これもよく議論にあがりますね。「暗記だけではダメ」だと。そりゃそうです。で、「思考力の養成こそが重要である。」と。まあ、これもそうでしょうね。
思考力とは
で、思考力って一体何なんでしょうね。思考力といっても、段階があるので、大まかに段階をわけて考えてみましょう。便宜上今回は、思考力1から3までの3段階程度に設定してみます。
思考力1
「知識から何も生み出せない」状態です。知っているものしか解けない。知らない問題は全く無理。問題の数だけ解法を覚えないといけないようです。
思考力2
「知識から何らかのものを生み出せる状態」です。これが最も広範囲にわたります。
思考力3
「最低限の知識ですべてを生み出せる状態」です。定義さえあれば、何も教えていなくとも理論を組み立てられるレベル。いわゆる天才。
中学受験で必要とされる思考力レベル
本番の制限時間からの分析
受験本番は、だいたい60分程度です。長くて灘の国語2日目の70分程度。灘の算数2日目でいうと、大問5問程度。理科は7問程度。算数で小問4分程度。理科で大問8分程度。
そんなに余裕かましている場合ではありませんよね?そう、時間足りませんよね?
そうすると、おそらく思考力3の状態の天才型のお子様であっても時間が足りないケースが出てくるのです。「公式を導きだしている間に時間なくなっちゃったよー」みたいな。
実際、「公式を導ける学力があるからといって、その都度公式を導きだすのではなく、しっかりと暗記した公式を使うことも重要」ということは、お名前は出せませんが、とにかくとても偉い先生がおっしゃってました。
そうすると、本番で求められているのは、ある一定の知識・暗記から最後の一段階を超える思考力でなのでしょう。入試当日、そこまで思考力は必要ないのです。
ということで、最難関とはいえ、思考力3は不必要で、思考力2の中ぐらいの段階で十分対応可能なんだろうなと思ってます。
じゃあ暗記優先?
「じゃあ、とりあえず暗記すればいいよね」
違います。
その最後の一段を登るために、暗記しているものを再構築できる思考力が必要となるのです。
もちろん、はじめは暗記でもいいと思うんです。低学年であったり、未習分野に関して、理屈を理解させるために、そこで時間を浪費するのももったいないですし、何よりわからないものはわかりません。
ただ、学年が上になるにつれて、勉強がすすむにつれて、一定の理屈は理解しようねと。少なくともその機会は用意すべきかと。
理解というのは、多くの場合、一瞬にして訪れるもの(と、思ってます)
それを理解する下地つまり思考訓練をしてきていないから、その先行き詰まるのです。6年時の伸び悩みってこのあたりに原因があるのではないかと個人的には思ってます。
スピードが要求されるがゆえ、理屈抜きの暗記に頼って処理してきたため、思考力が身についていない状態。飛び級の弊害というのは、このあたりにもでてくるようです。
いわゆる「しっかり取り組んでこなかったでしょ」というもの。私自身は、決して飛び級反対派ではありません。できるなら、どんどんやってくださいってノリです。ただ、一般的には全科目飛び級なんてものは、到底無理なものだと思ってます。
まとめ
というわけで、思考力は確かに大切です。ただ、それは段階を踏んで養成するものであり、本番では暗記を基礎として一押しに使うべきものかと。思考により暗記をし、暗記により思考をすることになるのでしょう。
で、特定の問題において複数の解法がある場合のへとつづきます