は志望校を決める判断材料のひとつとして、各学校のレベルを表す際に活用されています。
偏差値の大きな特徴は、テストで高得点を取ったとしても、必ずしも偏差値が高くなるとは限らない点です。
たとえば、国語と社会のテストでそれぞれ80点を取ったとします。しかし、国語の平均点が60点、社会の平均点が80点だった場合、それぞれの科目で異なる偏差値が出ます。
この場合だと、国語は平均点よりも高い点数を取れているため、偏差値は50以上になります。一方、社会は平均点と同じ点数なので、偏差値は50になります。
受験対策で偏差値を活用する場合は、上記の基本的な見方を押さえておきましょう。
なぜ偏差値を使うのか
受験対策の中で偏差値を使う理由として挙げられるのは、次の2つです。
- 得点だけでは正しく評価できない
- 偏差値は自分の学力位置が把握できる
偏差値は、自分の学力を正しく把握するうえでの重要な指標となります。勉強方法を間違わないためにも、なぜ偏差値を使うのか、ここで理解しておきましょう。
得点だけでは正しく評価できない
自分の学力を測る際、便利な数値がテストの点数です。しかし、テストの難度によって平均点は異なり、得点だけでは相対的な学力を正しく評価するのは難しいため、偏差値が使われています。
たとえば、英語のテストで1回目に70点、2回目に85点取ったとします。しかし、1回目の平均点が70点、2回目の平均点が85点であれば、偏差値はどちらも50になるのです。
英語のテスト | 自分の点数 | 平均点 | 偏差値 |
1回目 | 70点 | 70点 | 50 |
2回目 | 85点 | 85点 | 50 |
これを、得点だけ見て「学力が上がった」と判断してしまうと、十分に対策できず合格が遠のく可能性があります。
また、得点と同じく、順位だけを見て実力を評価する方法も適切とはいえません。
模試の結果を見る際は、得点や順位だけで判断せず、偏差値も一緒に確認して、母集団の中でどれくらいの位置にいるか把握しましょう。
偏差値は自分の学力位置が把握できる
偏差値は、テストを受けた集団の中における自分の学力位置を把握できるため、受験対策の指標として頻繁に使われています。
志望校に合格するためには、テストで高得点を取るだけでなく、周りの受験者に差をつけることが重要です。
そのため、得点の変化だけで学力を判断するよりも、偏差値を用いて相対的な学力位置を把握したほうが、合格に向けた対策方法を具体的に考えられます。
また、偏差値はテストの難度や配点、平均点が異なる場合でも、自分の成績を比較できるのがメリットです。
たとえば、模試における理科と算数の偏差値が、それぞれ「57」と「60」だった場合、算数のほうが理科よりも成績が良いと捉えられます。
この結果を受けて「理科の勉強時間を増やそう」と勉強方針を見直すきっかけにもなるでしょう。
違う模試同士だと、母集団が異なるため一概に偏差値を比較できませんが、正しく活用すれば学力アップにつなげられます。
偏差値の求め方・計算式
偏差値を求めるためには、計算が必要です。
ここでは、偏差値の求め方を含め下記3点について解説します。
- 偏差値を求める計算式
- 標準偏差とは
- 自分で偏差値を計算するのは難しい?
大抵の場合、模試の結果は偏差値が出された状態で返ってくるため、自分で計算する機会はほとんどないかもしれません。
しかし、計算式や求め方を知ることで、偏差値に対する理解をより深められます。ぜひ参考にしてください。
偏差値を求める計算式
偏差値は、次の計算式で求められます。
偏差値=(自分の得点−平均点)÷(標準偏差)×10+50
計算の流れをイメージするため「自分とA〜Dさんが英語のテストを受けた」という場面を例に、偏差値を求めていきましょう。
英語のテストを受けた5人の得点は、以下の通りです。
受験者 | 英語の得点 |
自分 | 65点 |
Aさん | 50点 |
Bさん | 70点 |
Cさん | 80点 |
Dさん | 45点 |
【平均点を求める】
全員の点数を合計し、人数で割ると平均点は62点になります。
【偏差を求めて2乗する】
「偏差」とは、受験者それぞれの得点から平均点を引いた数値です。偏差を求めて2乗すると、自分(9)、Aさん(144)、Bさん(64)、Cさん(324)、Dさん(289)になります。
【分散を求める】
「分散」とは、偏差を2乗した数値の平均です。計算すると「166」になります。
【標準偏差を求める】
次に、分散の正の平方根を計算して、標準偏差を算出します。この場合における標準偏差は「12.9(小数点第二位で四捨五入)」です。
【偏差値を求める】
自分の得点から平均点を引き、標準偏差で割ります。そこで出た数値を10倍してから50を足すと、偏差値が出ます。計算の結果、偏差値は「52.3(小数点第二位で四捨五入)」になりました。
上記の流れに沿って計算することで、自分でも偏差値を求められます。
参考元:データの散らばりを見る|統計局
標準偏差とは
偏差値を求める計算式で登場する「標準偏差」とは、データがどれくらい平均値周辺でばらついているかを表す指標です。
受験者の得点が平均近くに集まっていれば標準偏差は小さくなり、ばらつきがあれば標準偏差が大きくなります。そのため、自分の得点や平均点が同じでも、標準偏差によって偏差値が異なる場合があるため注意が必要です。
たとえば、先ほど挙げた英語のテストを例にすると、下記のように標準偏差が違うと偏差値も変わります。
英語 | 英語 (標準偏差が異なる場合) | |
自分の得点 | 65点 | 65点 |
平均点 | 62点 | 62点 |
標準偏差 | 12.9 | 6.5 |
偏差値 | 52.3 | 54.6 |
正しい成績を見極めるためには、平均点との差だけでなく、得点のばらつきにも注目しましょう。
自分で偏差値を計算するのは難しい?
理論上、偏差値は自分で計算して求められますが、現実的には難しいでしょう。
偏差値を計算で求めるためには、受験者全員の得点を知る必要があります。仮に全員の得点がわかったとしても、受験者それぞれの偏差を求めなければなりません。
受験するテストの規模にもよりますが、塾の中で行われる試験であれば少なくとも数十人、全国模試になると数万人〜数十万人の受験者がいます。
偏差値の計算については、「このようにして偏差値は求められる」と理解する程度にとどめておきましょう。
偏差値が高い・低いとは
偏差値はテストの平均点をもとに割り出される数値ですが、どのように「高い・低い」の判断をしたら良いか悩んでいる方もいるでしょう。
ここからは、偏差値の見方について次の3点を解説します。
- 偏差値と順位の関係
- 偏差値50がちょうど中心
- 偏差値40・60が高い低いの目安
偏差値の見方を理解すると、ライバルに比べてどれくらい学力差があるのか、正確に把握できるようになります。
偏差値と順位の関係
一般的に、模試を受けると平均点近くに受験者の得点が集中し、平均点から高くても低くても、平均点から離れるにつれて受験者の割合は少なくなっていきます。
そのため、受験者全員の得点を分布図にして表すと、大抵の場合は平均点近くに人数が多くなり山のような形をしている「釣り鐘型」になるでしょう。釣り鐘型の分布は「正規分布」と呼ばれています。
正規分布における偏差値と順位の関係は以下の通りです。
偏差値 | 最上位から見た割合 | 1,000人中の順位 |
80 | 0.13% | 1.3位 |
75 | 0.62% | 6.2位 |
70 | 2.28% | 22.8位 |
65 | 6.68% | 66.8位 |
60 | 15.87% | 158.7位 |
55 | 30.85% | 308.5位 |
50 | 50.00% | 500.0位 |
45 | 69.15% | 691.5位 |
40 | 84.13% | 841.3位 |
35 | 93.32% | 933.2位 |
実際には「158.7位」のような順位は存在しませんが、1,000人いる受験者のうち、どれくらいの位置にいるかイメージしやすくなります。
偏差値と順位の関係を理解しておけば、自分の学力がどれくらいの位置にあるか、容易に見当をつけられるでしょう。
参考元:推測統計|統計局
偏差値50がちょうど中心
偏差値は「平均点=偏差値50」としているため、偏差値50の場合、学力位置も母集団のちょうど中心です。
前述の表を見ると、偏差値50は最上位から見た割合が50%で、順位も1,000人のうち500位になります。
つまり、模試の結果が偏差値50だった場合は、受験者数にかからわず、ちょうど真ん中の順位ということです。
ただし、偏差値は母集団の学力や試験の難度によって決められるため、偏差値50が必ずしも「中程度の学力」と言い切れるわけではありません。あくまでも該当する模試を受けた母集団に対してちょうど真ん中の順位だったというだけです。
たとえば、全員が難関校を目指している集団の中における偏差値50は「全国的に見ると学力が高い」と判断できるでしょう。難度が低いテストを受けて偏差値50であれば、もう少し学力を上げる必要があるかもしれません。
偏差値は、あくまでも模試を受けた集団内の学力位置を示す数値です。偏差値から学力を正しく判断するためには、母集団のレベルやテストの難度もチェックしましょう。
偏差値40・60が高い低いの目安
前述した「正規分布における偏差値と順位の関係」の表によると、偏差値60以上・偏差値40以下の割合は15%程度です。
そのため、一般的には偏差値60以上が「高い」、偏差値40を下回ると「低い」と判断される傾向があります。ただし、学校によって「偏差値60を本校における標準的な学力とする」など異なる基準に設定している場合もあるため、注意が必要です。
また、中学受験においては偏差値40でも高校・大学レベルに換算すると偏差値55〜60程度と高めに表される場合があります。
これは、高校・大学受験は幅広い学力のお子さんが挑戦する一方で、中学受験に臨む小学生の数は少なく、全体のレベルも高い傾向があるためです。そのため、模試で偏差値が50を下回っていたとしても、全国的に見て高いレベルの中学校を狙える可能性は十分にあります。
ただし「灘中学校」「洛南高等学校附属中学校」など、より高レベルの中学校になると、偏差値70以上は必要になるでしょう。
偏差値の活用例
受験対策に偏差値を活用する方法は、主に下記の5つです。
- 学習の成果を測る
- 学力の上下の参考にする
- 得意分野・苦手分野を把握する
- 志望校決定の参考にする
- 志望校合格までの到達状況を把握する
偏差値が持つ意味を正しく理解し、上手に活用することで、お子さんの学力アップにつなげられます。相対的な学力を把握するだけでなく、必要な対策を考えるための判断材料としても有効に使いましょう。
学習の成果を測る
模試ごとの偏差値を見比べると、日頃の学習効果が高いかどうかを判断できます。
志望校に合格するためには、効率的に勉強を進めることが重要です。しかし、勉強方法が合っていなかったり、十分に内容を理解できなかったりすると、なかなか高得点を取れません。
そこで、前回の模試からの学習成果を見極めるために偏差値を活用します。
たとえば、同じ母集団のテストを2回受けたとき、1回目よりも2回目のほうが偏差値が高い場合は「学習の成果が出ている」といえるでしょう。
逆に、1回目よりも2回目のほうが偏差値が低ければ、学習方法が間違っているか、前回たまたま高得点を取れただけかもしれません。
このように、偏差値の推移を見ることで普段の学習成果を測り、必要に応じて改善することができます。
ただし、母集団が異なるテスト同士の偏差値を見比べても、あまり意味がありません。偏差値の上下を見るときは、同じ母集団が受けたテストを参考にしてください。
学力の上下の参考にする
偏差値が変わったときは、結果に一喜一憂するのではなく「なぜ変化したのか」を分析することが大切です。
試験内容を振り返ることで、自分の苦手分野や改善点に気付き、入試に向けての対策ができます。
たとえば、偏差値が前回よりも低かったとき「得意分野だったが、ケアレスミスが多かった」と分析したとします。すると、日頃の勉強でミスを減らしたり、次のテストで「ケアレスミスに気をつけよう」と意識したりできるでしょう。
また、「正答率の高い問題だったが、難しくて点数を取れなかった」という分析結果であれば、そこが苦手分野だと気付けるかもしれません。
模試の結果が出たときは、点数や偏差値を見て満足するのではなく、「なぜ変化したのか」「どうすれば改善できるか」を考えることで学力向上につなげられます。
結果的に、偏差値が高くなればモチベーションも上がり、受験勉強にも一生懸命取り組めるでしょう。
得意分野・苦手分野を把握する
偏差値を活用すると、自分の得意分野・苦手分野を把握できます。
模試は単純に偏差値を出すだけでなく、志望校合格に向けて必要な対策を発見する手段のひとつです。多くの模試では、結果に教科別の偏差値が記載されているため、各数値を見比べて受験対策に役立てましょう。
たとえば、模試の点数が「国語75点、英語60点」と国語のほうが高かったとします。しかし、偏差値が「国語48、英語54」であれば、国語の相対的な学力が低いと判明するため、重点的な対策が必要です。
また「自分は社会が苦手だ」と思っていても、結果を見てみたら意外と偏差値が高い場合もあります。
このように、教科別の偏差値を比較することで「今後どのような対策が必要か」を見極められます。偏差値が足りていなかった教科は、目標となる数値を設定し、間違った問題を確認したり繰り返し解いたりして苦手を克服しましょう。
志望校決定の参考にする
志望校を選ぶときも、偏差値を有効活用できます。
各学校では、学力レベルや合格難易度を表す数値として偏差値が使われています。「偏差値60の学校」とは「偏差値60以上の人が受験したとき、50%が合格できる学校」という意味です。
一般的には、自分の偏差値からプラスマイナス3〜5程度の学校が、志望校としては適切だといわれています。
ただし、入試までまだ十分な期間があるのに、偏差値だけで志望校を決めてしまうのは少し早いかもしれません。偏差値が今後変わる可能性は十分にあるため、入試まで時間がある場合は参考程度にとどめましょう。
また、本格的に志望校を決める段階であったとしても、偏差値だけに頼りすぎないように気をつけてください。偏差値が適切でも、学校の雰囲気や学習内容がお子さんに合わない可能性もあります。
偏差値を参考にしたうえで、お子さんの性格や興味・関心に合った志望校を選ぶようにしましょう。
志望校合格までの到達状況を把握する
偏差値は、志望校合格までの到達状況を把握するときにも使えます。
模試を受けると、その結果から志望校に合格する可能性をA〜Eの5段階で判定されます。各段階における一般的な合格可能性の水準は以下の通りです。
判定 | 合格可能性 |
A判定 | 80%以上 |
B判定 | 65% |
C判定 | 50% |
D判定 | 35% |
E判定 | 20%未満 |
模試を受けた結果、学校ごとに公開されている偏差値と同じ数値だった場合は、合格可能性50%の「C判定」となります。
自分の偏差値が志望校の偏差値よりも5以上高い数値になれば「A判定」になり、合格可能性も高まるでしょう。
「E判定」の合格可能性は20%未満ですが、すぐに志望校を諦める必要はありません。あくまで判定は「現時点のペースで勉強を続けた場合の合格可能性」を表すものです。
模試の結果が仮に「E判定」だったとしても、対策を変えたりペースを上げたりすることで、一気に合格可能性が高まる場合もあります。
志望校までの距離を測り、今後の勉強方針を決める指標として、偏差値を有効活用しましょう。
偏差値を見るときの注意点
偏差値を見るときは、次の3点に注意してください。
- 模試の種類や実施団体によって偏差値は違う
- 偏差値による合格可能性の算出方法が違う
- 同じ主催者の模試を比較する
偏差値は学力位置を正しく把握するための便利な数値ですが、見方を誤ると入試に向けた対策方法も間違えてしまう可能性があります。
偏差値を上手く活用するためにも、それぞれのポイントを押さえておきましょう。
模試の種類や実施団体によって偏差値は違う
偏差値は、あくまでも「同じテストを受けた母集団」の中における位置づけを表しています。模試の種類や実施団体が異なれば、算出される偏差値も変わる点に注意しましょう。
たとえば、全国規模の模試は幅広い学力の人が受験するため、ある程度の点数を取れば偏差値も高く出る傾向があります。
しかし、難関校受験に特化している模試だと、母集団の学力レベルが高くなり、高得点を取っても偏差値は低めに出ます。
この場合、「全国規模の模試」と「難関校受験に向けた模試」で算出された偏差値を比較しても、自分の学力は正しく把握できません。
偏差値を参考に自分の成績を比較するときは、母集団のレベルや試験の難易度に大きな違いはないか確認しておきましょう。
なお、模試の種類や実施団体にかかわらず、受験者数があまりにも少ないテストは、比較対象がなく相対的な学力位置を見極めにくくなるため、注意が必要です。
偏差値による合格可能性の算出方法が違う
偏差値を見るときは、模試の実施団体によって合格可能性の算出方法が違う点も押さえておきましょう。
基本的に、志望校の合格可能性は過去に模試を受けた合格者のデータをもとに算出されます。模試の実施団体によって受験者も異なるため、得られる合格者のデータや、そこから割り出される合格可能性も様々です。
たとえば、A模試で偏差値54だった100人が「D高校」を受験し、80人合格したとします。このときA模試では、偏差値54でD高校に合格する可能性が80%と設定されるでしょう。
一方、B模試で偏差値54だった100人が「D高校」を受験した結果、50人合格したとします。すると、B模試では偏差値54でD高校に合格する可能性が50%になるのです。
このように、合格可能性は偏差値をもとに算出されますが、集まるデータが異なるとパーセンテージも変わります。
ひとつの模試だけで合格可能性を判断しないよう、注意が必要です。
同じ主催者の模試を比較する
学力の推移を正しく判断するためには、同じ主催者の模試を受験し、その結果を比較するのがおすすめです。
同じ主催者の模試であれば、母集団のレベルが毎回大きく変わるわけではありません。そのため偏差値の変化をもとに、学習の成果や志望校合格までの到達状況を正確に把握できます。
また、同じ模試の結果を教科別に比較することで、苦手分野を発見し適切な対策方法を取れるでしょう。
偏差値の推移を見るときは、同時に母集団の学力レベルも把握しておくことが大切です。
たとえば入試が近い時期の模試では、どれだけ勉強を頑張っても偏差値があまり伸びない状態に陥るかもしれません。これは入試が近づくにつれて母集団全体の学力が上がったために、平均点も高くなっている可能性があります。
お子さんの偏差値が落ちていなければ、周りと同じように学力が向上していると考えても良いでしょう。
同じ主催者の模試を比較する場合も、偏差値だけに振り回されず「合格に向けてどのような対策が必要か」を重点的に分析・検討してみてください。
偏差値を上げるポイント
偏差値は自分の学力位置を把握して終わりではなく、そこから「どのように目標まで数値を上げるか」が重要です。
ここでは、偏差値を上げるポイントを4つご紹介します。
- 偏差値40〜60は上げやすい
- 目標点を定める
- 苦手分野をなくす
- ケアレスミスをなくす
これらの勉強方法を覚えておくと、偏差値が目標より低い場合でも適切な対策を取れるようになります。
偏差値だけがすべてではありませんが、効率的に勉強を進めることで学力アップにもつながるため、志望校合格に一歩近づけるでしょう。
偏差値40~60は上げやすい
偏差値40〜60は平均点近くで受験生の得点が集中しているため、比較的偏差値を上げやすい傾向にあります。
お子さんの偏差値が40〜60であれば、少し点数を上げるだけで偏差値も高くなるでしょう。
偏差値40〜60のお子さんが点数を上げるための勉強方法は、以下の3つです。
- 勉強を習慣化する
- 基礎を固める
- 問題集を繰り返し解く
まずは勉強時間を確保し、机に向かう習慣をつけましょう。勉強を習慣化させるためには、ごく短時間でもかまわないので、毎日続けることが大切です。
勉強が苦手な場合は、「漢字を5個覚える」「問題集を2ページ解く」などスモールステップで進めると、少しずつ習慣が身についていきます。
勉強の習慣化と同時に、基礎固めも行ってください。基礎学力を固めることで、応用問題もすらすら解けるようになります。
また、繰り返し問題集を解くことも大切なポイントです。すべての問題を完全にできるようになるまで反復すると、学習内容の理解が深まっていくでしょう。
目標点を定める
目標点を定めておくと、ゴールが明確になり勉強に対するモチベーションも上がります。
一般的に、偏差値を1上げるためには、教科別の点数を1〜3点アップさせる必要があるといわれています。志望校の偏差値を超えるためには点数がどれくらい必要かを考え、目標を設定しましょう。
たとえば、「国語・算数・理科・社会」4教科における総合偏差値50のお子さんが、偏差値55にするためには、各教科の合計で少なくとも20点以上点数を上げる必要があります。
目標点を決める際は、ここから5点ずつ4教科に振り分けてもかまいません。ただし、「偏差値が低い」「まだ成績を伸ばせる」という教科があれば、そこに点数を多く振り分けるようにしましょう。
具体的な目標点が定まったら、偏差値を上げるために必要な対策を取ります。勉強の習慣化や基礎固めはもちろん、学習計画を立てたり、すきま時間を活用したりする方法もおすすめです。
苦手分野をなくす
偏差値を上げるためには、失点につながりやすい苦手分野をなくすことも大切です。
入試の際は得意分野で失点をカバーする方法もありますが、本番で点数を取れなかった場合、全体の成績が下がって合格の可能性が遠ざかるかもしれません。
苦手分野の勉強は、他の科目に比べてやる気が起きにくいものです。しかし、苦手分野をなくし、少なくとも合格の最低ラインまで点数を引き上げることで、幅広い問題に対応できるようになります。
苦手分野をなくすためには、どこでつまずいているのかを確認しましょう。たとえば、小数のかけ算が苦手なお子さんの場合であれば筆算のやり方がわからない、小数点の移動を忘れる、九九のミスが多いなどが考えられます。
つまずくポイントがわかったら、それに対応した勉強を取り入れましょう。このとき、小さな成功体験を積むことで、苦手意識が徐々に薄れていくかもしれません。
お子さんにとって苦手分野はマイナスイメージが大きいですが、見方を変えると大きな伸びしろがある部分でもあります。
苦手分野を克服することで、偏差値も一気に高くなる可能性があるため、諦めずに取り組みましょう。
ケアレスミスをなくす
ケアレスミスをなくすだけでも、偏差値が上がる可能性は十分にあります。ケアレスミスが起こる原因は、大抵の場合「注意力不足」によるものです。
そのため学力が高いお子さんでも、極度に緊張していたり疲れていたり、その日の体調次第では些細なミスが増えて、大きな失点につながるでしょう。
ケアレスミスをなくすためには、次の方法を実践することが効果的です。
- 問題文の重要な箇所に印をつける
- すべての問題を解き終わってから見直しをする
- 簡単な問題でも丁寧に取り組む
特に文章問題では、「何が求められているのか」「どのように答えを書いたらいいのか」を見落とす可能性があります。
問題文を読みながら重要な箇所に印をつけて、正しい解答を書けるように対策しましょう。
また、すべての問題を解き終わってから見直しをすると、提出前にケアレスミスが見つかり失点を防げます。勉強に慣れてきたときこそ、簡単な問題で油断せず慎重に取り組みましょう。
難度が高い問題への対策には時間がかかりますが、ケアレスミスは日頃の意識を変えるだけで十分に改善できます。
一つ一つの問題で確実に点数を取り、成績アップにつなげましょう。
まとめ
本記事では、偏差値の見方や偏差値を上げる方法についてご説明しましたが、特に大切なポイントは次の3つです。
- 偏差値は自分の正確な学力位置を把握し、勉強方法の改善や苦手分野の克服につなげられる
- 模試の種類や実施団体によって偏差値が異なるため「同じ母集団」「同じ主催者」の模試を比較すると良い
- 偏差値を上げるためには学習時間を確保しつつ、苦手分野やケアレスミスに対策するのが効果的
お子さんの偏差値が伸び悩んでいるときは、模試の結果から原因を分析し、適切な対処法を実践しましょう。
ただし、偏差値だけに振り回されず、お子さんに合った勉強方法や志望校を選ぶことも大切です。
本記事の内容をもとに、親御さんやお子さんにとって最適な勉強法や志望校を見つけて、受験勉強に励めるよう心からお祈り申し上げます。